コラム

2024.06.13

AGAの抜け毛の毛根には特徴があります。セルフチェックの方法と健康な毛根を保つ対策を解説

AGAの抜け毛の毛根には特徴があります。セルフチェックの方法と健康な毛根を保つ対策を解説

薄毛が気になる、抜け毛が増えたように感じるということはありませんか?

思い当たる場合、それはAGAかもしれません。

AGAとはAndrogenetic Alopeciaの略で、日本語では男性型脱毛症と言います。つまり男性の薄毛を意味するのですが、AGAという単語を見聞きしたことがあるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

日本人男性では、既に20代でも10%程度の方にAGAの症状が見られると言われており、さらに30代では20%、40代では30%、50代以降になると40数%以上と、AGAを発症する比率が高くなっていきます。

抜け毛が問題のないものか、注意が必要なものか判断するには、毛根をチェックすることである程度行えます。
ここではAGAが考えられる抜け毛について、毛根の特徴とその確認方法を中心にお伝えします。

 

●毛根の死滅は起きる?

毛根の死滅は起きる?結論からお伝えすると、毛根の毛母細胞は頭部に火傷や大怪我を負わない限り死滅しません。
毛髪は、頭皮から出て見える毛幹部分と、頭皮の中に隠れて見えない毛根部分に分けられます。毛根部分の最も深い箇所は毛球と呼ばれ、毛髪の大元である毛母細胞が分裂、増殖しています。ここから伸びたものが毛髪(毛幹)です。毛根の死滅とは、毛根細胞が全滅することを言います。つまり、毛根細胞が死滅することで髪の毛が全く生えないという状態になります。しかし、前述の通り毛根細胞の死滅は滅多に起きません。したがって、一般的に薄毛が気になる程度の症状であれば、髪の毛が生えてくる可能性はあると言えます。
ただし、AGAを発症したことで毛母細胞の働きが弱まり、休眠状態に入る場合があります。毛母細胞の働きが弱まると、ヘアサイクルも乱れるため注意が必要です。

 

●毛根が休眠状態になる原因

毛根(毛母細胞)が休眠状態に入るのはなぜでしょう。
5つの原因を以下でご説明します。

お酒の飲みすぎ

飲酒も適量であれば血行促進の効果があり、頭皮にとってもプラスとなりますが、お酒の飲み過ぎは控えましょう。なぜかと言うと、飲酒で吸収されたアルコールからアセトアルデヒドが生成され、このアセトアルデヒドを分解するために体内のアミノ酸や亜鉛が使われるからです。毛髪の成分であるタンパク質はアミノ酸からできており、亜鉛はその生成を助ける働きをします。つまり、過度な飲酒によって毛母細胞に必要な栄養分が不足して障害を起こし、毛根が休眠状態に入ってしまいます。

食生活の偏り
忙しい時に、食事を外食やコンビニ弁当で済ませてしまうことはないでしょうか。そのようなことが続くと、毛髪の生育に必要なタンパク質、亜鉛などのミネラル、ビタミンなどが不足してしまいます。食事のバランスが悪く栄養不足状態が続くと、毛根が休眠状態に入ってしまいます。

睡眠不足
毛母細胞で細胞分裂が盛んに行われ、毛髪が成長するためには、十分な睡眠も欠かせません。眠っている間は副交感神経が優位に働くため、成長ホルモンの分泌が行われます。睡眠不足が続くと成長ホルモンが減少し、その結果、毛根が休眠状態に入ってしまいます。多忙な時は就寝時間、睡眠時間ともに不規則になりがちですが、毛母細胞の活動を促すためにも規則正しい生活と十分な睡眠を心がけましょう。

喫煙習慣
タバコに含まれるニコチンには血管収縮作用があり、血流を低下させます。毛髪の成長に必要な栄養は毛細血管から毛母細胞に届けられるため、血行不良を招く喫煙は毛根を休眠状態に導いてしまうのです。

AGA
AGAはヘアサイクルを短くするため、新しく髪が生える前に髪が抜けてしまいます。
また、AGAを発症した場合、頭皮の受容体にジヒドロテストステロンが取り込まれるため、成長期を短くする指示が出されています。

健康な毛髪のヘアサイクルと比較すると、退行期への移行が早いため、毛髪の成長が不十分になります。
細く柔らかい髪が増えて抜け毛が多くなり、ヘアサイクルが乱れることで、毛根が休眠状態に入ってしまいます。

 

●注意が必要な抜け毛の特徴は毛根にある

注意が必要な抜け毛の特徴は毛根にある健康な毛髪とAGAになった毛髪では、ヘアサイクルに違いがあり、AGAでは抜け毛に特徴が見られます。
抜け毛を詳しく調べることで、頭皮や毛髪の状態が分かります。

【正常な毛根】
健康な毛髪の特徴は、太く長いこと、ハリがあること、毛根は膨らんだ形で先が白いことです。後退期から休止期へと進み、毛細胞の活動が止まるため、黒い色素が毛根に届かず毛根の先が白くなります。また、毛球の成長が十分であれば、毛根が膨らんで丸く白くなると考えられます。

毛根の白い塊「毛根鞘」
毛根を詳しく見てみると、白く半透明の塊が付いていることが分かります。
この塊は毛根鞘(もうこんしょう)と呼ばれ、髪の毛を頭皮へ固定する役割があります。毛根鞘の粘性はヘアサイクルとともに変化し、退行期へと進むうちに徐々に弱まっていきます。
毛根鞘は一見汚れや皮脂と思われがちですが、毛根全体を薄く包むような場合は正常な毛根なのです。逆に、ベタベタして塊の量が多い(大きい)という場合は、シャンプーの時に汚れが落ちていない可能性が考えられます。
 

【AGAが疑われる毛根】
AGAによる抜け毛の特徴は、短く細いこと、ハリがないことです。毛根は先が小さい、または毛根が見られない状態で、先端が白くなっています。
AGAでは成長期が短縮するため、毛髪は細くて短くなり、弾力に乏しくなります。加えて、毛根が小さくなるため、まるで毛根がないように見える場合もあり得ます。
成長期から退行期、休止期を経る正しいヘアサイクルでの抜け毛は、たとえ毛髪が短く細い状態でも、毛根が白いという特徴があります。

毛根が黒い場合も注意しましょう
抜け毛を観察して、根元が膨らんだ形で毛根がある場合でも、毛根の色によっては注意が必要な抜け毛かもしれません。
全体が真っ黒な毛根の時は、注意を要する抜け毛の可能性が高いのです。十分な栄養分が届いている毛髪であれば、毛根が黒くなることはないと考えられています。つまり、黒い毛根の場合、血流の低下などにより髪に必要な栄養が届いていない可能性があります。

 

●健康な毛根を保つためには?

食生活の見直しをする
まず日頃の食生活を見直しましょう。忙しさを理由に食事を抜く、無理なダイエットを行う、バランスの良くない食事を続けることなどは栄養不足に繋がり、毛根を退縮させてしまいます。

健康な髪の生育に欠かせない栄養素には、毛髪の成分であるタンパク質、毛髪の成長に必要なミネラル、髪の保護や頭皮の状態を整えるビタミン類などがあります。さらにバランスの良い食事を心がけて、様々な栄養素を摂取するようにしましょう。

睡眠の質の向上を目指す
睡眠は、単に長く眠ればよいというものではありません。時間よりも睡眠の質の向上に努めましょう。一例として、夕食後には興奮作用があるカフェインを含む緑茶やコーヒーを止め、鎮静作用があるラベンダーやカモミールなどのハーブティを選ぶことなどがあります。また、眠りにつく直前までスマホやパソコンを見てしまうと、ブルーライトの影響で寝つけなくなってしまいます。騒音や振動を遠ざけ、部屋の照明を落とすなど熟睡できる環境を整えていきましょう。

ストレス解消に取り組む
ストレス過多は、皮脂の過剰分泌や頭皮の血流低下を引き起こし、抜け毛対策にマイナスに作用します。しかし、社会生活を営むうえでストレスを全く受けないことはないため、ストレスの発散を心がけましょう。適度な運動、質の高い睡眠の確保などの他、趣味の時間を楽しんで上手にストレス発散することをお勧めします。

また、抜け毛に関する悩みもストレスを増やしてしまいます。「なかなか改善しない」と1人で悩まずに適切なケアを行っていきましょう。今のケアで良いのか不安がある場合には、AGA治療を専門に行う当院までご相談ください。専門の医師から毛髪や頭皮の状態についてアドバイスを受けることができ、不安解消に繋がります。

頭皮を清潔に保つ
皮脂の分泌が過剰になり、頭皮の毛穴が皮脂で詰まる場合があります。とはいえ、洗髪を頻繁に行い、皮脂を減らし過ぎると、頭皮の乾燥を招きフケなどが生じるため、頭皮の状態が悪くなってしまいます。そのため、余分な皮脂は洗い流して必要な皮脂を残すことが重要です。

また、シャンプーには頭皮にやさしいもの、洗浄力の高いもの、栄養成分が配合されているものなど多くの製品があります。抜け毛対策に重点を置いた育毛シャンプーを使うのも選択肢の1つです。ご自身の髪や頭皮の状態に合わせてシャンプーを選び、洗い過ぎに注意しつつ、頭皮を清潔に保つように心掛けましょう。

 

●AGAの場合は治療が必要

AGAの場合は治療が必要薄毛や抜け毛がAGAによって生じている場合、治療に踏み切るという選択肢もあります。
ここでの治療とは入院や手術ではなく、塗り薬や飲み薬などを用いて行う抜け毛対策のことです。早い方では治療開始から3ヶ月くらいで毛量の変化が認められ、治療を継続している間は効果が続くという利点があります。

フィナステリド
フィナステリドは、毛髪の成長を妨げ、抜け毛を引き起こす男性ホルモンの作用を抑えることで、薄毛の広がりを防止します。
フィナステリド錠は、日本で初めてAGA治療薬として発売されたプロペシアと同様の成分を含有し、治療効果が認められているジェネリック医薬品です。
2015年に国内で承認されたことから、現在では多くの医薬品メーカーから販売されています。以前からAGA治療のためプロペシアなどの治療薬を内服していた患者様にとって、ジェネリック医薬品の発売は治療費の軽減に繋がっています。

ミノキシジル(内服)
ミノキシジルは高血圧治療薬(降圧薬)の主要成分の1つで、血管を拡げ血圧を下げる作用を持ちます。ミノキシジル内服治療を行っていた多数の患者様に多毛の症状が現れたことで、薄毛治療への可能性が見出され、育毛剤へ転用されました。
内服薬は、基本的に医師が処方する医療用医薬品です。血液中から有効な成分を体内に取り込むため、外用薬に比べ高い効果を有します。

ミノキシジル(外用)
外用薬は、ミノキシジル濃度が最大5%(女性用育毛剤の市販品では濃度1%)のお薬であれば、通信販売や薬剤師が常駐するドラッグストアなどでも購入可能です。濃度5%の外用薬として、大正製薬の「リアップ」やファイザー社の「ロゲイン」などが認知されています。
ミノキシジル成分を5%以上(女性用では1%以上)含有する高濃度外用薬は、医療機関での処方が必要です。

植毛
自毛植毛術とは、AGAになっていない後頭部から健康な毛髪を毛根(頭皮)ごと採り、AGAが生じている箇所に移植する外科手術のことです。
自毛を用いるため生着率も高く、自毛植毛術はAGAが原因となる薄毛治療に効果があると考えられており、「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」では男性の患者様に対する推奨度はBランク(行うよう勧める)です。反面、痛みや外科手術を行うことでのリスク(合併症など)がある、治療にかかる費用が高額となるなどの課題も憂慮されています。

メソセラピー
メソセラピーとは、皮下注射で直接患部に毛髪の成長促進作用のある有効成分を注入する治療法のことです。元々、美容を目的とする治療などに用いられてきました。薄毛治療では、通常、有効成分を含有する薬液を直接頭皮に注入します。
医療の原則は、患者様に負担の少ない治療から実施することであり、世界的にもAGA治療を目的とするメソセラピーは推奨されていません。また、多くのメソセラピーは服薬治療を併用し、現時点で投薬治療と比較して治療効果が高いという論文はないことから、薄毛の改善や発毛が見られたケースも内服薬による効果ではないかと考えられています。

 

●抜け毛の毛根に異常がある時は当院をご受診ください

抜け毛の毛根に異常がある時は当院をご受診ください抜け毛には、正常なヘアサイクルで抜ける毛髪と、AGAや円形脱毛症などが原因となり抜けてしまう毛髪(異常脱毛)の2つがあります。

異常脱毛の原因には様々なものがあるため、まずはご自身の日常生活を確認して、抜け毛が生じる習慣がないか知っていきましょう。思い当たることがあれば、ヘアケアや食生活の見直しなど、すぐに行えることから取り入れていきます。日々行う良い生活習慣は、毛髪や頭皮など育毛環境の改善にも繋がるため、規則正しい生活を続けることが大切です。

​しかし、生活習慣を見直しても抜け毛が減少しない、逆に抜け毛が増加した、薄毛が目立つようになったという場合は注意が必要です。AGAが原因の場合、病状が進むため、できるだけ早く対処することが大切です。抜け毛の増加や進行に気付いたら、AGA治療を専門に行う当院をご受診ください。

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