
眼瞼下垂の手術後には、瞼に腫れや赤みが現れ、切開部の傷が目立つことがあります。
「この傷はどのくらいで目立たなくなるのだろうか」「跡が残ってしまうことはないのか」といった、術後の見た目に関する不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
本ページでは、眼瞼下垂手術の傷跡は残るのか、どのくらいで目立たなくなるのか、きれいに治すために意識したいケアのポイント、そして傷が消えにくい場合の対処法まで詳しくご紹介します。
眼瞼下垂手術では傷跡が残ることが多い?
眼瞼下垂の治療では、緩んだ挙筋腱膜を瞼板に再び固定する「眼瞼挙筋前転法」と呼ばれる手術法が一般的に用いられます。この方法では上瞼の皮膚を切開するため、術後には傷が生じます。
ただし、瞼は元々治癒が早い部位とされており、時間の経過とともに傷跡は徐々に薄れていきます。多くの場合、二重のラインと重なるため、傷はほとんど目立たなくなるのが一般的です。
一方で、メスを使わない「切らない眼瞼下垂手術(埋没法)」もあり、こちらは瞼の裏側に糸を通して挙筋腱膜を瞼板に固定するため、外見に傷跡が残ることはありません。ただし、この方法は保険適用外であり、切開法に比べて持続効果がやや劣る点には注意が必要です。
眉下切開法は手術後の傷跡が目立ちにくい?
眼瞼下垂の治療法の1つとして、「眉下切開法」という手術があります。この方法は、眉のすぐ下を切開して上瞼のたるみを取り除くもので、皮膚の余りによって視野が狭くなっている皮膚弛緩症に対して行われます。眼瞼挙筋や挙筋腱膜に異常が見られないケースに適応されるのが特徴です。
また、眼瞼挙筋前転法などの手術を受けた後に、眉毛の下垂が起きて再び上瞼が被るような場合にも、眉下切開法が有効とされます。
この手術は、眉のラインに沿って皮膚を切開・縫合するため、傷跡が眉毛に隠れやすく、比較的目立ちにくいと言われています。しかし実際には、切開部が二重のラインに隠れる通常の眼瞼下垂手術とは異なり、傷跡が直接露出するため、術直後は目立つことも少なくありません。
縫合が丁寧に行われ、術後の経過が順調であれば時間とともに傷は目立たなくなっていきますが、ケロイド体質の方や術後に炎症・感染を起こした場合には、目立つ傷痕として残る可能性もあります。そのため、眉下切開法は一般的な眼瞼下垂手術と比べて、傷跡が残るリスクはやや高いと言えるでしょう。
ただし、術後の腫れが少なく回復が早いことや、目元の印象が大きく変わらない点は、眉下切開法ならではの利点と言えます。
傷跡について
手術によって残る傷跡は、皮膚を切開した部分の「切開線」と、その後の縫合によって生じる「縫い目」の2つに大きく分けられます。これらの傷跡は、術式の違いはもちろん、患者様の体質、縫合の技法、使用する糸の素材や太さ、さらに術後のケアの仕方によっても大きく変わってきます。
切開線による傷跡
手術中に医師がメスなどで皮膚や組織を切開することで生じる跡が、いわゆる切開線です。切開の方法や深さ、長さなどによって傷跡の目立ちやすさは異なります。
眼瞼下垂手術の場合、切開は通常、二重瞼のラインに沿って行われるため、目立ちにくいとされますが、それでも顔の中心部にあたるため、最も目につきやすい部位の1つです。どれだけ丁寧な手術が行われても、完全に傷を目立たなくさせるのは簡単なことではありません。
縫合による傷跡
切開した組織を閉じるために使用される縫合糸によって生じるのが縫い目の跡です。縫合には様々な技法があり、糸の材質や太さ、どのように縫うか、さらに抜糸を行うタイミングなどによって、仕上がりの見た目に差が出ます。
術後の経過が良好であれば時間とともに自然に目立たなくなりますが、縫合の仕方によっては跡が残るケースもあるため、医師の技術と術後ケアが仕上がりに大きく影響します。
術後の傷跡はいつまで残る?
眼瞼下垂の手術後、傷跡がどのくらいの期間目立つかは、術式や体質、回復のスピードによって個人差があります。
切開を伴う手術では、術後1〜2ヶ月ほど経過すれば、眼鏡をかけている状態であればほとんど気にならない程度まで回復するケースが多く見られます。ただし、瞼を閉じても自然な見た目になるまでには、通常3〜6ヶ月程度は必要と考えられます。
手術直後〜3日目頃まで
この時期は、腫れや赤みが強く現れ、皮下出血(内出血によるアザ)が生じることもあります。腫れのピークは手術翌日であり、縫合糸がはっきりと見えることもあります。
1〜2週間後
術後10〜14日目頃には抜糸を行います。この段階になると、縫い目の不自然さは多少残るものの、内出血はかなり軽減され、外見の違和感も次第に薄れていきます。
1〜2ヶ月後
傷が拘縮(組織の硬化)を起こし、瞼に硬さが出る時期です。赤みもかなり落ち着き、腫れも目立たなくなってきます。ただし、二重のラインはまだ広めの状態が続くことがあります。
3〜6ヶ月後
腫れが完全に引いて二重幅も安定し、瞼の見た目は自然に近づきます。赤みも消失し、目を閉じた際の傷跡もほとんど分からないほどに回復することが期待されます。
抜糸のタイミングと傷跡形成への影響
抜糸とは、縫合された傷がある程度治癒した段階で、皮膚に残った糸を取り除く処置です。このタイミングは、傷跡の残りやすさや仕上がりのきれいさに大きく関わっています。
抜糸が早すぎた場合のリスク
- 傷がまだ十分に塞がっていない状態で抜糸を行うと、切開部が再び開く恐れがあります。
- 皮膚同士の癒着が不十分なため、開いた部分の治りが遅れ、傷跡が目立ちやすくなります。
- 治癒力の低下や外的刺激によって、感染のリスクも高まります。
抜糸が遅すぎた場合のリスク
- 糸が皮膚の中に沈み込んでしまい、糸痕が残る原因になります。
- 糸による刺激が慢性的な炎症を引き起こすこともあります。
- 縫合糸が長く残ることで、細菌の温床となり、感染症のリスクが高くなる場合もあります。
抜糸の適切なタイミング
- 抜糸を行う時期は、傷の治り具合や部位、体質によって異なりますが、一般的には、医師が診察で「十分に治癒が進んでいる」と判断した段階で行われます。
- 切開の深さや広さ、瞼など部位の特性、患者様の体調や生活習慣なども含めて総合的に判断されるのが一般的です。
傷跡を残さないための術後ケアのポイント
眼瞼下垂の手術後は、できるだけ身体に負担をかけず、瞼に刺激を与えないよう過ごすことが重要です。特に抜糸までの期間は、少しの摩擦や圧力でも傷口が開いたり炎症を起こしたりする恐れがあるため、丁寧なケアが求められます。
患部を冷やして安静に過ごす
手術当日から2日程度は、腫れや痛みを軽減するため、安静に過ごしつつクーリングを行いましょう。保冷剤をガーゼなどで包み、瞼に優しく当てると炎症の緩和が期待できます。低温やけどを防ぐため、直接肌に当てないように注意が必要です。
外用薬の使用で傷を保護する
術後翌日から抜糸までの間は、抗生物質の軟膏や、必要に応じてステロイド軟膏を使用します。現在では「モイストヒーリング(湿潤療法)」が推奨されており、傷口を乾かさずに保湿を保つことで、かさぶたの形成を防ぎ、回復を早める効果が期待されます。
内服薬の服用で炎症や瘢痕を防ぐ
手術後は、次のような内服薬が処方されることがあります。
- 消炎鎮痛剤:術後の腫れや痛みを軽減
- 抗生剤:感染症を予防するために使用
- 瘢痕形成予防薬
- トラネキサム酸(トランサミン):出血や炎症を抑え、赤みを緩和
- トラニラスト(リザベン):皮膚線維細胞の増殖を抑え、赤み・かゆみを軽減
服用の内容や期間は個人差があるため、必ず医師の指示に従いましょう。正しい服薬によってダウンタイムの短縮や傷跡の予防に繋がります。
傷口を濡らさないように注意する
水が傷に触れると感染の原因となるため、抜糸が終わるまでは洗顔や洗髪時に瞼が濡れないよう配慮が必要です。抜糸後は洗顔が可能になりますが、傷口が完全に閉じるまでは指先で優しく洗う程度に留めましょう。
血行を促す行為は控える
血流が増えると腫れや出血が悪化し、治癒の妨げになる可能性があります。術後当日は入浴を控え、翌日から抜糸まではシャワーのみとしてください。また、運動や激しい動きも出血の原因となるため、控えるのが安心です。運動再開は、抜糸から1週間以上経過してから、徐々に行うと良いでしょう。
コンタクトレンズやアイメイクは術後1ヶ月以降に
瞼への負担を避けるため、コンタクトレンズやアイメイクの使用は、術後1ヶ月は控えてください。たとえ1ヶ月経過しても赤みが残っている場合は、使用をさらに延期することをお勧めします。再開の際には、瞼を擦ったり引っ張ったりしないよう注意が必要です。再開時期は傷の状態に応じて異なるため、必ず医師の診察を受けたうえで判断しましょう。
術後に傷跡が消えないことはある?
前述のとおり、眼瞼下垂の手術によって生じた傷跡は、一時的に赤みや硬さが現れることはあるものの、通常は3〜6ヶ月ほどで自然に落ち着き、ほとんど目立たなくなります。
しかしながら、回復の過程で炎症が長引いた場合や、体質などの影響により「肥厚性瘢痕」や「ケロイド」「つっぱり感(瘢痕拘縮)」などが発生することもあります。これらは、傷の修復過程で線維芽細胞が過剰に増殖し、コラーゲンが異常に蓄積されることによって引き起こされる状態です。
その結果、傷跡が盛り上がったり、赤み・かゆみが続いたりして、傷がなかなか引かないケースがあります。
とはいえ、瞼の皮膚は比較的柔らかく、ケロイドや肥厚性瘢痕が起きにくい部位とされています。過度な心配は不要ですが、万が一に備えて、術後の過ごし方には十分な注意が必要です。
術後の経過を良好に保ち、傷跡の悪化を防ぐためには、医師の指示に従った適切なアフターケアや内服の継続が欠かせません。正しいケアが、きれいな仕上がりとトラブル回避に繋がります。
術後に傷跡が気になるときの対処法
眼瞼下垂の手術を受けた直後は、赤みや腫れが目立つため、できるだけ外出を控え、自宅で安静に過ごすのが理想です。しかし、仕事や用事などでどうしても外出しなければならない場面もあるでしょう。
そんなときに有効なのが、サングラスで瞼をカバーする方法です。外見上の違和感を和らげつつ、紫外線やほこりなどからも傷を守る効果が期待できます。
一方で、職場や人と会う予定がある場合など、サングラスの使用が難しい場面では、黒縁の眼鏡を着用するのも1つの手段です。フレームの位置をやや下にずらしてかけると、上瞼の傷跡がちょうどフレームのラインで隠れ、目立ちにくくなります。
なお、手術直後に前髪を垂らして隠したり、アイメイクでごまかしたりするのは避けましょう。こうした行為は傷口への刺激や雑菌の付着に繋がり、感染のリスクが高まる可能性があります。傷跡が安定するまでは、清潔を保つことを優先してください。
まとめ
眼瞼下垂手術後の傷跡はどのくらい目立つのか、また、跡が残る可能性について解説してきました。
切開を伴う手術では、一定期間傷が目に見える状態になるのは避けられませんが、術後の過ごし方やケアを丁寧に行うことで、ほとんど気にならない状態へと回復していきます。多くの場合、3〜6ヶ月ほどで、瞼を閉じても傷跡が目立たなくなる程度まで自然に治癒していきます。
傷を残さずきれいに仕上げるためには、術後の注意事項をしっかり守ることが何より大切です。本ページで紹介したポイントを参考に、術後の経過を穏やかに整えていきましょう。
