AGA治療によって抜け毛が起こる原因とは?初期脱毛のメカニズムやその対処法を解説
薄毛治療を始めたにもかかわらず、抜け毛が増えてしまう場合があります。「治療が自分に合わないのかもしれない」「この治療は正しくないのかもしれない」と自己判断して治療を止める前に、初期脱毛について知ることが大切です。初期脱毛は一過性のものであり、この段階での治療中止はお勧めできません。
ここでは初期脱毛が生じる仕組みや、その対応法などをお伝えします。治療を始めて抜け毛がひどくなったように感じても、落ち着いて初期脱毛によるものか確認しましょう。
●AGA(男性脱毛症)とは?
AGA(Androgenetic Alopecia)は日本語では「男性型脱毛症」と言い、成人男性に多い進行性の脱毛症を指します。
AGAの特徴は、毛髪が細くなりコシがなくなること(軟毛化)と抜け毛の増加です。
AGAの発症には男性ホルモンが関与し、日本では1,200万人以上の方が薄毛や抜け毛で悩んでおり、その大半がAGA(男性型脱毛症)だと考えられています。
通常、30~50代の男性に多く見られるAGAですが、最近では20代の方にも増加してきています。
日本人男性における発症は、全年齢平均でおよそ30%と報告されています。
発症頻度は、年代別に20代が10%、30代が20%、40代が30%、50代以降では40数%と年齢が上がるにつれ高まる傾向を示しています。
AGAは進行性の疾患であり、その進み方、広がり方は人によって異なります。
治療せずにそのままでいると、毛髪は減少し続け、薄毛や抜け毛が少しずつ目立つようになります。
●初期脱毛について
初期脱毛とは、薄毛治療を始めた当初に抜け毛が増える状態を言います。薄毛治療の経験がある患者様の大半が経験すると言われます。
なぜ、治療の初期に脱毛が起こるのか、その仕組みを以下で説明します。
初期脱毛の仕組み
初期脱毛には、毛髪の成長の流れを意味するヘアサイクルが深く関与します。
私たちの髪の毛は生涯同じ髪が生えているのではなく、新しく生まれ、成長して、抜けるということを繰り返します。この一巡をヘアサイクルと呼びます。ヘアサイクルは、毛髪が成長を続ける「成長期」、毛髪の成長が停止する「退行期」、毛髪が成長を終え抜けやすくなる「休止期」の3つに分けられます。
薄毛は、このヘアサイクルに不調が生じることで成長期が短縮してしまい、毛髪が丈夫に成長しないために生じることがあります。薄毛治療を始めるとヘアサイクルを正常に戻そうとするため、薄毛が見られる頭の皮膚に多様な変化が生じ、初期脱毛が出現します。より詳細な初期脱毛のメカニズムは別項目で説明しますので、是非参考になさってください。
●AGAで初期脱毛が起きる?
脱毛症には、脂漏性脱毛症、円形脱毛症など多くの種類があります。なかでも治療の初期に脱毛が見られるのは男性型脱毛症(AGA)です。AGAを起こす物質は、頭皮にある5aリダクターゼという酵素に男性ホルモンが結合してできたジヒドロテストステロン(DHT)です。DHTが毛乳頭細胞に作用して、ヘアサイクルに不調が生じることでAGAを発症します。毛髪の成長期が短縮するため、新たに生まれた毛髪が細くコシのない毛となり、徐々に薄毛が広がってしまいます。
また、初期脱毛はAGA治療薬の働きによって生じるので、お薬が正しく効いているとも言えます。AGA治療は、抜け毛を防止する、発毛を促すという両面から行いますが、どちらでも初期脱毛が生じる可能性があります。
●AGA治療による初期脱毛のメカニズム
ここでは発毛を促す有効成分ミノキシジル、抜け毛を防止する有効成分デュタステリドに分けて、初期脱毛のメカニズムを詳しくお伝えします。
ミノキシジル
ミノキシジルは、発毛を促す効果があるとして、世界90か国以上で認められ用いられている成分です。休止期にある毛髪を成長期へと転換させたり、成長期を延ばしたりすることによって、長く太い毛髪が成長するように作用します。
ミノキシジルを用いることでヘアサイクルが正常に近づくにつれて、治療前に生えていた短く細い毛髪は、新たに生えた太い毛髪に押されて抜けていきます。これがミノキシジルによる初期脱毛の仕組みで、AGAのため軟毛となっていた毛髪が健康で丈夫な毛髪に変わっていくために必要な脱毛と言えます。
デュタステリドは、5αリダクターゼの作用を抑え、抜け毛を防止する働きがある成分としてAGA治療に使われています。5αリダクターゼの作用を抑制することでDHTの生成を減少させ、ヘアサイクルを正常化させていきます。ヘアサイクルを正常に近づけていく時に、治療前に生えていた毛髪が抜けるため、初期脱毛が見られます。つまり、デュタステリドによる初期脱毛は、薄毛状態から正常な状態へと改善していく転換期と言えます。
【初期脱毛が続く期間】
初期脱毛がお薬の効いている証だとしても、脱毛期間が長期化すると「このまま生えてこないのでは?」と不安に思うかもしれません。初期脱毛の続く期間はどれくらいなのでしょうか。
ここまでお伝えしたように、初期脱毛はヘアサイクルが正常に戻る過程で生じるため、すぐに落ち着くものではありません。人によりますが、治療を始めておよそ10日~1ヶ月後ぐらいから脱毛が見られ、その後約3ヶ月続くと考えられています。
また、初期脱毛期間中の毛髪は抜け続けているのではありません。抜け毛の増減を繰り返し、最終的に抜け毛が治まるという方が大半です。
【治療薬が効いている証拠】
AGA治療によって生じる抜け毛は、お薬が効いている証だとも言えます。治療を始めても頭皮に変化がない場合には、初期脱毛は起きないからです。
言い換えると、初期脱毛が見られないケースの方が、治療薬が作用していないのかもしれず注意が必要です。抜け毛が生じると心配になりますが、薄毛や脱毛が良くなる過程でヘアサイクルが正常に近づいているとプラス面に目を向けることが重要です。
●AGAによって起こる抜け毛の特徴
AGAが原因となって生じる抜け毛には共通点があります。抜け毛がAGAによるものか正しく判断するために、特徴を知っておきましょう。
- 短くて細いなど見た目が弱々しい
- 髪にハリやコシがない
それぞれについて詳しくご説明いたします。
短くて細いなど見た目が弱々しい
AGAが原因で抜け落ちる毛髪は、短い、細いなど見た目が弱々しいという特徴があります。薄毛や脱毛が広がる頭皮はヘアサイクルが整わず、成長期が短縮していることで健康な毛髪が育たないためです。
AGA治療を始めると正常なヘアサイクルで育つ毛髪が増え、それまで生えていた弱々しい毛が少しずつ抜けていきます。治療前の状態でも生じるので、抜け毛に共通する特徴が見られたらAGAの広がりがないか確認しましょう。
髪にハリやコシがない
もう1つの特徴は、髪にハリやコシが感じられないことです。弾力のない毛髪はボリュームに乏しく、毛先を指に巻き付けた時に戻る力が弱くなります。
抜ける前の毛髪でも同じことを確認できるため、AGAの広がりを判断する参考になります。抜け毛の量が増加したように感じる時には、髪のハリやコシを確かめてみてください。
●初期脱毛が起きたら?
頭では初期脱毛だと理解していても、抜けた毛髪を目にすると「このまま治療を継続して良いのだろうか?」と心配になる患者様も多いと思います。
「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」の「CQ3:ミノキシジル概要は有用か?」には、初期脱毛について下記のように記されています。
「一方で,男女ともにミノキシジル外用初期に休止期脱毛がみられることがあり,これが外用中止につながる恐れがあるため,患者への説明が必要である」
初期脱毛が生じたことを理由に治療を中止するのではなく、症状改善のために大切な時期だと捉え、治療を継続しましょう。次の項目では初期脱毛を乗り越えるためのコツをいくつかご紹介しますので、是非お試しください。
初期脱毛を乗り越えるコツ
初期脱毛に関して悩むのはある意味自然なことですが、生まれ変わろうとしている新しい髪に目を向けていきましょう。
生えてくる毛髪が丈夫で健康的な髪として育つためのコツを以下で紹介します。
生活習慣を見直し、心身を整えることで、髪の毛も健やかに育っていきます。食生活の偏り、ストレス過多、睡眠不足などは身体への大きな負担となり、治療により生えてきた毛髪の成長を妨げる可能性があります。これまでの生活習慣を急に変えることは無理が大きいため、可能なことから少しずつ改善していきましょう。
頭皮マッサージ
毛髪の成長に必要な栄養分は血液によって運ばれますので、頭皮マッサージを行い、血行を良くすることが有効です。また、頭皮マッサージにはストレス軽減や毛穴の詰まりを綺麗にするという長所があります。
入浴や就寝前など、落ち着いた時に行う頭皮マッサージを習慣化していきましょう。ブラシで叩いたり爪を立てたりしてしまうと、かえって頭皮や毛根にダメージを与えるため、優しくマッサージしてください。
過度な飲酒や喫煙習慣の見直し
お酒の飲み過ぎや喫煙の習慣がある方は、治療をきっかけに見直しましょう。
お酒の飲み過ぎは、AGAの原因物質であるDHTを増やしてしまうリスクがあります。治療を行っても過度な飲酒によりDHTが増加してしまうと、たとえ初期脱毛を乗り越えても、薄毛の改善が望めないという状況になりかねません。また、アルコールの分解には、毛髪の成分でもあるアミノ酸の消費を伴う点にも気を付けなければなりません。
喫煙には、毛髪にとって重要な栄養素の1つであるビタミンCを大量に消費する、育毛を阻害する血行不良が生じる、細胞の老化を促すなど様々な短所があります。
過度な飲酒や喫煙習慣も、急に止めようとすると、かえってストレスとなる場合があります。徐々に量を減らすなど、見直しを心がけてみてください。
●不安な時は当院までご相談ください
「初期脱毛といっても、この状態がいつまで続くか分からない」と不安に感じる場合や、3ヶ月以上脱毛が続く場合などには、AGA治療を専門に行う当院までご相談ください。医師の診察によって、現在の毛髪や頭皮の状態が分かり、治療を続けて良いのか専門的なアドバイスを受けることも可能です。たとえ初期脱毛以外の原因が見つかった場合にも、受診により適切な対処が行えます。不安に思っている方は、当院をご受診ください。
AGAの抜け毛の毛根には特徴があります。セルフチェックの方法と健康な毛根を保つ対策を解説
薄毛が気になる、抜け毛が増えたように感じるということはありませんか?
思い当たる場合、それはAGAかもしれません。
AGAとはAndrogenetic Alopeciaの略で、日本語では男性型脱毛症と言います。つまり男性の薄毛を意味するのですが、AGAという単語を見聞きしたことがあるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
日本人男性では、既に20代でも10%程度の方にAGAの症状が見られると言われており、さらに30代では20%、40代では30%、50代以降になると40数%以上と、AGAを発症する比率が高くなっていきます。
抜け毛が問題のないものか、注意が必要なものか判断するには、毛根をチェックすることである程度行えます。
ここではAGAが考えられる抜け毛について、毛根の特徴とその確認方法を中心にお伝えします。
●毛根の死滅は起きる?
結論からお伝えすると、毛根の毛母細胞は頭部に火傷や大怪我を負わない限り死滅しません。
毛髪は、頭皮から出て見える毛幹部分と、頭皮の中に隠れて見えない毛根部分に分けられます。毛根部分の最も深い箇所は毛球と呼ばれ、毛髪の大元である毛母細胞が分裂、増殖しています。ここから伸びたものが毛髪(毛幹)です。毛根の死滅とは、毛根細胞が全滅することを言います。つまり、毛根細胞が死滅することで髪の毛が全く生えないという状態になります。しかし、前述の通り毛根細胞の死滅は滅多に起きません。したがって、一般的に薄毛が気になる程度の症状であれば、髪の毛が生えてくる可能性はあると言えます。
ただし、AGAを発症したことで毛母細胞の働きが弱まり、休眠状態に入る場合があります。毛母細胞の働きが弱まると、ヘアサイクルも乱れるため注意が必要です。
●毛根が休眠状態になる原因
毛根(毛母細胞)が休眠状態に入るのはなぜでしょう。
5つの原因を以下でご説明します。
飲酒も適量であれば血行促進の効果があり、頭皮にとってもプラスとなりますが、お酒の飲み過ぎは控えましょう。なぜかと言うと、飲酒で吸収されたアルコールからアセトアルデヒドが生成され、このアセトアルデヒドを分解するために体内のアミノ酸や亜鉛が使われるからです。毛髪の成分であるタンパク質はアミノ酸からできており、亜鉛はその生成を助ける働きをします。つまり、過度な飲酒によって毛母細胞に必要な栄養分が不足して障害を起こし、毛根が休眠状態に入ってしまいます。
忙しい時に、食事を外食やコンビニ弁当で済ませてしまうことはないでしょうか。そのようなことが続くと、毛髪の生育に必要なタンパク質、亜鉛などのミネラル、ビタミンなどが不足してしまいます。食事のバランスが悪く栄養不足状態が続くと、毛根が休眠状態に入ってしまいます。
睡眠不足
毛母細胞で細胞分裂が盛んに行われ、毛髪が成長するためには、十分な睡眠も欠かせません。眠っている間は副交感神経が優位に働くため、成長ホルモンの分泌が行われます。睡眠不足が続くと成長ホルモンが減少し、その結果、毛根が休眠状態に入ってしまいます。多忙な時は就寝時間、睡眠時間ともに不規則になりがちですが、毛母細胞の活動を促すためにも規則正しい生活と十分な睡眠を心がけましょう。
喫煙習慣
タバコに含まれるニコチンには血管収縮作用があり、血流を低下させます。毛髪の成長に必要な栄養は毛細血管から毛母細胞に届けられるため、血行不良を招く喫煙は毛根を休眠状態に導いてしまうのです。
AGA
AGAはヘアサイクルを短くするため、新しく髪が生える前に髪が抜けてしまいます。
また、AGAを発症した場合、頭皮の受容体にジヒドロテストステロンが取り込まれるため、成長期を短くする指示が出されています。
健康な毛髪のヘアサイクルと比較すると、退行期への移行が早いため、毛髪の成長が不十分になります。
細く柔らかい髪が増えて抜け毛が多くなり、ヘアサイクルが乱れることで、毛根が休眠状態に入ってしまいます。
●注意が必要な抜け毛の特徴は毛根にある
健康な毛髪とAGAになった毛髪では、ヘアサイクルに違いがあり、AGAでは抜け毛に特徴が見られます。
抜け毛を詳しく調べることで、頭皮や毛髪の状態が分かります。
【正常な毛根】
健康な毛髪の特徴は、太く長いこと、ハリがあること、毛根は膨らんだ形で先が白いことです。後退期から休止期へと進み、毛細胞の活動が止まるため、黒い色素が毛根に届かず毛根の先が白くなります。また、毛球の成長が十分であれば、毛根が膨らんで丸く白くなると考えられます。
毛根の白い塊「毛根鞘」
毛根を詳しく見てみると、白く半透明の塊が付いていることが分かります。
この塊は毛根鞘(もうこんしょう)と呼ばれ、髪の毛を頭皮へ固定する役割があります。毛根鞘の粘性はヘアサイクルとともに変化し、退行期へと進むうちに徐々に弱まっていきます。
毛根鞘は一見汚れや皮脂と思われがちですが、毛根全体を薄く包むような場合は正常な毛根なのです。逆に、ベタベタして塊の量が多い(大きい)という場合は、シャンプーの時に汚れが落ちていない可能性が考えられます。
【AGAが疑われる毛根】
AGAによる抜け毛の特徴は、短く細いこと、ハリがないことです。毛根は先が小さい、または毛根が見られない状態で、先端が白くなっています。
AGAでは成長期が短縮するため、毛髪は細くて短くなり、弾力に乏しくなります。加えて、毛根が小さくなるため、まるで毛根がないように見える場合もあり得ます。
成長期から退行期、休止期を経る正しいヘアサイクルでの抜け毛は、たとえ毛髪が短く細い状態でも、毛根が白いという特徴があります。
毛根が黒い場合も注意しましょう
抜け毛を観察して、根元が膨らんだ形で毛根がある場合でも、毛根の色によっては注意が必要な抜け毛かもしれません。
全体が真っ黒な毛根の時は、注意を要する抜け毛の可能性が高いのです。十分な栄養分が届いている毛髪であれば、毛根が黒くなることはないと考えられています。つまり、黒い毛根の場合、血流の低下などにより髪に必要な栄養が届いていない可能性があります。
●健康な毛根を保つためには?
食生活の見直しをする
まず日頃の食生活を見直しましょう。忙しさを理由に食事を抜く、無理なダイエットを行う、バランスの良くない食事を続けることなどは栄養不足に繋がり、毛根を退縮させてしまいます。
健康な髪の生育に欠かせない栄養素には、毛髪の成分であるタンパク質、毛髪の成長に必要なミネラル、髪の保護や頭皮の状態を整えるビタミン類などがあります。さらにバランスの良い食事を心がけて、様々な栄養素を摂取するようにしましょう。
睡眠は、単に長く眠ればよいというものではありません。時間よりも睡眠の質の向上に努めましょう。一例として、夕食後には興奮作用があるカフェインを含む緑茶やコーヒーを止め、鎮静作用があるラベンダーやカモミールなどのハーブティを選ぶことなどがあります。また、眠りにつく直前までスマホやパソコンを見てしまうと、ブルーライトの影響で寝つけなくなってしまいます。騒音や振動を遠ざけ、部屋の照明を落とすなど熟睡できる環境を整えていきましょう。
ストレス解消に取り組む
ストレス過多は、皮脂の過剰分泌や頭皮の血流低下を引き起こし、抜け毛対策にマイナスに作用します。しかし、社会生活を営むうえでストレスを全く受けないことはないため、ストレスの発散を心がけましょう。適度な運動、質の高い睡眠の確保などの他、趣味の時間を楽しんで上手にストレス発散することをお勧めします。
また、抜け毛に関する悩みもストレスを増やしてしまいます。「なかなか改善しない」と1人で悩まずに適切なケアを行っていきましょう。今のケアで良いのか不安がある場合には、AGA治療を専門に行う当院までご相談ください。専門の医師から毛髪や頭皮の状態についてアドバイスを受けることができ、不安解消に繋がります。
頭皮を清潔に保つ
皮脂の分泌が過剰になり、頭皮の毛穴が皮脂で詰まる場合があります。とはいえ、洗髪を頻繁に行い、皮脂を減らし過ぎると、頭皮の乾燥を招きフケなどが生じるため、頭皮の状態が悪くなってしまいます。そのため、余分な皮脂は洗い流して必要な皮脂を残すことが重要です。
また、シャンプーには頭皮にやさしいもの、洗浄力の高いもの、栄養成分が配合されているものなど多くの製品があります。抜け毛対策に重点を置いた育毛シャンプーを使うのも選択肢の1つです。ご自身の髪や頭皮の状態に合わせてシャンプーを選び、洗い過ぎに注意しつつ、頭皮を清潔に保つように心掛けましょう。
●AGAの場合は治療が必要
薄毛や抜け毛がAGAによって生じている場合、治療に踏み切るという選択肢もあります。
ここでの治療とは入院や手術ではなく、塗り薬や飲み薬などを用いて行う抜け毛対策のことです。早い方では治療開始から3ヶ月くらいで毛量の変化が認められ、治療を継続している間は効果が続くという利点があります。
フィナステリド
フィナステリドは、毛髪の成長を妨げ、抜け毛を引き起こす男性ホルモンの作用を抑えることで、薄毛の広がりを防止します。
フィナステリド錠は、日本で初めてAGA治療薬として発売されたプロペシアと同様の成分を含有し、治療効果が認められているジェネリック医薬品です。
2015年に国内で承認されたことから、現在では多くの医薬品メーカーから販売されています。以前からAGA治療のためプロペシアなどの治療薬を内服していた患者様にとって、ジェネリック医薬品の発売は治療費の軽減に繋がっています。
ミノキシジル(内服)
ミノキシジルは高血圧治療薬(降圧薬)の主要成分の1つで、血管を拡げ血圧を下げる作用を持ちます。ミノキシジル内服治療を行っていた多数の患者様に多毛の症状が現れたことで、薄毛治療への可能性が見出され、育毛剤へ転用されました。
内服薬は、基本的に医師が処方する医療用医薬品です。血液中から有効な成分を体内に取り込むため、外用薬に比べ高い効果を有します。
ミノキシジル(外用)
外用薬は、ミノキシジル濃度が最大5%(女性用育毛剤の市販品では濃度1%)のお薬であれば、通信販売や薬剤師が常駐するドラッグストアなどでも購入可能です。濃度5%の外用薬として、大正製薬の「リアップ」やファイザー社の「ロゲイン」などが認知されています。
ミノキシジル成分を5%以上(女性用では1%以上)含有する高濃度外用薬は、医療機関での処方が必要です。
植毛
自毛植毛術とは、AGAになっていない後頭部から健康な毛髪を毛根(頭皮)ごと採り、AGAが生じている箇所に移植する外科手術のことです。
自毛を用いるため生着率も高く、自毛植毛術はAGAが原因となる薄毛治療に効果があると考えられており、「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」では男性の患者様に対する推奨度はBランク(行うよう勧める)です。反面、痛みや外科手術を行うことでのリスク(合併症など)がある、治療にかかる費用が高額となるなどの課題も憂慮されています。
メソセラピー
メソセラピーとは、皮下注射で直接患部に毛髪の成長促進作用のある有効成分を注入する治療法のことです。元々、美容を目的とする治療などに用いられてきました。薄毛治療では、通常、有効成分を含有する薬液を直接頭皮に注入します。
医療の原則は、患者様に負担の少ない治療から実施することであり、世界的にもAGA治療を目的とするメソセラピーは推奨されていません。また、多くのメソセラピーは服薬治療を併用し、現時点で投薬治療と比較して治療効果が高いという論文はないことから、薄毛の改善や発毛が見られたケースも内服薬による効果ではないかと考えられています。
●抜け毛の毛根に異常がある時は当院をご受診ください
抜け毛には、正常なヘアサイクルで抜ける毛髪と、AGAや円形脱毛症などが原因となり抜けてしまう毛髪(異常脱毛)の2つがあります。
異常脱毛の原因には様々なものがあるため、まずはご自身の日常生活を確認して、抜け毛が生じる習慣がないか知っていきましょう。思い当たることがあれば、ヘアケアや食生活の見直しなど、すぐに行えることから取り入れていきます。日々行う良い生活習慣は、毛髪や頭皮など育毛環境の改善にも繋がるため、規則正しい生活を続けることが大切です。
しかし、生活習慣を見直しても抜け毛が減少しない、逆に抜け毛が増加した、薄毛が目立つようになったという場合は注意が必要です。AGAが原因の場合、病状が進むため、できるだけ早く対処することが大切です。抜け毛の増加や進行に気付いたら、AGA治療を専門に行う当院をご受診ください。