
AGA治療に取り組む男性は30〜40代が中心で、この時期は妊活を考えている方も多いかと思います。
妊活は男女双方の協力があって成り立つもので、妊娠のための身体づくりをしていく必要があります。
AGA治療を検討されている方は、AGA治療が妊娠に支障を及ぼさないのか、また、妊娠した場合は胎児に何か障害が起きないか心配になることもあるでしょう。
本ページでは、妊活中の男性がAGA治療を行っても問題ないのか、そして妊娠中でも可能な治療法について丁寧に解説します。
各AGA治療薬が妊活中の男性に及ぼす影響について
AGA治療で使用される内服薬は、主に以下の3つになります。
- フィナステリド
- デュタステリド
- ミノキシジル
以下では、各薬剤の特徴や効果、妊活中に使用しても問題ないのか解説します。
フィナステリド
結論から言うと、フィナステリドは妊活中の使用はお勧めできません。フィナステリドはAGA治療薬として有名なものです。AGAは、テストステロンとαリダクターゼⅡ型が結びつくことで生成されるDHT(ジヒドロテストステロン)が原因となります。DHTは男性ホルモンの一種です。
フィナステリドは、DHTの生成を抑えることでヘアサイクルを正常化し、抜け毛を防ぐ効果が期待できます。
なお、男性ホルモンの生成を抑制するため、性欲低下、男性機能障害などの副作用が起こる可能性があります。
実際、フィナステリドの成分が精液に混ざるのは微量ですが、妊活中の服用はお勧めできません。妊活を検討されている場合、一時休薬して3ヶ月あけてから妊活を始めましょう。
女性は、フィナステリドの服用によりホルモンバランスが崩れることがあるため、服用は原則禁止となっています。また、DHTは、胎児期に男性器の形成に欠かせないホルモンです。妊娠中の女性が服用すると胎児の男性器の正常な発育に障害が生じる恐れがあるので、割れた錠剤などには直接触れないようにしましょう。
デュタステリド
デュタステリドも妊活中は使用がお勧めできません。
フィナステリドと同じく、デュタステリドもDHTの生成を抑える作用があります。
そのため、精子に多少なりとも影響します。実際、フィナステリドの服用により、正常な精子量の減少が確認されたという臨床報告もあります。
具体的には、精子の形態・濃度の変化は確認されませんが、総精子数は23%、精液量は26%、精子運動率は18%の減少が確認されています。
30%以上の変化は妊活に影響を及ぼすため、上記に示す変化は非常に少ないものではありますが、安全を考えて妊活中に服用しないようにしてください。
服用中の場合、休薬してから3ヶ月後から妊活に取り組みましょう。
また、女性の場合、男子胎児の生殖器の正常な発育を障害する可能性があるため、フィナステリドと同じく服用が原則禁止となっています。
パートナーが服用している場合、割れた薬剤に触れないようにしましょう。
ミノキシジル
ミノキシジルは、副作用に注意していれば、妊活中の男性が使用しても影響がないと考えられています。
ミノキシジルは、血管拡張作用を有しており、以前から高血圧を治療する降圧剤の成分として使用されていました。ミノキシジルを飲んでいた患者様の多くに多毛が確認されたことから、薄毛治療に応用されるようになりました。
ミノキシジルは内服薬と外用薬がありますが、厚生労働省から認可を得ているのは外用薬だけです。
そのため、内服薬を使用する場合、医師の説明や指示に従い、決められた用法と用量を守りましょう。
内服薬は外用薬よりもAGAの治療効果が高いと考えられていますが、血圧を下げる作用があり、血管を通って頭皮に作用するため、頭痛やめまい、むくみなどの副作用が起こることがあります。
ミノキシジルの作用は頭皮の血管を拡張することで、男性ホルモンへの作用はないため、女性でも服用可能ですが、妊活中の場合は推奨されません。胎児への影響があったという報告は現在のところ上がってきていませんが、安全性が保証できないためです。
出産後もホルモンバランスの乱れから抜け毛は多くなりますが、授乳期間が終わってから服用するようにしましょう。
妊活中は、通販で購入した医薬品の使用はNGです
昨今、AGA治療薬の通販サイトや個人輸入が問題になっています。
医療機関で処方してもらうよりも、通販や個人輸入の方が安く手に入りますが、なかには偽造薬が出品されていることもあり、服用することで深刻な健康被害が起きることもあります。
日本では「医薬品副作用被害救済制度」が整備されており、医薬品の副作用により深刻な健康被害が起きた場合は医療費や年金などが給付されます。
しかし、通販や個人輸入で購入した、承認されていないお薬で副作用が生じた場合、この制度の対象外となります。
妊活を検討されている場合、パートナー双方が健康な状態でいる必要があります。出所が分からない未承認薬は健康被害のリスクが非常に高いので、通販や個人輸入での入手はお控えください。
妊活中に行えるAGA治療法
AGAの治療法は、内服薬以外にも下記のようなものがあります。
内服薬の成分は血流にのって全身に運ばれるため、全身に影響が出ます。
一方、内服薬以外の体外から可能な治療の場合、男性ホルモンや男性機能に影響しないので、妊活中でも治療に取り組めます。
以下で、詳しく解説していきます。
有酸素運動
血行不良はAGA・FAGAの原因です。血行不良の改善には有酸素運動が効果的で、頭皮環境を整えることが可能です。運動は、1日30分程度のウォーキングを毎日続けるだけでも十分に効果があります。妊娠中の女性の場合は、安定期の16週目からウォーキングを開始しましょう。
バランスの整った食事
バランスの整った食事は、身体の健康を保つだけでなく、髪の毛の健康維持にも寄与します。髪の毛の成長を促す成分には、タンパク質やビタミン、ミネラルが挙げられます。タンパク質は鶏肉から摂取するのがお勧めです。鶏肉は、ビタミンやミネラルも含まれており、一気に必要な栄養を摂取できます。また、ワカメなどの海藻類が入ったお味噌汁もミネラルを摂取するのにお勧めです。
妊活中・妊娠中は和食をベースとした健康的な食生活が推奨されます。
禁煙
妊活に取り組む期間は、男女ともに禁煙を行ってください。特に、妊娠中の女性が喫煙した場合、ニコチンにより子宮内の血管が収縮し、胎児に必要な栄養が供給されず、流産や死産してしまう恐れがあります。また、禁煙は血行不良の改善も期待できるので、薄毛の進行を防ぐことにも繋がります。
育毛剤・発毛剤
育毛剤・発毛剤は薄毛部分に直接塗るものなので、肌トラブルなど副作用に気を付けて入れば、内服薬よりも安全性が高いです。
また、ドラッグストアなどでも購入できるので、気軽に始めやすい治療でもあります。
育毛剤と発毛剤は下記のように作用機序が異なります。
- 育毛剤:医薬部外品で、頭皮環境を改善して抜け毛を防ぎます。
- 発毛剤:医薬品で、髪の毛の成長を促します。
育毛剤は生えている毛に作用するのに対し、発毛剤は細胞に作用して発毛を促すという違いがあります。
育毛剤は、ミノキシジルが主成分となり、市販品の濃度は最大5%となります。
5%以上のものは医療機関で処方されることになりますが、妊活に取り組む旨を事前に医師に伝えるようにしてください。
メソセラピー
メソセラピーは、注射などを用いて抜け毛や薄毛の進行を防ぐ成分を直接頭皮に入れる方法です。
医療行為にあたるため、AGA外来が設置された医療機関でなければ受けられません。
有効成分は、毛の成長を促すミノキシジルや成長因子などを配合したものです。
注入方法は下記に示すように5種類に分けられ、どの方法で行うかはクリニックによって異なります。
- パピュール法:注射針を患部の表皮と真皮の間に刺し、有効成分を浸透させる方法
- ナパージュ法:表皮に浅く注射針を刺し、皮下組織に有効成分を浸透させる方法
- ダーマローラー法:極細の針が搭載されたローラーを肌の前面で転がし、微細な穴から有効成分を浸透させる方法
- ノーニードル法:特殊な電気刺激により皮膚細胞膜に穴をあけ、そこから有効成分を浸透させる方法
- フラクショナルレーザー法:レーザーにより表皮に微細な穴をあけ、有効成分を浸透させる方法
上記の治療はいずれも、2~4週間に1回、合計5~15回ほど行う必要があります。
なお、症状次第で回数や期間は変動するため、検討されている方は当院までお気軽にご相談ください。
ウィッグの使用
薄毛が進行している場合、治療ではありませんが、ウィッグの使用も選択肢の1つです。ウィッグの使用に躊躇いがあるという方は、帽子をかぶったり、髪型を短くしてみたりするのも良いでしょう。
まとめ
ここまで、AGA治療薬が妊活に及ぼす影響、妊活中に行える治療法について解説してきました。
フィナステリドとデュタステリドは、男性機能や精子に影響を及ぼすことから、妊活中に使用するのはお控えください。現在服用中の男性は、服用を一時中断して3ヶ月後から妊活を始めましょう。
また、AGA治療は内服薬だけに方法は限りません。他の治療法にも取り組んでみましょう。
当院では、内服薬以外の治療法についても適切なアドバイスを行っているので、お気軽にご相談ください。
