コンタクトレンズの使用が原因で眼瞼下垂が起こるって本当?発症のメカニズムと対策を徹底解説

「コンタクトレンズを使うと眼瞼下垂になるのか?」と疑問を抱く方は少なくありません。また、既に眼瞼下垂と診断された方の中には、「コンタクトレンズの使用を控えた方が良いのか」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

本ページでは、そうした疑問にお答えするために、次のポイントについて詳しく解説します。

  • コンタクトレンズの使用が眼瞼下垂の発症に関係するのか
  • 眼瞼下垂になりやすい原因とコンタクトレンズとの関連性
  • 眼瞼下垂の方がコンタクトレンズを継続して使うべきかどうか
  • コンタクトレンズを外す際に注意すべき点
  • 眼瞼下垂手術後にコンタクトレンズを再開できるタイミング

眼瞼下垂について

眼瞼下垂とは、瞼が正常な位置よりも垂れ下がり、視界が狭くなる状態を指します。加齢やコンタクトレンズの長期使用、先天的な要因など、様々な原因によって発症します。

初期段階では自覚症状が乏しく、自分では異変に気づかないケースも少なくありません。

進行してくると、以下のような兆候が現れやすくなります。

  • 無意識のうちに眉を持ち上げて目を開けようとしている
  • 昔の写真と比べて、目元が小さくなったり、三角形のように見えたりする
  • 夕方になると頭痛や肩こり、眼の疲れを感じやすくなる

頭痛や肩こりが出ない場合でも、目元の印象が変わったと感じて不安になる方も多いです。

コンタクトレンズの使用で眼瞼下垂になることはあるのか?

コンタクトレンズ、特にハードタイプを長期間使用していると、眼瞼下垂を引き起こすリスクが高まることがあります。

装着や取り外しを繰り返す中で、瞼に過度な力が加わったり、デリケートな瞼を乱雑に扱ったりすることで、瞼の裏側にある「腱膜」と呼ばれる組織が、瞼の支えから外れてしまうことがあります。これにより発症するのが「腱膜性眼瞼下垂」であり、なかでもコンタクトレンズの使用が原因と考えられるものを「コンタクトレンズ性眼瞼下垂症」と呼びます。

実際、日本眼科学会の報告では、日本人の約10人に1人がコンタクトレンズを使用しているとされており、こうした眼瞼下垂を訴える方は年々増加傾向にあります。当院でも、コンタクトレンズが関連しているとみられる眼瞼下垂の患者様が増えてきています。

では、なぜコンタクトレンズが眼瞼下垂の原因になり得るのでしょうか。次の章で、その仕組みについて詳しく解説します。

なぜコンタクトレンズで眼瞼下垂になりやすくなるのか?

コンタクトレンズが原因で起こる眼瞼下垂は、ソフトタイプの使用者にも見られますが、特にハードコンタクトレンズを長期間使用している方に多く見られる傾向があります。

ではなぜ、ハードコンタクトレンズを使っていると眼瞼下垂を発症しやすいのでしょうか。主な要因として、以下の3点が挙げられます。

  • 瞼への継続的な圧力
  • 眼瞼の筋肉や腱への物理的な負担
  • 慢性的な炎症の発生

それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。

瞼への継続的な圧力

ハードコンタクトレンズは、ソフトタイプと比べて厚みと硬さがあるため、装着している間に瞼へ直接負荷がかかりやすくなります。瞬きをするたびにレンズが瞼の裏側を刺激し、内側から圧迫されるような状態が続くことで、腱膜に影響を与えやすくなります。

使用に慣れてくると違和感を感じにくくなりますが、目を開け閉めするたびにわずかな力が積み重なり、眼瞼下垂のリスクを高めてしまいます。

眼瞼の筋肉や腱への物理的な負担

コンタクトレンズを装着する際には、瞼を大きく開ける動作が必要です。この動作を繰り返すことで、瞼を持ち上げる筋肉(上眼瞼挙筋)や、その筋肉と瞼を繋ぐ腱膜に継続的な負担がかかります。日常的に行われるこの動作が、次第に腱膜の緩みや断裂を引き起こし、眼瞼下垂の発症に至ることがあります。

炎症による組織のダメージ

レンズの管理状態によっては、目の中に炎症が起き、それが眼瞼下垂の一因となることもあります。主な原因としては以下が考えられます。

  • レンズに付着した異物による刺激
  • 不適切な洗浄や保存による不衛生な使用
  • 手指が清潔でない状態でのレンズ装着

ハードコンタクトレンズは比較的長期間使用できますが、適切なメンテナンスを怠ると、瞼や眼球に慢性的な炎症が起き、組織の損傷や変化を招くことがあります。

眼瞼下垂の方はコンタクトを控えるべき?

眼瞼下垂の予防や進行を防ぐ観点から見れば、ハードコンタクトレンズの使用を中止、あるいは制限することは有効な選択肢です。

しかし、視力矯正のためにコンタクトレンズが欠かせないという方もいらっしゃるでしょう。そのような場合には、以下のような工夫で瞼への負担を軽減することが可能です。

  • コンタクトレンズを取り外す際に専用のスポイトを使用する
  • ソフトコンタクトレンズへ変更する
  • ワンデータイプの使い捨てレンズを活用する
  • 目や瞼を定期的に休ませる

それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。

専用スポイトを使ってコンタクトレンズを取り外す

特にハードコンタクトレンズを使用している場合は、取り外す際に瞼へ繰り返し触れることで腱膜に負担がかかりやすくなります。専用のスポイトを使うことで、瞼に触れる回数を減らすことができ、次のようなメリットが期待できます。

  • 不必要な接触を避け、瞼への物理的な刺激を軽減できる
  • メイクや皮脂などによる汚れがレンズに付着しにくくなる

こうした配慮により、炎症の予防にも繋がります。

ソフトコンタクトレンズへの切り替え

ソフトコンタクトレンズは柔らかく薄いため、ハードレンズと比較して瞼の筋肉や腱への負担が少なくなります。コストはやや高くなりますが、眼瞼下垂のリスク軽減という点では有効な代替手段と言えるでしょう。

ワンデータイプを使って清潔な状態を保つ

コンタクトレンズの不適切なケアは、眼の炎症を引き起こす原因となります。特にハードレンズは繰り返し使用するため、洗浄が不十分だと雑菌が繁殖しやすくなります。

一方、ワンデータイプのソフトコンタクトレンズは毎日使い捨てるため、常に清潔な状態で使用できます。衛生管理が苦手な方や、炎症を起こしやすい方には特にお勧めです。

目や瞼に休息の時間を

どのタイプのレンズであっても、毎日の装着が続けば目や瞼には少なからず負担が蓄積されます。視力矯正だけでなく、ファッション目的でカラーコンタクトを使う方も少なくありませんが、可能であれば装用日数を減らす、眼鏡に切り替える日を設けるなどして、瞼を休ませる時間を作りましょう。

眼瞼下垂の方がコンタクトレンズを外す際の注意点

眼瞼下垂の進行を防ぐためには、コンタクトレンズの取り外し方にも注意が必要です。特にハードコンタクトレンズを使用している方は、瞼への負担を最小限に抑えることが大切です。

取り外す際には、上瞼を強く引っ張らず、できるだけ下瞼を軽く下げて外すようにしましょう。上瞼に強い力をかけると、瞼を支えている「挙筋腱膜」と「瞼板」の接合部が緩んでしまい、腱膜性眼瞼下垂を引き起こす原因となります。

取り外しの手順としては、まず手を清潔に洗い、鏡の前で目を大きく見開きます。そのうえで、黒目の中央付近にあるレンズを下方向に軽くずらし、レンズの半分以上が黒目から外れた状態で指先でつまむようにして取り外すと、瞼への刺激を抑えることができます。

コンタクトレンズ以外にもある、眼瞼下垂の主な原因

眼瞼下垂はコンタクトレンズの長期使用によって引き起こされることがありますが、それ以外にも様々な要因が関係しています。代表的な原因として、以下の4つが挙げられます。

  • 加齢による変化
  • 先天的な瞼の異常
  • 外傷や手術による後遺症
  • 他の病気による影響

それぞれの要因について、詳しく解説していきます。

加齢による変化

眼瞼下垂の原因として最も多いのが加齢です。年齢とともに瞼の筋肉や腱膜が緩み、皮膚がたるむことで、瞼が徐々に下がってきます。こうした加齢に伴う眼瞼下垂は「老人性眼瞼下垂」と呼ばれ、高齢者に多く見られます。

発症の目安としては40代以降に始まり、特に60歳を超えるとその頻度が高まります。一方、10〜30代の若い年代では、加齢が直接の原因となることは稀です。

先天的な瞼の異常

生まれつき瞼が下がっている状態を「先天性眼瞼下垂」と呼びます。主な原因には以下のようなものがあります。

  • 瞼を持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋)の発達不全
  • 筋肉を動かす神経の異常

先天性の場合は視力の発達にも影響を及ぼすことがあるため、経過を見ながら適切な時期に手術を行う必要があります。治療は慎重な判断が求められます。

外傷や手術による後遺症

事故や手術などによる物理的なダメージが原因で発症するケースもあります。このような眼瞼下垂は「外傷性眼瞼下垂」と呼ばれます。

  • 交通事故や転倒による瞼への強い衝撃
  • 緑内障や白内障などの眼科手術後の合併症

外傷によって瞼が腫れたり、筋肉や神経に損傷が生じた場合、自然に回復することもありますが、場合によっては手術による修復が必要となることもあります。

他の病気による影響

眼や瞼そのものの異常ではなく、全身の病気が引き金となって眼瞼下垂が現れることもあります。原因となる代表的な疾患には以下があります。

  • 脳梗塞
  • 脳動脈瘤
  • 重症筋無力症
  • ミトコンドリア脳筋症

これらの病気が背景にある場合は、根本的な治療が必要です。眼瞼下垂の症状が急に現れた場合や、左右差が著しい場合には、精密な検査が重要になります。

手術後にコンタクトレンズを使える?

眼瞼下垂の手術を受けた直後は、一定期間コンタクトレンズの使用を控える必要があります。装着の再開時期は手術の内容によって異なりますが、一般的には術後1週間〜1ヶ月程度が目安です。

術後すぐにコンタクトレンズを使い始めてしまうと、傷の治癒が妨げられたり、炎症が起きたりする可能性があります。さらには、眼瞼下垂の再発を招くリスクもあるため、十分な注意が必要です。

視力矯正が必要な方は、回復するまでの間は眼鏡を使用するようにしましょう。コンタクトレンズの再開時期については、必ず主治医と相談のうえ判断してください。

ハードコンタクトレンズ使用者は特に注意を

長年ハードコンタクトレンズを使用している方は、瞼への負担が蓄積されており、眼瞼下垂を発症するリスクが高いとされています。

「瞼が開けづらい」「目が重く感じる」といった症状がある場合は、眼科での早期受診をお勧めします。症状が進行して見た目にも影響が出ている場合には、美容外科での手術による改善も選択肢の1つです。

眼瞼下垂は自然に治ることは少なく、放置すると悪化してしまうことがあります。少しでも異変を感じたら、早めに医師の診察を受けましょう。