コラム

2024.06.03

円形脱毛症はAGAとどう違うのか?特徴や原因、治療法を解説

円形脱毛症はAGAとどう違うのか?特徴や原因、治療法を解説

薄毛になってきた時、「どうすれば髪が増えるだろう?」と考えても「この脱毛症はどんな種類なんだろう?」とはあまり考えないかもしれません。しかし、薄毛や抜け毛には色々な種類があって、その種類に合ったやり方で対処することで、改善が容易になります。

本記事では、脱毛の一種である円形脱毛症について、男性ホルモン型脱毛症(以下、AGAと記載します)との違いを含めて紹介します。気になる症状がありましたら、その症状が円形脱毛症の特徴に当てはまるかどうかについて考えてみてください。

 

●円形脱毛症とは?

円形脱毛症とは、後天的に円形状または楕円形状に毛が抜け、脱毛部ができる脱毛症の一種です。
多くの場合、脱毛部の大きさは数センチ程度から十数センチにとどまりますが、場合によっては頭部全体に及んだり、眉毛、まつ毛、さらには体毛にまで広がることもあります。円形脱毛症の重症度は、脱毛部分の大きさを基準として決められます。

 

●円形脱毛症の特徴

円形脱毛症の特徴円形脱毛症は以下のような特徴を有します。

  •  円形状または楕円形状に毛が抜け落ちる
  • 脱毛部と発毛部にはっきりした境界がある
  • 髪の毛以外にも、体毛で発症することがある
  • 性別、年齢は関係なく発症する

円形脱毛症は、円形状または楕円形状に毛が抜け落ちる脱毛症の総称です。症状の進行は速く、数日のうちに毛が抜け落ちて、地肌が見えるようになります。したがって、自覚症状がないうちに円形脱毛症になっていることも多く、他人から脱毛を指摘されて自覚することも普通にあります。

また、円形脱毛症になると、複数の部位で脱毛になる場合があり、なかには近くにある複数の脱毛部が融合して、結果的に広範囲の脱毛が生じてしまうこともあります。一般的に円形脱毛症は軽度な脱毛と考えられていますが、重症になると、体毛にまで脱毛が広がることがあります。上記のような症状があると円形脱毛症かもしれませんので、放置せず当院まで相談してください。

 

●円形脱毛症の原因

円形脱毛症の原因円形脱毛症の原因は様々です。どういった原因があるか、以下にご説明します。

自己免疫
円形脱毛症の原因はいまだに明確ではありませんが、近年、円形脱毛症の主な原因として自己免疫があるのではないかと考えられるようになりました。
健康体が有する免疫機能は、体内に侵入した異物を攻撃することにより、体を異物から保護しています。しかし、その免疫機能に異常が生じると、異物と間違って自らの体の一部を攻撃することがあります。この現象は自己免疫と呼ばれます。
何らかの理由により毛根が異物とみなされ自己免疫によって破壊されると、脱毛が生じます。このような自己免疫が生じることで円形脱毛症が起きると考えられています。

アトピー素因
アトピー素因とは、アトピー性皮膚炎の他、アレルギー性鼻炎や気管支喘息などのアレルギー性疾患の既往歴があるなど、アレルギーを起こしやすい体質のことを言います。
円形脱毛症が、アトピー素因とどのように関係するのかは明確ではありません。しかし、円形脱毛症の患者様のうち、40%がアトピー素因を有し、半数以上がアトピー素因を有する家族がいることから、何らかの関係があるだろうと考えられています。

遺伝
遺伝的要因も円形脱毛症の原因の1つとして考えられています。遺伝的に近いほど発症する可能性が高く、円形脱毛症患者の親または子の発症率は全体の平均発症率の10倍になるとされています。また、円形脱毛症患者で家族内発症歴があるのは8.4%であるのに、一卵性双生児の一方が円形脱毛症を発症した時に他方が発症する割合は55%と非常に高い数値になっているので、遺伝的要因も確実にあるだろうとされています。

ストレス
以前は、円形脱毛症はストレスから生じるという印象が強かったのですが、現在ではストレスは直接的な原因ではなく、円形脱毛症が生じやすい状態にする間接的な要因であると言われています。
上述したように、円形脱毛症は自己免疫疾患であると考えられていますが、過剰な精神的ストレスは自己免疫や内分泌異常を引き起こします。あるいは、ストレスは交感神経を興奮させるため、血管が収縮し、頭皮の血流が悪くなります。その状態が続くと、髪や頭皮に対して長期間栄養が十分に運ばれなくなり、脱毛しやすい状態になります。
普段からストレスを溜めないように注意して、ストレスを感じたら、自然の中で寛いだり適度に体を動かしたりして、自分に合ったやり方でストレスを解消するようにしてください。

 

●円形脱毛症とAGAの違い

円形脱毛症とAGAは、脱毛する部位や毛の抜け方などが異なります。脱毛を治療するに当たって、どちらの脱毛症かを知ることが重要です。そこで、以下に円形脱毛症とAGAはどう違うのか、について説明します。

発症患者の違い
まず、円形脱毛症とAGAは脱毛の発症患者が違います。円形脱毛症は性別も年齢も問わず、誰でも発症することがあります。これは円形脱毛症発症の原因が主に自己免疫だからです。

一方、AGAの発症者は、多くが男性です。そして子どもがAGAを発症することはほとんどありません。これはAGA発症の原因が男性ホルモンの分泌に関係しているからです。そのため成人男性は誰でも、AGAを発症するリスクがあります。

毛髪の抜け方の違い
次に、円形脱毛症とAGAは、毛髪の抜け方が違います。円形脱毛症では、毛髪が円形状または楕円形状に抜け落ちます。また、脱毛部と周囲との境界が明確です。

一方、AGAの脱毛領域は頭部全体で、円形脱毛症のように部分的にはっきりとした脱毛は起きません。前髪の生え際や頭頂部など薄毛が進行しやすい部位はありますが、基本的には頭部全体で脱毛が進みます。

抜け毛の進行速度
3つ目に、円形脱毛症とAGAは、抜け毛の進行速度が違います。円形脱毛症は数日で急速に進行します。あまりに進行が速いため、髪の毛が薄くなってきたと感じることはほとんどありません。本人が自覚しない間に円形脱毛症を発症していることもあります。

一方、AGAは数年以上にわたって徐々に進行していきます。初期には、最近髪が薄くなったような気がする、という程度しか感じないこともあります。しかし、AGAは脱毛範囲が広いため、一旦進行すると治療にかなりの時間がかかります。少しでも症状があるように感じたら、早めに当院まで相談してください。

 

●円形脱毛症とAGAの併発

円形脱毛症とAGAの併発円形脱毛症とAGAは併発することがあります。
しかし、原因が異なりますので、円形脱毛症が発端となってAGAを発症するというわけではなく、自覚がないうちに併発していることがほとんどだと思われます。例えば、円形脱毛症に気づいて医療機関に行ったら、AGAも発症していることが分かったとか、逆に、AGAの診察を受けに医療機関に行ったら、隠れた部分に円形脱毛が見つかったとか、偶然に気づくことが多いでしょう。
もし、自分で併発していることが分かったようなら、円形脱毛症とAGAの両方が治療できる医療機関に相談し、できるだけ早く両方の治療を開始してください。

その他、円形脱毛症と併発しやすい疾患
その他、以下のような疾患が、円形脱毛症と併発しやすいです。

  • 関節リウマチ
  • 甲状腺機能異常
  • 尋常性白斑
  • アトピー性皮膚炎

なお、アトピー性皮膚炎の場合、円形脱毛症は治療できますが、一旦治っても再発したり、治療中に悪化したりする可能性があります。

 

●円形脱毛症の種類

円形脱毛症は、脱毛部の数や範囲などを基準に分類されています。以下に、分類された各種類について説明します。

単発型円形脱毛症
単発型円形脱毛症とは、1か所だけで円形状または楕円形状に脱毛が起きる円形脱毛症です。単発型円形脱毛症の患者様は、発症後1年以内に治癒する割合が約8割であるというデータもあり、円形脱毛症の中では最も軽い症状になります。しかし、時間が経つと、後述の多発型円形脱毛症に移行する場合があるので、軽視せず十分に注意する必要があります。

多発型円形脱毛症
多発型円形脱毛症とは、複数の箇所で円形状または楕円形状に脱毛が起きる円形脱毛症です。単発型円形脱毛症から移行する場合が多く、多発型円形脱毛症になると再発を繰り返しやすくなります。また、近くにある複数の脱毛部が融合して、結果的に広範囲の脱毛が生じ、最終的に頭部全体で脱毛状態になることもあります。

全頭型円形脱毛症
全頭型円形脱毛症は、頭部全体で脱毛する円形脱毛症です。多発型から移行する場合が多いですが、症状が重いため、セルフケアで治療することは難しいです。早めに医療機関に相談し、治療を受けるようにしましょう。

汎発型円形脱毛症
汎発型円形脱毛症は、円形脱毛症のなかでも最も症状が重く、髪の毛とともに、まゆ毛、まつげ、ヒゲ、あるいはわき毛など、脱毛が全身に広がります。医療機関でも治癒が難しく、早期に医療機関での治療を開始することが望ましいと思われます。

蛇行型円形脱毛症
蛇行型円形脱毛症では、脱毛部が円形や楕円形ではなく、髪の毛の生え際が帯状に脱毛する症状になります。主として側頭部や後頭部に生じ、複数の脱毛部が融合することで、帯が蛇行したような形状に脱毛するのが特徴です。

 

●円形脱毛症の治療

円形脱毛症の治療円形脱毛症に対する治療方法は複数あります。専門の医療機関に相談し、それぞれの症状に合った方法での治療を受けることが勧められます。以下に円形脱毛症の原因が自己免疫である場合の代表的な治療方法を紹介します。

局所免疫療法
円形脱毛症の原因が自己免疫である場合、自己免疫反応の変調を目的として行われます。具体的には、脱毛した場所に接触性皮膚炎(かぶれ)を引き起こす物質を塗布します。局所免疫療法では、一定の割合で発毛が見られるなどの効果が観察されています。
ただし、局所免疫療法は、脱毛部において人工的に炎症を誘導するため、アトピー性皮膚炎のある患者様では副作用が強くなり、アトピー性皮膚炎が悪化する可能性があります。また保険外診療ですので、治療費は全額自己負担になります。

ステロイドの注射
自己免疫の免疫反応を抑制するステロイドを患部に注射することで、症状の改善を目指します。主に単発型円形脱毛症や多発型円形脱毛症の患者様に対して行われる治療方法です。注射が強い痛みを伴うこと、副作用として血管拡張があること、注射部位が陥没する可能性があることなどから、十分な注意を持って行われるべき治療方法になります。

ステロイドの塗布
ステロイドを患部に塗布することで自己免疫反応を抑制し、症状の改善を目指します。主に軽症~中等症の円形脱毛症の患者様に発毛効果があるとされています。

かつらの着用
かつらは円形脱毛症の治療方法ではありませんが、脱毛が他人に見られることが気になるというような精神的ストレスを軽減したり、脱毛部を外傷や紫外線から保護したりする効果が期待できます。

 

●円形脱毛症になった場合

円形脱毛症になった場合円形脱毛症は、その原因など不明な点も多く、そのため確実な治療方法も見つかっていません。しかし、本記事で紹介した治療方法で症状が改善する場合も数多く観察されるため、過剰に不安感を持つことはありません。治療が長期にわたることもありますが、かつらを利用したり、ヘアスタイルを工夫したりしてストレスを減らしながら、忍耐強く治療を進めることが重要です。
円形脱毛症などによる脱毛や薄毛に対する悩みは他人に相談しにくく、自分の中で抑え込んでしまうことも多いですが、精神的なストレスが溜まると、かえって髪や頭皮に影響が及び、症状が悪化する可能性があります。
特に円形脱毛症に対しては、セルフケアによる改善が難しい場合もありますので、医師による治療を受けることをお勧めします。発症したかもしれないと思ったら、一人で悩まずに医療機関に相談してください。発症の原因を特定し、原因にあった効果的な治療について、専門家である医師の判断を仰ぐことができます。思い悩む前に気軽に医師に相談し、症状に適した治療を早期に開始することで、できる限りの改善が期待できます。

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