外見上の違いが分かりにくい一重瞼と眼瞼下垂ですが、症状や原因には大きな違いがあります。
一重瞼は、生まれつきの瞼の形状によるもので、見た目や美容的な特徴の1つとされています。一方、眼瞼下垂は、瞼を持ち上げる筋肉の機能が弱まることで生じ、視界が狭くなることがあります。
本ページでは、一重瞼と眼瞼下垂の違いを詳しく解説し、それぞれに適した治療法をご紹介します。
当院では、眼瞼下垂の治療だけでなく、一重瞼に対する美容施術も行っております。視界の改善を希望される方はもちろん、目元の印象を変えたい方も、お気軽にご相談ください。
●眼瞼下垂と一重はどう違うのか?
見た目が似ている一重瞼と眼瞼下垂ですが、それぞれの特徴は大きく異なります。
一重瞼は、生まれつきの瞼の形状によるもので、美容的な特徴の1つとされています。
一方、眼瞼下垂は、瞼を持ち上げる筋肉の機能が弱まることで生じる医学的な症状であり、視界が狭くなることがあります。
以下では、それぞれの特徴や違いについて詳しく解説します。
【一重瞼について】
一重瞼とは、上瞼に二重のライン(折り目)ができず、皮膚が1枚のように見える状態を指します。瞼を持ち上げる眼瞼挙筋(がんけんきょきん)が、上瞼の瞼板(けんばん)にのみ付着しているため、皮膚に二重のラインができません。その結果、瞼全体がフラットで折り目がなく、スッキリとした印象を与えるのが特徴です。
そのため、二重瞼に比べると目が小さく見えたり、華やかさが控えめに感じられたりすることを気にする方もいますが、一方で、上品さやクールな雰囲気を魅力と考える方もいらっしゃいます。
一重瞼により健康被害が起こることはありませんが、目元の印象を変えたいと考える方にとっては、二重形成術などの美容施術が選択肢の1つとなります。
【眼瞼下垂について】
眼瞼下垂とは、上瞼を持ち上げる筋肉が衰え、その機能が十分に働かなくなることで、瞼が垂れ下がり、視界が狭窄する状態を指します。この症状は、ケガによる組織の損傷、老化による組織の衰え、生まれつきの瞼の形状、さらに長期間のハードコンタクトレンズの使用など、様々な要因によって発生します。
眼瞼下垂の主な症状として、視界が制限されることで日常生活に制限があるだけではなく、目の疲れが慢性化し、眼精疲労を感じやすくなります。また、それを補おうとおでこや眉の筋肉を使って瞼を持ち上げようとするため、首や肩のこり、頭痛の原因となります。
眼瞼下垂を放置すると、日常生活への影響が大きくなるため、適切な医療的対処が必要です。視界が遮られたり、生活に支障を感じたりする場合には、手術を含む治療を検討することが推奨されます。
●以下のような症状でお悩みではありませんか?
- 目をしっかり開くのが難しい
- 左右の目の開きに差がある
- 目を大きく開いても視界が制限される
- 瞼が重く、違和感がある
- 上の方を見ようとしても視界が遮られる
- 運転中に信号が見えにくいことがある
- 周囲から「眠たそうに見える」と言われることが多い
- おでこのシワが以前より目立つようになった
- 瞼の皮膚が緩んでいる
- 特に原因が思い当たらないのに、首や肩のこりや頭痛が続く
- 長年(10年以上)ハードコンタクトレンズを使用している など
これらの症状に当てはまる場合は、眼瞼下垂の疑いがあります。
少しでも気になる方は、お早めに当院までご相談ください。
●眼瞼下垂のセルフチェック
眼瞼下垂の可能性があるかどうか、ご自宅で簡単にセルフチェックができます。
セルフチェックの結果、「もしかして…」と感じた場合は、早めに当院へご相談頂き、専門的な診察・診断を受けることをお勧めします。
【セルフチェックの方法】
STEP.1
鏡の前で目を閉じて、眉毛の下に定規をぶら下げるように垂直に当てて固定します。
STEP.2
定規を指で押さえた状態で、そっと目を開けます。
STEP.3
鏡に映ったご自身の瞳をスマートフォンなどで撮影しましょう。
STEP.4
撮影した画像を確認し、瞳(黒目)の中心から上瞼までの距離を測定します。
この距離が3.5mm以下の場合は、眼瞼下垂の可能性があります。
●眼瞼下垂の原因
【加齢】
加齢に伴い、瞼を支える筋肉や腱膜が衰え、瞼が緩みます。この症状は60代以上で見られることが多いですが、40代頃から認められることもあります。
【外傷】
瞼や目の周辺に強い衝撃を受けることで、眼瞼下垂を招きます。スポーツや交通事故での強い衝撃や負傷など身体へのダメージがその一例として挙げられます。
【先天性】
先天的な要因で眼瞼挙筋(がんけんきょきん:上瞼を持ち上げる役割を担う筋肉)が十分に機能しない場合、幼少期のうちから眼瞼下垂が現れることがあります。この場合、両目に症状が出ることもあります。
【神経疾患】
神経疾患の一種である重症筋無力症などが、眼瞼下垂の原因となります。
重症筋無力症は、神経と筋肉の連携に障害をもたらし、瞼を持ち上げる筋肉の機能が低下することで症状が現れます。
【瞼に負担をかける行為】
日々の生活の中で、瞼に強い負担をかける習慣が続くと、眼瞼下垂を発症する可能性が高くなります。長期間のコンタクトレンズの使用(特にハードコンタクトレンズ)、濃いアイメイク、アイプチやアイテープの使用、まつ毛エクステの装着などは瞼に継続的な負担をかける要因となります。
また、アレルギー症状や肌のかゆみを伴う疾患がある方で、頻繁に瞼を掻く・擦る習慣がある方も要注意です。
このような継続的な刺激によって、瞼の負担が増し、挙筋腱膜が緩みやズレが生じ、眼瞼下垂に繋がる可能性があります。
●生活習慣も発症要因となります
生活習慣病(糖尿病や脂質異常症、高血圧など)を患っている方は、眼瞼下垂を発症しやすい傾向があります。
眼瞼下垂と生活習慣病の因果関係はまだ十分には解明されていませんが、生活習慣を改善することで、眼瞼下垂の予防効果も期待できると言われています。
【高血圧】
高血圧とは、血圧が長期間高い状態が続くことを指します。自覚症状がほとんどなく、気づかないまま進行することが多いですが、放置すると心疾患や動脈硬化などの重大な病気に繋がる恐れがあります。原因としては、遺伝的要因のほか、塩分の過剰摂取、飲酒、喫煙、肥満、ストレスなどの生活習慣が関係しています。
【糖尿病】
糖尿病とは、血糖値が正常範囲を超えて慢性的に高い状態が続く病気です。主な原因として、過食や食生活の乱れ、運動不足、肥満などが挙げられます。これにより、インスリンの分泌量の低下や機能低下を招くことで、血中のブドウ糖(血糖)が増加します。
一度発症すると完全に治療することは困難で、様々な合併症に繋がる可能性があります。発症を防ぐには、食事・運動・薬物療法を適切に行い、血糖値を管理することが重要です。
【脂質異常症】
糖質異常症とは、血中に含まれる脂質(中性脂肪やコレステロールなど)が、正常範囲を超えて慢性的に高い状態が続く病気です。
この状態を放置すると、動脈硬化を招き、心筋梗塞や脳梗塞の発症する可能性を高めます。主な原因として、過剰な飲食や肥満、喫煙、運動不足、ストレスなどが挙げられます。特に、日頃から高カロリーな食事を続けている方は注意が必要です。運動療法や食事療法を実践し、生活習慣を見直すことが治療の基本となります。
●眼瞼下垂と一重の治療方法の違い
一見すると、眼瞼下垂と一重瞼は似ているように見えますが、治療方法には違いがあります。
ここでは、それぞれの治療方法について詳しく説明します。
【一重の治療方法】
一重瞼の治療は、主に美容を目的として実施され、患者様の希望に合わせて施術方法が決定されます。
埋没法
埋没法は、特殊な糸で瞼を固定し、自然な二重のラインを形成する施術です。
この施術は、比較的簡単でダウンタイムが短いため、日常生活への影響を最小限に抑えられます。特に、初めて二重形成を行う方や若い世代に選ばれることが多く、施術後の回復期間は数日と短く、自然な見た目に仕上がります。
切開法
切開法は、瞼を切開し、必要に応じて皮膚や筋肉の調整を行い、二重のラインを形成する手術です。長期間にわたり安定した二重を維持できるため、持続性を重視する方に適しています。ただし、埋没法に比べて術後のダウンタイムを長く取る必要があり、術後のケアを慎重に行う必要がある点には注意が必要です。
【眼瞼下垂の治療方法】
眼瞼下垂の治療では、注射による薬剤投与や内服薬では治療することは難しく、基本的には手術による治療が必要となります。目は見た目の印象を大きく左右するため、手術方法は医療機関や医師によって様々な術式が採用されています。
当院では、単なる美容目的ではなく、視界が遮られることで日常生活に支障をきたすような「機能的に問題のある眼瞼下垂」の手術を、保険適用で実施しています。
以下が主な術式です。
挙筋前転術(きょきんぜんてんじゅつ)
緩んだ挙筋腱膜を瞼板に再固定する手術です。上瞼を切開し、緩んだ腱膜や筋肉を前方へ引き寄せ、糸で瞼板にしっかりと固定します。この処置により、緩んだ腱膜が修復され、上眼瞼挙筋肉の力が瞼板に適切に伝わることで、瞼の開閉が改善されます。
※筋肉性の眼瞼下垂に対する手術は、当院では対応しておりません。診断の結果、より専門的な治療が必要と判断された場合は、近隣の大学病院をご紹介いたします。
前頭筋吊り上げ術(ぜんとうきんつりあげじゅつ)
糸や太ももから採取した筋膜を用いて、おでこと瞼板の筋肉を結びつける手術です。これにより、眉を持ち上げる動作におでこの筋肉を活用できるようになり、瞼の開閉が改善されます。挙筋前転術では十分な改善が期待できない重度の眼瞼下垂(上眼瞼挙筋の機能が著しく低下している状態)に対して主に適用される治療法です。
※筋肉性の眼瞼下垂に対する手術は、当院では対応しておりません。診断の結果、より専門的な治療が必要と判断された場合は、近隣の大学病院をご紹介いたします。
余剰皮膚切除術(よじょうひふせつじょじゅつ)
上瞼の余剰皮膚を切除し、緩みを改善する手術です。皮膚の切除方法として、上瞼の皮膚を切除する場合と、眉の下で皮膚を切除する方法があります。手術前に、体位あるいは座位の状態で切除する皮膚の量を正確に測定し、適切な切除範囲を決定します。必要に応じて眼輪筋の一部を取り除く処置も行います。余剰皮膚あるいは眼輪筋を切除した後、細い糸を用いて丁寧に縫合し、自然で美しい仕上がりとなるように整えます。上瞼を圧迫していた余分な皮膚が取り除かれることで、目の開閉が改善されます。
●まとめ
外見上見分けのつきにくい一重瞼と眼瞼下垂ですが、症状や原因は大きく違います。
一重瞼は、生まれつきの瞼の形状によるもので、主に見た目や美容目的で治療が行われます。治療方法には、埋没法や切開法があり、希望に応じて目元の印象を整えることが可能です。
一方、眼瞼下垂は、瞼を持ち上げる筋肉の機能が低下することで発生し、視界を遮るなど日常生活に影響を及ぼします。眼瞼下垂の手術では、「機能的に問題のある眼瞼下垂」の改善を目的としており、挙筋前転術、前頭筋吊り上げ術、余剰皮膚切除術などが適用されます。
当院では、一重瞼に対する埋没法や、眼瞼下垂に対する余剰皮膚切除術を提供しています。一重瞼や眼瞼下垂のお悩みをお持ちの方は、当院までお気軽にご相談ください。