AGAではどのような前兆症状が現れる?原因や治療法もあわせて解説

AGA(Androgenetic Alopecia|男性型脱毛症)は、男性ホルモンの影響で徐々に髪の毛が細くなり、やがて脱毛してしまう疾患です。主に中年以降の男性に発症する疾患ですが、症状の前兆は、30代から40代にかけて現れます。発症が早い方では、20代で現れるケースもあるため、早い内から対策が必要です。

本記事では、AGAの前兆や原因、そして進行を抑える治療法について詳しく解説していきます。AGAを正しく理解して、発症を予防しましょう。

AGAの前兆症状について

健康な頭皮でも、1日に50本〜100本程度の髪の毛が自然に抜け落ちます。この本数を超える本数の抜け毛や、髪の毛が目に見えて細くなってきたと感じたら、AGAの前兆症状かもしれません。

太く成長した髪が抜けるのは自然な現象ですが、AGAが進行すると、まだ成長途中の細い髪が抜け始めることがあります。抜け毛が細くなってきた場合は、AGAのサインである可能性があるため、早期に対処することがAGA治療において重要です。

前兆症状の詳しい内容を以下で詳しく解説しますので、兆候が見られた場合は、専門の医師に相談することをお勧めします。

生え際の髪の毛が抜け始める

AGAの初期症状の1つとして、生え際の髪の毛が抜け始め、おでこが広くなっていきます。M字型やU字型のパターンが多く「M字はげ」や「U字はげ」として表現されることもあります。

M字型の場合は、左右の「剃り込み」部分から薄毛が進行し、U字型の場合は生え際全体からつむじに向かって薄毛が広がっていきます。

この初期段階では、前頭部の髪が1本ずつ細くなり、全体的なボリュームが減少して、地肌が目立つようになります。AGAの影響を受けた髪は、通常よりも成長サイクルが短くなるため、以前のように太く長く成長せず、細く短いまま抜けてしまいます。その結果、新しい髪が生える速度も遅くなり、薄毛の進行がさらに目立つようになります。

頭頂部の薄毛が目立ち始める

AGAの初期症状としてもう1つよく見られるのが、頭頂部の薄毛化です。「つむじはげ」や「てっぺんはげ」「O字はげ」として表現されることもあります。頭頂部の髪の毛も前頭部と同じくAGAの影響でヘアサイクルの成長期が短くなり、太く長く育つ前に抜け落ちます。そのため、徐々につむじ部分が薄くなり、円形の薄毛が目立ち始めます。この薄毛が進行すると、頭頂部の髪が細くなり、やがては前頭部や側頭部にも薄毛が広がっていくことがあります。地肌が目立ちやすくなるため、早めの対策が重要です。

髪のボリュームが減る

AGAの初期には、髪の毛のボリュームも減少します。髪全体の密度が低下するため、クシを通す際に以前よりも軽く感じたり、髪がペタッとするように感じたりすることもあります。これは、AGAの影響で髪の毛が新しく生える速度が、抜け毛の速度に追いつかなくなったり、産毛や細い髪が増えたりしてしまうことが原因です。髪の毛が以前と比べて薄く感じるようになりましたら注意しましょう。

髪が伸びる速度が低下する

以前よりも髪の毛の伸びる速度が低下したと感じることがある場合も、AGAの初期症状です。特に、おでこの生え際やつむじの部分に症状が現れます。

これは、AGAの影響で髪のヘアサイクル(毛周期)が乱されてしまうため、髪がしっかりと成長する前に抜け落ちてしまうことが原因です。

頭皮がかゆくなる

AGAの原因の1つにジヒドロテストステロン(DHT)という男性ホルモンがあります。このホルモンは皮脂の分泌量を増やす性質があります。皮脂の分泌量が過剰になると、マラセチアと呼ばれる常在菌の一種が大量に繁殖し、脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)を招く可能性があります。脂漏性皮膚炎が起きたとしても、直接抜け毛を引き起こすことはありません。しかし、頭皮にかゆみや赤みが出やすくなるため、頭皮環境は悪くなります。

AGAと男性ホルモンの関係について

AGAと男性ホルモンは密接な関係です。以下では、AGAの発症の仕組みを解説します。

男性ホルモンによりAGAが起こる仕組み

男性ホルモンがAGAを引き起こす原因を理解するには、ヘアサイクルについて知っておく必要があります。

ヘアサイクルとは、髪の毛が生えてきてから太く成長し、抜け落ちてから再び生えてくるまでの一定の周期で繰り返すことです。髪の毛は数年間の成長期を経て、約2週間の退行期に入ります。その後、3〜4ヶ月ほどの休止期に移行し、この間に髪の毛は自然に抜け落ちます。

AGAが発症すると、ヘアサイクルの成長期が短くなり、短くて細い髪が生え揃うようになります。この原因となるのが、悪玉男性ホルモンとされるジヒドロテストステロン(DHT)です。DHTは、男性ホルモンの一種であるテストステロンが、頭皮に存在する5αリダクターゼIIという酵素と結びつくことで生成されます。

DHTが毛乳頭細胞に取り込まれると、髪の成長を妨げる信号が発せられ、その結果、短く弱い髪が増えてしまいます。

AGAは、テストステロンと5αリダクターゼII型が関与するため、年齢に関係なく発症する可能性があります。たとえ20代でも、薄毛が気になり始めたらAGAを疑い、早期に治療を始めることで進行を抑え、症状の改善が期待できます。

まずは、クリニックで適切な検査を受けることが大切です。

AGAの原因

血行不良

つむじ部分周辺の髪の毛が薄くなる主な原因は、血行不良とされています。血行が良い人の頭皮は白っぽい色をしています。しかし、頭頂部が薄くなっている方の頭皮を見ると、しばしば赤みを帯びており、血行不良であることが分かります。

血行が悪いと、髪の毛を作る毛母細胞に酸素や栄養が十分に届かなくなり、細胞の新陳代謝が低下します。その結果、ヘアサイクルの短縮に繋がり、薄毛が進行してしまいます。一方で、髪の毛の生え際から薄くなる主な原因は、遺伝的要因によるものと考えられています。

遺伝

男性ホルモンの分泌量は、遺伝の影響が関係しているため、親から受け継がれた体質が薄毛のリスクを高める要因となることがあります。男性ホルモンの一種であるテストステロンは、分泌量が多いほど髪の毛の成長を妨げるため、早期に抜けやすくなる原因とされています。

ストレス 

ストレスもAGAの要因の1つです。ストレスが蓄積されることで、代謝が乱れたり、筋肉が収縮して血管が細くなり、髪の根元である毛根部分に十分な栄養が行き渡らなくなることがあります。しかし、現時点ではストレスがAGAにどのように影響を与えるのか、はっきりとした結論が出ていないのが現状です。

生活習慣の乱れ

生活習慣の乱れも抜け毛や薄毛の原因です。特に食生活の乱れには注意が必要です。健康な髪の毛を維持するためには、良質なタンパク質、ビタミン、ミネラルが欠かせません。必要以上の脂質は避けるようにしてください。

髪の毛は、主にタンパク質で構成されているため、それをしっかりと供給するためのエネルギー源である糖分や、代謝を助けるビタミンやミネラルなども必要です。

また、髪の毛の健康に重要なのが亜鉛の摂取です。亜鉛は細胞分裂や再生を促進してくれます。亜鉛が不足すると、最初に影響が現れるのは髪の毛です。髪の毛の成長が遅くなったり、細くなったりしますので、切れ毛や抜け毛が増える原因になることもあります。

亜鉛を含む食品やサプリメントの摂取を検討し、亜鉛不足に気をつけましょう。

不適切なヘアケア

頭皮の汚れが薄毛の原因だと考え髪の毛を何度も洗う人がいますが、これは間違ったヘアケアです。過剰に頭皮を洗うことは、必要な皮脂まで落としてしまいます。不足した皮脂を補うために皮脂が過剰に分泌され、頭皮環境の乱れに繋がります。

また、血行を促すためのマッサージも、過度に行うと逆効果です。マッサージによって血行が良くなる一方、摩擦によって新しく生えたばかりの髪が抜けてしまうこともあります。

このように、頭皮の洗いすぎや過剰なマッサージなど、髪の毛に良かれと思って行っているケアが、実は逆効果になることがあるため注意が必要です。

AGAの治療方法

AGA治療は、初期段階で早めに対策を取ることが非常に重要です。初期の段階での治療は、多くの毛根が残った状態で脱毛の進行を遅らせたり、止めたりできる可能性があるからです。

症状を放置することは、無くなる毛根が増え続けることになり、治療を始めても効果が期待できなくなります。まずは専門の医師に相談し、AGAかどうかの診断を受けましょう。その上で、自分の症状や希望に合った治療法を選ぶことが大切です。

AGA治療薬

フィナステリド

フィナステリドは、男性ホルモンの働きを抑制する効果がある薬剤です。男性ホルモンの影響を受けるAGAの進行を妨げる効果があります。

日本で最初にAGA治療薬として承認された「プロペシア」と同じ成分が含まれている、後発医薬品(ジェネリック医薬品)として広く利用されています。

国内では、2015年に薬事承認され、現在では複数の医薬品メーカーの製品が作られています。従来プロペシアなどの先発品の治療薬を長期間服用していた方にとっては、ジェネリック医薬品の登場により治療費を抑えられるようになりました。

ミノキシジル(内服)

ミノキシジルは、もともと高血圧の治療に使われる降圧薬の成分の1つで、血管を拡張し血圧を下げる働きがあります。内服治療していた多くの方に多毛の症状が見られたため、育毛剤として薄毛治療に応用されるようになりました。

内服するミノキシジルは、医師の処方が必要な医薬品です。体内から薬の効果を発揮するため、外用薬よりも高い効果が期待されます。

ミノキシジル(外用)

外用薬のミノキシジルは、大正製薬の「リアップ」やファイザー社の「ロゲイン」などがよく知られています。薬剤師がいるドラッグストアや通販で流通しているミノキシジルは、成分濃度が最大5%(女性用では1%)の製品です。

ミノキシジルの成分濃度が5%以上(女性用は1%以上)含まれる高濃度の製品は、医療機関で医師による処方が必要となっています。

植毛

自毛植毛術は、AGAの影響を受けていない後頭部から健康な毛根を頭皮ごと採ってきて、AGAが進行している部分に移植する外科手術です。この手法は、高い生着率が期待できるため、AGAによる薄毛の改善に効果的とされています。

「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」によると、男性へのAGA治療法として「Bランク(行うよう勧める)」の推奨度が与えられています。

ただし、自毛植毛術は、痛みや合併症のリスク、費用が高額になりやすいことも考慮する必要があります。

メソセラピー 

メソセラピーとは、髪の毛の成長を促進させる有効成分を、体内に直接注入する医療行為です。もともと美容目的の治療に使用されてきた施術になります。有効成分を含む薬液を頭皮に直接注射し、薄毛改善を目指す治療です。

しかし、医療の原則として、まずは「侵襲性が低い治療」から実施することが重要とされており、AGA治療にメソセラピーを採用することは、世界的にもあまり認められていません。また、投薬治療と比較して有意であるというエビデンスはなく、多くの場合、内服薬との併用が行われます。したがって、発毛や薄毛改善の効果が見られたとしても、それが内服薬によるものかメソセラピーによるものかを判定することは難しいのが現状です。