コラム

2025.03.20

眼瞼下垂になると肩こりが生じるのはなぜ?肩こりが起こる仕組みや眼瞼下垂の手術によって改善するのかについて解説!

眼瞼下垂とは、その名の通り瞼が垂れ下がってきて視界を妨げている状態を指します。「瞼が重く、瞼を上下するのが難しく感じる」「眼精疲労」「目の奥の不快感」「額や眉間のシワが目立つ」などの症状が現れますが、意外にも「肩こり」の症状が現れることがあります。

一体なぜ眼瞼下垂になると肩こりが生じるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

 

眼瞼下垂とは

眼瞼下垂とは、瞼を引き上げる役割を持つ挙筋腱膜やミュラー筋が緩むことで、瞼が下がる状態を指します。この状態は、長期間使用されたゴム紐が伸びてしまう現象に似ています。通常の瞼はしっかりと開いており、瞳が完全に露出するため、広範囲を見渡すことができます。

眼瞼下垂の初期段階では、瞼がわずかに下がり、二重の幅が拡大するのが特徴です。進行すると、瞼が瞳にかかり始め、さらに二重の幅が拡大します。この頃になると、視界の一部に瞼が入り込むため、視野が狭くなります。その結果、下がった瞼を持ち上げようと額の筋肉を過剰に使い、額にシワができたり眉毛が上がることが増えたりします。症状がさらに進行すると、瞼が瞳を半分以上覆うようになり、視界に大きな影響を及ぼします。

黒目の中心から上瞼までの距離を基準にすると、正常な状態ではおおよそ4mmですが、眼瞼下垂の初期段階ではこの距離が2~4mmの範囲に縮まり、中期ではさらに短くなり、2mm以下になります。

【眼瞼下垂の症状】
眼瞼下垂を発症すると、主に以下のような症状が見られることがあります。
もし思い当たることがございましたら、一度当院までご相談ください。

瞼・視野に関する症状

  • 瞼を持ち上げるのが難しい
  • 瞼が重く圧迫されるように感じる
  • 目を開ける際に力が必要
  • 物がはっきり見えづらい
  • 視野が制限されるように感じる など

外見上の変化

  • 眠たそうな目元や表情に見られる
  • 額に常にシワが寄っている
  • 一重だった目が二重に変わった
  • 二重の幅が以前より広がっている
  • 上瞼にくぼみができている
  • 顎を上げる姿勢が習慣化している など

随伴症状
瞼が十分に開かないことで、それを補おうと額の筋肉である前頭筋により瞼を上げる癖がつき、次のような二次的な症状(随伴症状)が生じることがあります。

  • 頭が痛む
  • 肩や首のこり
  • 瞼や顔の筋肉が痙攣する
  • めまいやふらつき
  • 光に対して過敏になり、まぶしく感じる
  • 睡眠の質が悪くなる
  • 慢性的な疲労感
  • 手足や身体が冷える
  • 便秘や下痢が続く など

 

眼瞼下垂で肩こりが起こる原因

眼瞼下垂を発症すると、瞼を持ち上げる役割を担う上眼瞼挙筋と、瞼を支える瞼板との結びつきが緩み、瞼を上げる力が低下します。

その結果、目を開くことが難しくなり、それを補おうと額の前頭筋を過剰に使って瞼を持ち上げようとする癖がつきます。

また、視野が狭くなり物が見えづらくなるため、頭を後ろに傾けたり顎を突き出したりして視界を確保しようとするようになります。こうした動作により、首や肩、背中に負担がかかると同時に、目の周りや額の筋肉が緊張した状態が常態化するため、慢性的な首や肩のこり、頭痛が生じることがあります。

 

眼瞼下垂が首のこりの原因になることも

眼瞼下垂によって視野が狭窄すると、それを補おうと頭を後ろに傾け、首を前に突き出すような姿勢を取ることがあります。この不自然な姿勢を長時間続けることで、首の筋肉に過剰な負担がかかり、ストレートネックを引き起こします。

ストレートネックとは、本来は緩やかな前弯を描いているはずの頚椎(首の骨)が、パソコンやスマートフォンなど長時間のVDT作業などによって、首を前に突き出した状態のまま直線的に変形してしまう状態を指します。

この状態になると、首や肩の筋肉が強く緊張し、首のこりや不快感、痛みが現れるようになります。また、頭部を支える負担が増えることで、首の筋肉が張りやすくなり、さらにこりが悪化します。これに伴い血流が滞ることで、様々な不調を引き起こす可能性があります。

眼瞼下垂を放置した場合

眼瞼下垂は自覚しづらい症状であるため、初期段階では気づかずに放置されてしまうことが少なくありません。しかし、眼瞼下垂を放置していると、症状が少しずつ進行し、瞼が開きにくくなるため、視界が狭まったり、見えづらくなったりする問題が深刻化します。加えて、首や肩のこり、頭痛、めまいといった随伴症状も悪化する恐れがあります。

 

眼瞼下垂のセルフチェック

眼瞼下垂の有無は、ご自宅で容易にセルフチェックできます。
もしセルフチェックの結果で「眼瞼下垂の可能性がある」と感じた場合は、一度当院までご相談ください。

専門の診査・診断を通じて、正確な状態を確認することをお勧めします。

【セルフチェックの方法】
STEP.1
鏡の前で目を閉じて、眉毛の下に定規をぶら下げるように垂直に当てて固定します。

STEP.2
定規を指で押さえた状態で、そっと目を開けます。

STEP.3
鏡に映ったご自身の瞳をスマートフォンなどで撮影しましょう。

STEP.4
撮影した画像を確認し、瞳(黒目)の中心から上瞼までの距離を測定します。
この距離が3.5mm以下の場合は、眼瞼下垂の可能性があります。

 

眼瞼下垂の手術を受けることで肩こりは改善する?

眼瞼下垂は、瞼を持ち上げる上眼瞼挙筋と瞼板の結びつきが少しずつ緩むことで、瞼を開ける力が低下した状態です。
この影響で視野が狭窄し、それを補おうと額の筋肉である前頭筋に力を入れて眉を上げようとする癖がつくため、首や肩に負担がかかり、首や肩のこり、頭痛といった症状が現れることがあります。

眼瞼下垂の手術では、緩んだ上眼瞼挙筋を瞼板の近くに縫い直すことで、上眼瞼挙筋の働きを回復させ、瞼を開きやすくします。この手術により、額の筋肉の緊張が軽減されるため、首や肩のこり、頭痛が解消します。

※当院では筋肉性の眼瞼下垂への手術は行っておりません。診断の結果、難しい症例の治療が必要な方は近隣の大学病院を紹介いたします。

【眼瞼下垂の手術を受けても肩こりが改善しないこともあります】

眼瞼下垂は慢性的な首や肩のこり、頭痛、歯ぎしりの原因となることから、手術によってこれらの症状が改善される可能性があります。しかし、眼瞼下垂の手術後でも、目を開ける際に額に力を入れる癖が残っている場合、首や肩のこり、頭痛が長引くことがあります。これらの症状が必ずしも眼瞼下垂に起因しているわけではありませんが、手術によって改善される可能性は高いと考えられます。

 

眼瞼下垂の治療法

眼瞼下垂は、内服薬や注射では効果が得られにくいため、基本的には手術が行われます。眼瞼下垂は外見上の変化だけでなく、視機能に大きな影響を与えます。そのため、眼瞼下垂の手術方法は、施設や施術者によって異なり、様々なアプローチが考案されています。当院では、「機能的に問題のある眼瞼下垂(=視機能に支障をきたし、生活に影響を与えている眼瞼下垂)」に対する手術を実施しており、保険が適用されます。

以下では、眼瞼下垂の代表的な手術法についてご説明します。

【挙筋前転術(きょきんぜんてんじゅつ)】

この手術は、緩んだ挙筋腱膜を瞼板に再固定する手術です。上瞼の二重のラインを切開後、緩んでいる挙筋腱膜や筋肉を切り離し、前方に引き寄せた後、糸で瞼板にしっかりと固定します。これにより、挙筋腱膜のたるみが解消され、上眼瞼挙筋の力がしっかりと瞼板に伝わるようになり、瞼を開きやすくなります。

※当院では筋肉性の眼瞼下垂への手術は実施しておりません。診断の結果、より高度な治療が必要な場合は、近隣の大学病院にご案内します。

【前頭筋吊り上げ術(ぜんとうきんつりあげじゅつ)】

上眼瞼挙筋の機能が著しく低下しており、挙筋前転術では効果が見込めない重症例が対象となります。糸や太もも外側の筋膜などを利用し、額の筋肉と瞼板を連結します。眉毛を上げる動作により、瞼を楽に開けられるようになります。

※当院では筋肉性の眼瞼下垂への手術は実施しておりません。診断の結果、より高度な治療が必要な場合は、近隣の大学病院にご案内します。

【余剰皮膚切除術(びもうかよじょうひふせつじょじゅつ)】

弛んで垂れ下がった上瞼の余剰皮膚を切除する方法です。上瞼もしくは眉毛の下のどちらかの皮膚を切除します。立っている状態、もしくは座っている状態で、余分な皮膚を取り除く量を決定し、切除を行います。また、目の周囲にある眼輪筋を切除する場合もあります。最後に細い糸で丁寧に縫合を行い、きれいに閉じます。余分な皮膚が取り除かれることで、瞼が押し下げられることなく、瞼を開けやすくなります。

 

よくある質問

Q.眼瞼下垂を発症すると肩がこるのはなぜですか?
眼瞼下垂を発症すると、瞼を開ける力が低下し、それを補おうと額の筋肉である前頭筋により眉を上げるようになります。この状態が続くと、首や肩の筋肉に過度の緊張が生じ、結果として首や肩のこり、さらには頭痛が引き起こされることになります。

Q.眼瞼下垂を発症するとなぜ頭痛が起きるのでしょうか?
眼瞼下垂では瞼が下がることで視野が狭窄しますが、視野を確保するために額や眉に力を入れて瞼を開こうとします。そのため、額の筋肉である前頭筋が強く緊張し、疲れやすくなります。結果として、目の疲労や頭痛が発生することがあります。

Q.眉眼瞼下垂は目の疲れを引き起こすことがありますか?
眼瞼下垂では瞼が下がることで視野が狭窄します。そのため、瞼を開こうと無意識に額や眉の筋肉に力が入ってしまいます。この筋肉の緊張が、目の疲れや眼精疲労を招く原因となります。

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