眼瞼下垂の術後はどのような経過を辿る?ダウンタイムを長引かせないためのポイントも解説

「眼瞼下垂の手術を受けたいけれど、ダウンタイムの症状が心配」「術後すぐに仕事へ戻れるのか不安」と感じている方も多いのではないでしょうか。

特にお仕事をされている方にとっては、「休みを最小限に抑えたい」「できれば仕事を続けながら治療を受けたい」と考えるのは自然なことです。

ただし、ダウンタイムの期間や症状の出方には個人差があります。手術の方法だけでなく、体質や回復力の違いによっても経過は変わってきます。そのため、術後は自分の状態に応じた無理のないケアと適切な休息が重要です。

本ページでは、眼瞼下垂手術後のダウンタイムについて、想定される回復期間や生じやすい症状、ダウンタイムをできるだけ短くするためのポイントなどを詳しくご紹介します。

眼瞼下垂の手術法とその特徴

眼瞼下垂の治療には様々な方法がありますが、根本的な改善を目指す場合は手術が最も有効とされています。症状の程度や原因に応じて、いくつかの術式が選択されます。ここでは代表的な手術方法とその特徴をご紹介します。

挙筋前転術(きょきんぜんてんじゅつ)

この術式では、たるんだ挙筋腱膜を前方へ移動させ、瞼の骨格である瞼板に縫い付けることで、瞼を持ち上げる力を回復させます。上瞼の皮膚を切開し、弛緩した腱膜や筋肉を調整してから、糸で固定します。

この方法により、上眼瞼挙筋の動きがスムーズに瞼板へと伝わるようになり、瞼をしっかり開けられるようになります。

※当院では、筋肉性の眼瞼下垂に対する手術は実施しておりません。重症例や複雑なケースの場合は、連携する大学病院をご紹介いたします。

前頭筋吊り上げ術(ぜんとうきんつりあげじゅつ)

この手術は、上眼瞼挙筋の働きが著しく低下している重度の眼瞼下垂に対して行われます。糸や大腿部から採取した筋膜を使って、瞼板と額の前頭筋を直接連結し、眉を上げる動作で瞼を開けるようにする方法です。

上眼瞼挙筋の力では瞼が上がらない場合でも、額の筋肉の動きを代用することで視界を確保できるようになります。

※筋肉性眼瞼下垂に対しては、当院では手術を行っておりません。専門的な治療が必要な際は、近隣の高度医療機関をご案内いたします。

余剰皮膚切除術(よじょうひふせつじょじゅつ)

上瞼の皮膚が加齢などによって過剰にたるみ、視界を妨げている場合に適した手術です。余った皮膚を瞼の上、または眉下から切除することで、瞼の重みや圧迫感を軽減します。

手術の際は、立位または座位で適切な切除範囲を決定し、必要に応じて眼輪筋も併せて除去します。術後は細い糸で丁寧に縫合し、まつ毛を押し下げていた皮膚が取り除かれることで、目を開けやすくなります。

眼瞼下垂手術後に起こり得る不調とは?

眼瞼下垂手術の後には、瞼の腫れや異物感など、様々な不快症状が一時的に現れることがあります。多くは術後数週間で改善しますが、なかには再手術が必要となるケースもあります。

ここでは、術後によく見られる症状から稀な合併症まで、想定される不調と対処の目安をご紹介します。

腫れ

術後は、麻酔や縫合による刺激によって瞼が腫れることがあります。

「泣いた後のように腫れる」程度で済むことが多く、通常は1週間以内に徐々に落ち着いてきます。

内出血

切開部や糸を留めた周囲に、青や紫色の内出血が出ることがあります。術式や体質によって程度は異なりますが、ほとんどの場合、1ヶ月ほどで自然に吸収されて目立たなくなります。

涙目・ドライアイ

手術によって瞼が開きやすくなると、目の露出が増えて光を感じやすくなり、涙が出やすくなる(流涙)、または目が乾く(ドライアイ)といった症状が現れることがあります。いずれも一時的なことが多いですが、症状が強い場合は点眼薬などで対応します。

目やに

手術後は目の防御反応が活性化し、一時的に目やにが増えることがあります。こちらも通常は1ヶ月以内に自然に軽減していきます。

瞼が閉じにくくなる

瞼を開けやすくする手術を受けたことで、逆に瞼が閉じにくくなるケースがあります。

人によっては就寝中に瞼が完全に閉じず、目が少し開いたままになることもあります。これは「過剰矯正」の可能性があり、必要に応じて修正手術を行うこともあります。

左右差が出る場合がある

片目だけ手術をした場合や、両目を同時に手術した場合でも、術直後は腫れの程度などの影響で目の形や大きさに左右差が出ることがあります。多くは時間とともに改善しますが、数週間経過しても明らかな差が残る場合は、修正手術を検討することもあります。

また、元々瞼を持ち上げる力に左右差がある方は、術後にその差がより目立つようになることもあります。

瞼の痺れ(感覚麻痺)

切開の際に神経が傷つくことがあり、術後しばらくは瞼の感覚が鈍くなることがあります。

多くの場合、3〜6ヶ月ほどで自然に回復しますが、痺れが気になるからといって瞼を頻繁に触ったり引っ張ったりするのは、治癒を妨げるため避けましょう。

つっぱり感

腫れや皮膚の切除後の張りなどによって、瞼に引きつれるような違和感を覚えることがあります。これも腫れが引くにつれて次第に緩和していきます。

目のゴロゴロ感・異物感

術後の腫れや縫合による組織の圧迫で、目に異物が入ったような不快感を覚えることがあります。ほとんどは2週間程度で気にならなくなることが多いですが、視界がぼやけたり、角膜の形状に影響が出ることもあるため、長引く場合は眼科的なチェックが必要です。

再発(瞼の再下垂)

術後しばらくしてから再び瞼が下がってくることがあります。これは、無意識に瞼を擦ったり、前頭筋の使用が減少することで筋力が低下した場合に起こることがあります。当院では再発リスクを抑えるよう慎重に手術を行っていますが、術後のセルフケアも重要です。

三重瞼になる

元々二重瞼だった方が、手術後に瞼に3本のライン(いわゆる三重)が現れることがあります。これは切除範囲が足りなかった場合や、術後の皮膚のたるみによって生じることがあり、必要に応じて調整が行われます。

縫合糸の露出

稀に、術後の刺激や摩擦によって固定していた糸が皮膚表面に出てしまうことがあります。この状態を放置すると、眼球や瞼に傷をつける恐れがあるため、異変を感じたら早めに医師の診察を受けるようにしましょう。自分で糸を引っ張ったり触ったりするのは厳禁です。

眼瞼下垂手術後の腫れの目安

術後~1週間

手術後、最初の1週間は腫れが強く感じられる期間です。瞼がむくんだり、目やにが増えたりすることがあります。

腫れや内出血の影響で、一時的に二重の幅が広くなる、または左右差が生じることがあります。稀に、視界がぼやけることもありますが、これは角膜の腫れによるもので、腫れが治まるとともに改善します。

1~2週間

術後1週間目に抜糸を行い、メイクが可能になります。腫れや傷は残りますが、多くの方が人前に出られる程度には回復します。

ただし、腫れの引き具合には個人差があり、完全に腫れが引くまでにはさらに時間がかかることがあります。

2~4週間

術後2~4週間で、腫れは7~8割程度改善しますが、傷跡が硬くなり(拘縮)、1ヶ月目あたりから少し赤みを帯びて目立つことがあります。

4~12週間(1~3ヶ月)

術後4~12週間の間で、傷跡や残りの腫れが徐々に治まります。この時期には、最終的な完成度が90%ほどに達しますが、瞼の開きが完全ではないこともあります。

12~24週間(3~6ヶ月)

術後3~6ヶ月を経て、最終的な仕上がりに近づきます。この段階で腫れや傷が完全に治り、完成度が最も高くなります。

ダウンタイムを短くするためのポイント

眼瞼下垂手術後は腫れや内出血が見られることがありますが、症状が長引くことを避けるためには、術後の過ごし方が非常に重要です。ダウンタイムをできるだけ短くするために、以下の注意点に気をつけて生活するようにしましょう。

目を触らずに患部を冷やす

手術当日は、腫れが出る前に患部を冷やすことが効果的です。冷やすことで炎症を抑え、腫れが引きやすくなります。腫れが始まった後に冷やしても効果が薄くなることがあるため、早めの対応が大切です。

冷やす際には、保冷剤を直接肌に当てないようにし、ガーゼやタオルで包んで瞼を冷やすようにしましょう。これにより、炎症が抑えられ、腫れと内出血の期間も短くなります。

術後は、腫れや痛みで目を触りたくなることがありますが、術後3日間は直接患部に触れないように心がけてください。頻繁に触ることで、傷口が崩れたりケロイド状になる可能性があるため注意が必要です。

入浴や激しい運動を控える

術後すぐの入浴や激しい運動は控えましょう。入浴によって血流が促進されると、出血が止まりにくくなることがあります。術後の腫れは炎症反応ですが、熱いお湯を避け、ぬるめの湯で短時間のシャワーを心がけましょう。

また、術後3日~1週間は激しい運動を控え、血圧の上昇による出血リスクを避けましょう。入浴や運動を再開するタイミングについては、医師に確認を取りましょう。

禁酒・禁煙を徹底する

手術後は飲酒と喫煙を控えることが重要です。アルコールは血行を促進し、内出血やむくみを悪化させる可能性があります。一方、喫煙は血流を悪化させ、傷の治癒を遅らせるため、ダウンタイムが長引く原因となります。

ダウンタイムを短くするためにも、手術後しばらくは飲酒や喫煙を控えましょう。

コンタクトレンズの使用を控える

術後すぐにコンタクトレンズを使うと、目に負担がかかり、患部に触れてしまう可能性があります。術後1週間程度はコンタクトレンズの使用を控え、眼鏡の使用をお勧めします。

眼鏡を使うことで、患部に触れず、腫れを隠す役目も果たします。コンタクトレンズを再開するタイミングについては、必ず医師に確認してください。

傷口が治癒するまではアイメイクを控える

術後はアイメイクを控えましょう。傷口に化粧品が入ると、色素沈着を引き起こす可能性があるためです。傷が治るまではメイクを避け、抜糸後にメイクを再開しますが、傷の状態によっては、抜糸後もしばらくメイクができないことがあります。

眉下切開などの場合は、2日後からメイク可能なこともありますが、必ず医師に確認してください。アイメイクができない間は、眼鏡を使ってカモフラージュすることもできます。

眼瞼下垂手術後の日常生活への復帰タイミング

眼瞼下垂手術後は、術後1週間程度は腫れや赤みが強く出ており、患部を触ることで感染症のリスクが高まります。このため、できるだけ仕事は休むことをお勧めします。

ただし、激しい体力を使う仕事でない限り、腫れや患部の状態が気にならない場合は、術後翌日から通勤や通学を再開することは可能です。なお、コンタクトレンズやアイメイクは術後しばらく使えませんので注意が必要です。

術後すぐに無理をして仕事に復帰すると、無意識に目に触れてしまい、患部が悪化し、最終的にダウンタイムが長引く原因となることがあります。したがって、復帰時期については事前に医師と相談し、安静に過ごすことが大切です。

できるだけ患部を冷やし、無理せず生活することで、早期回復を目指しましょう。