眼瞼下垂を治すには?眼瞼下垂の種類や治療法、症状を悪化させないために気を付けるべきポイントを解説!
●眼瞼下垂とは
眼瞼下垂とは、上瞼が正常な位置よりも下がり、瞳を部分的または完全に覆ってしまう状態を指します。視野が狭くなるため、よく見えるように無意識に首や頭を前に出して凝視することがあるので各部位に負担がかかり、頭痛や肩こり、眼精疲労の原因になります。
また、目を開こうと眉毛を上げることが多いので、額にシワが寄って険しい表情になってしまうことがあります。
視界を確保するために無意識に前頭筋(額の筋肉)を使って瞼を持ち上げようとするので、かえって瞼が下がっていることが目立たなくなり、鏡を見ても気付きにくくなります。額のシワや三白眼が目立つように感じたら眼瞼下垂を疑って、眼精疲労が深刻化しないうちに早めに当院までご相談ください。
●眼瞼下垂症の種類
【後天性眼瞼下垂】
後天性眼瞼下垂とは、生まれつきは瞼が開いていたにもかかわらず、後に瞼が下がってくる状態を指します。発生頻度が最も高いのが、上瞼を持ち上げる筋肉(上眼瞼挙筋)と瞼を繋ぐ腱膜(腱膜挙筋)が緩んだり外れたりすることで発生する腱膜性眼瞼下垂です。加齢による筋力の低下や皮膚のたるみ、コンタクトレンズの長期装用などが原因で起こります。また、白内障や緑内障、硝子体手術などの眼科手術を受けた後、周辺組織にかかった物理的なストレスにより発症することがあります。
【先天性眼瞼下垂】
先天性眼瞼下垂とは、生まれつき上瞼が十分に開かず、物が見えにくくなる状態です。片眼性と両眼性があり、約80%が片側性です。眼瞼挙筋という瞼を挙げる筋肉の発達異常や、その筋肉を支配する神経の異常が原因で発症し、弱視や斜視を引き起こす可能性があります。視力に影響がない場合はすぐに手術を受ける必要はありません。弱視や斜視などがある場合は、定期的に眼科を受診して適切な手術時期を医師と相談する必要があります。
【偽性眼瞼下垂】
偽性眼瞼下垂とは、実際には眼瞼挙筋やその腱膜に異常がないにもかかわらず瞼が下がって見える状態を指し、真の眼瞼下垂とは異なります。偽性眼瞼下垂の原因が眼瞼痙攣の場合は、手術も補助的な治療に止まるため根治的に治す方法はありません。
【医原性眼瞼下垂】
医原性眼瞼下垂とは、二重瞼埋没法などの施術後に腫れが引いても目の開きが悪い状態になることを指し、時には眼瞼痙攣や頭痛を伴うことがあります。埋没した糸を外す手術を行うことが改善法の1つです。
●以下のような症状があれば当院までご相談ください
- 視野狭窄・視野障害(特に上方視野が狭くなる)
- 瞼が重い、目を開けづらい
- 目を開ける努力や代償姿勢が原因で頭痛や肩こりを生じる
- 眠たそうな見た目になる
- 左右の目の大きさが異なり不自然に見える
- 額や眉毛を上げて瞼を持ち上げようとするため額のシワが目立つ
●眼瞼下垂症の診断
眼瞼下垂症であるか否かの診断は、瞼縁角膜反射距離(MRD)、瞼裂高、挙筋機能検査の3種類の検査によって実施します。
【MRD-1】
MRD(瞼縁角膜反射距離)とは瞳孔の中心(角膜反射)から瞼の縁までの距離を指し、眼瞼下垂の重症度を評価する指標として用いられます。MRDにはMRD-1とMRD-2があり、MRD-1は上眼瞼縁、MRD-2は下眼瞼縁の距離を指します。MRDの測定結果と眼瞼下垂の重症度については、約2.7〜5.5mmが正常、約1.5〜2.7mmで軽度下垂、約-0.5〜1.5mmで中等度下垂、-0.5mm以下は重度下垂と判定されます。
一般的に用いられるのはMRD-1であり、両眼の左右差や目の開閉状況を確認するために、角膜反射から上瞼の縁(上眼瞼縁)までの距離を測定します。MRD-2は、上下左右の眼瞼の相対的位置関係を判定するため補足的に用いられます。
【瞼裂高】
瞼裂高とは黒目の最下端から上眼瞼縁までの垂直距離のことで、目の開き具合を数値化し、眼瞼下垂の程度を判定する際に用いられます。約10mm以上が正常、約6〜9mmで中等度~軽度下垂、 5mm以下は重度下垂と判定されます。
【挙筋機能検査】
挙筋機能検査(Levator Function Test)とは、上瞼を持ち上げる筋肉である眼瞼挙筋の働きを評価するための検査です。眼瞼挙筋が正常に機能しているかを調べることで、眼瞼下垂の原因や重症度を診断し、治療方針を立てる際に役立ちます。
以下が検査手順となります。
1.額の力を使わないように注意しながら眉毛の上を親指で押さえる
2.その状態のまま、最も上を見た時と最も下を見た時の上眼瞼縁の移動距離を測る
検査結果の判定については、8mm以上で正常、4〜7mmで中等度~軽度下垂、3mm以下で重度下垂となります。
※腱膜性眼瞼下垂症は、上眼瞼挙筋の挙上機能が低下することが原因で瞼が下がります。
腱膜付着部が少しずれただけでは挙上機能には問題がなく、挙上機能の低下は筋肉そのものか神経系の問題という診断がなされます。
※上瞼が突然下がった時は、腱膜性眼瞼下垂ではなく動眼神経麻痺の疑いがあります。
脳動脈瘤・脳梗塞・糖尿病などが発症していないか、CT検査・MRI検査や血液検査などの精密検査を実施して確認します。
※眼瞼下垂の程度の日内変動(朝晩の軽重の差)が大きい場合は、重症筋無力症の可能性があります。
確認のためには血液検査を行います。
●眼瞼下垂はトレーニングにより自力で治せる?
眼瞼下垂がトレーニングやマッサージにより自力で治せるかどうかは、原因や重症度によります。加齢や筋力低下による軽度の症状では、瞼や目元周辺の筋肉を鍛えるトレーニングや、瞼の血行を促進するマッサージが症状改善の一助となる可能性がありますが、そもそも瞼を上げる筋肉である眼瞼挙筋は腕や足の筋肉のように鍛えて太くしたり強くしたりすることが難しく、医学的な根拠には乏しいのが実情です。
代表的な眼瞼下垂である腱膜性眼瞼下垂の場合、腱膜が伸びてしまったり切れてしまったりすることで発症します。眼瞼下垂のトレーニングやマッサージをすると、瞼に余計な負荷がかかり、かえって眼瞼下垂の進行を早めてしまう恐れがあります。自己判断で進めるより、まずは医師に相談し、適切な治療法を選ぶことが大切です。
以下では、ネット上などで流布されている眼瞼下垂の代表的な自力治療法を取り上げ、そのデメリットや注意点などを説明します。
【眼瞼下垂セルフマッサージ】
眼瞼下垂セルフマッサージは、目元の血流を改善し筋肉をリラックスさせることで、軽度の眼瞼下垂や目の疲れによる瞼の重量感を軽減するという効果が紹介されています。しかし、眼瞼下垂はゴムのような筋膜が伸び切ったり離断したりして発症するため、過度なマッサージは症状をかえって悪化させたり、眼瞼下垂の進行をむしろ促してしまう恐れがあります。専門的知識のない方が決して不用意に行うものではありません。
【眼瞼下垂対策テープ】
眼瞼下垂対策テープとは、市販のサージカルテープなどを用いて瞼を引っ張り上げる方法のことを指します。眼瞼下垂の症状を一時的に軽減することができ、軽度の眼瞼下垂に効果があるとされています。
しかし根本的な解決には繋がらない上、テープの使用を続けると瞼の皮膚に負担が蓄積され、かぶれや腫れを引き起こす可能性があります。そもそも重度の眼瞼下垂には効果が期待できず、かえって症状を悪化させるリスクすらあります。
●眼瞼下垂の根治には手術治療が必要
眼瞼下垂の自力治療は困難であり、根本的な改善のためには手術治療が必要となります。当院では、症状や原因に応じた最適な手術法を行っています。
【挙筋前転術(きょきんぜんてんじゅつ)】
挙筋前転術とは、上瞼を持ち上げる筋肉である眼瞼挙筋や挙筋腱膜が緩んだり外れたりしている場合に、腱膜を再固定して瞼の位置を適切に整える術式です。上瞼の二重のライン上を切開して挙筋腱膜を前方に引っ張り、瞼板(瞼を支える軟骨)に縫い付けます。これによって、視界や外見を大きく改善することが期待できます。
※筋肉性眼瞼下垂の手術には対応致しかねますので、診断結果に応じて必要があれば、近隣の大学病院をはじめ他院を紹介します。予めご承知おきください。
【前頭筋吊り上げ術(ぜんとうきんつりあげじゅつ)】
前頭筋吊り上げ術は、上眼瞼挙筋がほとんど機能していない重度の眼瞼下垂を発症している場合に行われる手術法です。術式は、額の筋肉である前頭筋と瞼板を、大腿部などから採取した筋膜やゴアテックスなどの人工糸で連結します。こうして前頭筋の力を利用して眉毛を引き上げ、視界を確保します。
※筋肉性眼瞼下垂の手術には対応致しかねますので、診断結果に応じて必要があれば、近隣の大学病院をはじめ他院を紹介します。予めご承知おきください。
【余剰皮膚切除術(よじょうひふせつじょじゅつ)】
余剰皮膚切除術は、瞼のたるみを取り除くために、余分な皮膚を切除する手術です。上眼瞼皮膚を切除するタイプと、眉毛下で皮膚を切除するタイプとがあります。座った状態もしくは立った状態で余っている皮膚のどの部分を切除するかを決定します。必要に応じて眼輪筋の一部も切除することがあります。最後は切開部分を細い糸で丁寧に縫合して終了します。この術式は視界の改善だけでなく、目元を若々しく見せる美容的な効果も期待できます。
●眼瞼下垂の手術が保険適用となる条件
眼瞼下垂の手術全てに保険が適用されるわけでなく、以下のように条件があります。
- 眼瞼下垂症と診断されていること
- 手術の目的が美容目的ではなく、あくまでも治療が必要とされる病気や怪我の治療であること
- 治療法が、国が承認した治療法であり、厚生労働省より承認されている医薬品が使用していること
保険適用の有無については診断後の判断となります(症状のない方は自費診療)。難しい症例の治療が必要な方は近隣の大学病院を紹介いたします。
●手術までの流れ
【初診】
まず、医師が問診や各種測定・検査を通じて、眼瞼下垂の程度や原因を診断します。
次に、症例に応じて最適な術式を決定します。2~3週間後くらいに手術の予約を入れ、最後に術前採血をして初診終了となります。
【手術】
手術当日は受付等を済ませた後、麻酔をして手術に臨みます。手術時間は挙筋前転術の場合、両眼で1~2時間程度です。
術後ケアを終えた後、帰宅する場合には瞼の上にガーゼのカバーを貼ります。
【術後当日】
術後当日は、腫れや疼痛予防のため傷口を清潔に保ち、医師から処方された抗生物質を服用して安静に過ごしましょう。
出血予防のため体温上昇を起こさないよう、入浴や飲酒、過度の運動は控える必要があります。
【抜糸まで】
抜糸までの期間は傷口に軟膏を塗りながら、慎重にケアを行います。
術後1〜2日程度で傷口は落ち着きますので、そうなったらガーゼを外し、通常通りの洗顔・シャワーが可能となります。
【抜糸、抜糸後】
術後6〜10日程度で抜糸となりますので、そうしたら化粧も可能です。
ただし、術後半年までは後戻りの可能性があるので、数ヶ月おきの再診をお勧めします。
●手術のリスク・副作用
感染、腫れ・出血、ドライアイ、兎目(瞼が完全に閉じられない状態)、再発リスク
●眼瞼下垂の悪化を防ぐために
一度発症した眼瞼下垂は、手術以外の方法で改善もしくは完治することはありません。
眼瞼下垂を発症させない、あるいは症状を悪化させないためにも日頃からの予防措置が必要となります。
以下に眼瞼下垂を悪化させる3つのNG行動をご紹介しますので、是非とも参考にしてください。
- アイプチなどで強く瞼を引っ張り上げる
- ハードコンタクトレンズの長期にわたる使用
- 強く目を擦る
【アイプチなどで強く瞼を引っ張り上げる】
アイプチを使用する時、瞼を大きく引っ張り上げてテープを貼る動作が繰り返されます。この物理的な力が眼瞼挙筋に負荷をかけます。また、剥がす際の摩擦や引っ張りが瞼の薄い皮膚を劣化させ、皮膚が伸びてたるむ原因になります。
ただし、アイプチを使用すると一時的に目が開きやすくなることから、軽度の下垂が緩和される可能性があります。そのため、絶対的な禁忌事項というわけではありませんが、使用の際には細心の注意を払う必要があります。
【ハードコンタクトレンズの長期にわたる使用】
ハードコンタクトレンズはソフトコンタクトレンズに比べて硬い構造のため、装着時に上瞼とレンズが接触します。そのため、まばたきをするたびに瞼の内側(結膜)や腱膜に摩擦が生じ、それが腱膜や周辺組織を傷つけることで、腱膜が瞼板から剥がれて腱膜性眼瞼下垂を引き起こす可能性があります。
また、ハードコンタクトレンズを装着・取り外しする際に瞼を頻繁に引っ張る動作が必要になるため、この物理的な力が眼瞼挙筋腱膜に負担をかけます。
そうならないためにも、コンタクトレンズ装着方法の見直しが必要であり、上瞼を必要以上に引っ張らないようにし、できれば下瞼を下げて外すなど、丁寧な装着・取り外しを心掛けましょう。また、ハードコンタクトレンズの使用頻度や装用時間を減らして目を休ませる時間を確保したり、ソフトレンズに切り替えたり眼鏡を併用することで瞼の負担を減らすことも重要です。
【強く目を擦る】
目を強く擦る行為は、瞼やその周囲の組織に過剰な負担をかけ、眼瞼下垂の発症や悪化の要因となる可能性があります。
アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー症状による目のかゆみに悩まされている方は、できるだけ瞼を擦らないように、内服薬・外用薬を使用してかゆみを緩和するよう日頃から注意していくことも重要です。アイメイクを落としたり洗顔後にタオルで顔を拭いたりする際も、可能な限り瞼に優しく触れるようにし、瞼への負担を減らしましょう。
つけまつ毛やまつ毛エクステも瞼への負担が大きく、眼瞼下垂悪化の一因になりかねません。
いずれにしても、眼瞼挙筋に対する過度な負担が眼瞼下垂発症や悪化に繋がる可能性が高いので、目の周辺の皮膚や筋肉に対する配慮が必要です。日頃から上記3点に注意して、眼瞼下垂の発症や悪化予防に努めましょう。
ストレスが原因で眼瞼下垂は起こる?眼瞼下垂とストレスの関係や治療法について解説!
「ストレス社会」で生きる現代人は様々な心身の不調に悩まされていますが、とりわけパソコンやスマートフォンなどに目を酷使する時間が長くなっているため、視力低下や視界の狭まり、瞼の重さなど目に対する違和感を訴える方が増えています。昨今では、中高年齢層にとどまらず、若年層の中にも「眼瞼下垂」の発症を疑う方が多く見られるようになってきている模様です。はたして、ストレスが原因で眼瞼下垂を発症するのでしょうか。
ここでは、ストレスと眼瞼下垂との因果関係について述べるとともに、眼瞼下垂以外の理由で目の開閉が困難になる症状及びその原因についても解説していきます。是非、ご一読下さい。
●眼瞼下垂とは
眼瞼下垂とは、何らかの原因によって瞼を正常に持ち上げる筋肉や神経の働きが低下し、上瞼が下がってくる状態のことを指します。それにより、眠そうに見えたり、瞳の一部が隠れてしまったりするなど、外見が悪くなるといった不都合が生じます。比較的発症頻度が高く、誰にでも起こりうる疾患です。
主な自覚症状としては、視界の狭まり(特に上方視野が遮られる)、瞼の重さや違和感(目を開けるのが疲れる)、視力への影響(目を細める癖がつき視力低下やピント調節に問題が生じる)といったものが挙げられます。さらに随伴症状(ある疾患に付随して起こる副次的な症状)として、頭痛や肩こり(眉や額の筋肉を頻繁に使うため、目やその周辺が疲れやすくなる)、眼精疲労(視界の確保に努力することで目の筋肉に過度な負荷がかかる)、鬱陶しさや疲労感(日常生活での目の使用が不快に感じられたり全身の疲労感に繋がったりする)などを引き起こすことがあります。
【眼瞼下垂の症状】
眼瞼下垂は加齢の影響で50代以降に顕著に現れ、その場合の主な症状は以下の通りです。
- 上瞼の下垂
- 視界の狭まり
- 瞼の重さや疲れ
- 眼精疲労、頭痛、肩こり
- 視力への影響
また、美容的な変化も無視できません。
- 目が小さく見える
- 老けた印象を与える
- 眉毛ごと目を開けようとする癖がつく
- 額や眉間のシワの増加
- 左右非対称な目元
眼瞼下垂を放置しておくと、上瞼の下垂による視野狭窄や視力低下だけでなく、眼精疲労・頭痛・肩こりといった随伴症状、そして日常生活にも美容にも様々な悪影響をもたらします。
こうした症状が続く場合には、専門医への相談をお勧めします。
●眼瞼下垂はストレスが原因で発症する?
強いストレスと眼瞼下垂の発症との因果関係を説明する際に重要なのは、「ミュラー筋」の役割です。
ミュラー筋は上眼瞼挙筋と瞼板を繋ぐ筋肉で、自律神経の1つである交感神経に支配され、瞼の開閉を調節する役割を担っています。
慢性的なストレスは自律神経のバランスを崩し、そのため交感神経の働きが鈍くなることでミュラー筋の筋力が低下し、眼瞼下垂を引き起こすことがあります。
また、画面の凝視や長時間労働などでストレスが続くと、顔や首、肩周りの筋肉が疲労して血行が悪化します。この状態が目元にも影響を及ぼし、上眼瞼挙筋の疲労感を助長することで、眼瞼下垂の症状を悪化させることがあります。
●ストレス以外の眼瞼下垂の主な原因
眼瞼下垂の原因は多岐にわたりますが、大きく分けると「先天性眼瞼下垂」と「後天性眼瞼下垂」の2種類となります。
【先天性眼瞼下垂】
先天性眼瞼下垂とは、生まれつき上瞼が正常に開かない状態を指します。片眼性(へんがんせい)と両眼性(りょうがんせい)があり、片眼性が約8割を占めます。出生直後から見られる眼瞼下垂で、自然治癒は期待できません。治療のためには手術が必要となります。
瞼が瞳孔を覆い視界を遮ることになるため、重度の場合は視力の発達に影響を及ぼしかねず、特に乳幼児期に発生した場合、弱視や斜視が生じる可能性があります。ただし、乳児が顎や眉を上げて見ようと努力している時は軽症のことが多いため、あまり小さなうちに手術をする必要のない場合がほとんどです。視力の発達状況を注意深く観察し、弱視の診断が可能となる3歳以降まで待つのが一般的です。
審美的な観点も含めて考えると、成長途中での手術は顔つきが変化した後に再手術の必要が生じる可能性があるため、思春期(14歳頃)以降が推奨されています。
早期発見と適切な対応が子どもの視力の正常な発達において重要ですので、定期的に専門医に相談して、手術の必要性や時期について判断してもらう方が良いでしょう。
先天性眼瞼下垂の原因として考えられる主な要因は以下の通りです。
眼瞼挙筋の未発達・機能低下
瞼を持ち上げる筋肉である眼瞼挙筋(がんけんきょきん)が十分に発達していないか、その機能が低下していると、筋肉の収縮力が弱まり、瞼が下垂してしまいます。
「単純性眼瞼下垂(たんじゅんせいがんけんかすい)」と呼ばれるもので、先天性眼瞼下垂の約9割を占めると言われています。
動眼神経の障害(先天性動眼神経麻痺)
眼球を動かす筋肉や瞼を上げる筋肉を支配する動眼神経が先まれつき機能しない「先天性動眼神経麻痺(せんてんせいどうがんしんけいまひ)」を発症している場合にも、上瞼を十分に持ち上げられず、眼瞼下垂を引き起こします。
その他、交感神経系の機能障害によって起こる「ホルネル症候群」や、顎を動かす時に上瞼が不随意に動く症状「マーカスガン現象」、神経と筋肉の接合部に異常が生じる自己免疫疾患の「重症筋無力症」などによっても、稀に眼瞼下垂を引き起こされます。
【後天性眼瞼下垂】
後天性眼瞼下垂とは、普通に開いていた瞼が、徐々に、あるいは急に下がってきた状態のことを指します。両目に発症することが多いものの、片目だけに発症することもあります。片目の場合は特定の局所的な問題が多く、両目の場合は全身的な要因が関与していることが一般的です。
後天性眼瞼下垂のうち最も頻度の高いタイプは、「腱膜性眼瞼下垂(けんまくせいがんけんかすい)」です。瞼を持ち上げる眼瞼挙筋を支える挙筋腱膜(きょきんけんまく)と瞼の先端部分にある瞼板(けんばん)の結合が緩むことで、瞼が下がる状態を指します。大半は加齢が原因ですが、コンタクトレンズやアイプチの長期使用、パソコンやスマートフォンの使いすぎなど生活習慣の影響により若年層でも発症することがあります。
その他、後天性眼瞼下垂には、目の筋肉そのもの構造または機能の異常による「筋原性眼瞼下垂」や、瞼の働きを司る動眼神経の障害が原因の「神経原性眼瞼下垂」、瞼やその周辺組織における外傷・腫瘍・異物など機械的刺激が原因の「機械性眼瞼下垂」もあります。
加齢に伴う皮膚のたるみ・筋力低下
後天性眼瞼下垂の中で最も多いのが「加齢性眼瞼下垂」や「老人性眼瞼下垂」と呼ばれる症状で、加齢の影響で挙筋腱膜がたるみ、眼瞼挙筋やミュラー筋(上眼瞼挙筋と瞼板を繋いでいる筋肉)が機能不全を起こして、瞼が開きにくくなる状態を指します。
加齢性眼瞼下垂は60歳以上の高齢者の大部分に見られ、両方の目に現れる両眼性がほとんどです。
パソコン・スマートフォンの長時間使用
スマートフォンやタブレット端末、パソコンなどのディスプレイを長時間見続けることで、目や体に様々な不調が現れる状態を「VDT症候群」と言います。これには眼精疲労、ドライアイ、かすみ目、視力低下、肩こり、頭痛などが含まれます。このVDT症候群が原因となり、眼瞼下垂が発症したり悪化したりする可能性が指摘されています。
予防のためには目の負担を軽減するために、長時間の使用を控える、こまめに目を休める、作業中にまばたきする回数を増やす、などの対策が必要となります。
コンタクトレンズの長期装用
コンタクトレンズ、とりわけハードコンタクトレンズの長期装用は、若年層といえども眼瞼下垂発症のリスクを高めるとされています。ハードコンタクトレンズは、装着の際に瞼やその周辺に対する機械的な負担や刺激を伴うだけでなく、着脱の際にも瞼を引っ張ることが多く、挙筋腱膜と瞼板の結合部が緩みやすくなるからです。ハードコンタクトレンズの使用者は、非使用者に比べて眼瞼下垂を発症する確率が約20倍も高い(※1)とされています。
(1)Takeshi Kitazawa Hard contact lens wear and the risk of acquired blepharoptosis: a case-control study ePlasty 13 e30 2013/6/19
アイプチの長期使用
簡単に二重瞼を作ることができるアイプチは、若年層に人気のアイテムです。高齢者の中にも、加齢によってたるんだ瞼の皮膚にアイプチを貼り付けて、目を開きやすくしようとする方もいらっしゃると聞きます。しかし、アイプチを長期的に使用していると、眼瞼挙筋が疲労してかえって眼瞼下垂の原因となる場合があります。それだけでなく、粘着部分の成分が瞼の皮膚に刺激を与え、かぶれを引き起こして眼瞼下垂を誘発するリスクも考えられます。
アレルギー疾患
花粉症やアトピー性皮膚炎は直接的に眼瞼下垂を引き起こす疾患ではありませんが、目のかゆみで頻繁に瞼や目元をこすってしまうと挙筋腱膜に負担がかかり、その結果、腱膜が伸びたり瞼板との繋がりが緩んだりことで、若年層でも眼瞼下垂が発症することがあります。
また、アトピー性皮膚炎では、瞼の皮膚が炎症を起こし、腫れたり厚くなったりすることがあります。この慢性的な炎症が瞼の組織や腱膜を弱らせ、眼瞼下垂の原因となることがあります。いずれにしても、花粉症やアトピー性皮膚炎に悩まされている方は、瞼や目元のケアを徹底することで、眼瞼下垂のリスクを抑える必要があります。
脳・神経系の疾患
後天性眼瞼下垂には、加齢や生活習慣の他にも、瞼の動きを司る神経に障害が生じて発症する場合(神経原生眼瞼下垂)もあり、その原因となる代表的な疾患は次の3つです。
- 脳梗塞
- 脳腫瘍
- 髄膜炎
【脳梗塞】
脳梗塞とは、脳の血管が詰まり血液の供給が途絶えることで、脳細胞が酸素や栄養を得られず、壊死する病気を指します。主な症状には、言語障害、片側の手足の麻痺や痺れ、めまいや平衡感覚の異常などがありますが、眼瞼挙筋をコントロールする動眼神経が麻痺して眼瞼下垂を引き起こすことがあります。
【脳腫瘍】
脳腫瘍とは、脳組織や髄膜、脳神経、下垂体など頭蓋骨の中に発生する腫瘍の総称で、大きくなり脳を圧迫するようになると意識障害や昏睡状態を引き起こし、命にかかわる状態となります。
腫瘍が発生した部位に応じて症状は異なりますが、脳腫瘍が動眼神経の経路を圧迫または侵害すると、眼瞼挙筋が機能不全を起こし、眼瞼下垂が発生します。
また、眼瞼下垂を発症するほど動眼神経周辺に対する圧迫が生じると、眼球運動も不均衡になり物が二重に見える(複視)状態が生じたり、顔の一部または全体に痛みを感じる「顔面痛」などが同時に現れたりすることもあります。
【髄膜炎】
髄膜炎とは、脳と脊髄を覆う保護膜である髄膜に細菌やウイルス、真菌などの病原体が感染して炎症を起こし、発熱、頭痛、吐き気・嘔吐、意識障害などが発症する病気です。この炎症が動眼神経に波及すると、神経の機能が低下し、眼瞼下垂を引き起こす可能性があります。
●目が開きづらいのは眼瞼下垂以外の疾患が原因となっていることも
「疲れやストレスを感じて目が開きづらい」と思った場合でも、実は眼瞼下垂以外の様々な病気が原因となっていることがあります。例えば、重症筋無力症や甲状腺眼症、脳神経麻痺などの重篤な病気も、瞼の動きに影響を与える場合があるので注意が必要です。
より一般的な病気としては、ドライアイや目の炎症が原因で重さを感じ、目が開きにくくなることもあります。ここでは、目が開きにくくなる症状を発症しやすい主な病気をいくつか取り上げたいと思います。
【眼精疲労】
長時間のパソコンやスマートフォンの使用、体が安定しない状態や暗所での動画視聴、コンタクトレンズの長期装用などは目の筋肉を酷使し、眼精疲労を起こします。その際には、眼瞼挙筋やその周辺の筋肉が疲労するため、瞼が重く感じられることがあります。
【むくみ】
日常的な疲労やストレスによって自律神経が乱れ、血行が悪くなることで水分が滞ると、むくみが発生します。すると、瞼の皮膚や組織にも余分な水分が溜まって瞼が重くなり、これが眼瞼挙筋に過度な負担をかけ、目を開く動作が困難になることがあります。
【顔面麻痺】
長年のストレスによって免疫力が低下しウイルス感染を発症したり、自律神経の乱れで血流が悪化したりすることにより、顔面麻痺が起こる可能性があります。
顔面麻痺が直接的に動眼神経を介して眼瞼挙筋に影響を与え、眼瞼下垂が発症することはありませんが、顔面神経の障害が瞼や目元の筋肉などに影響を与え、間接的に眼瞼下垂を引き起こすことがあります。
顔面麻痺に関連する眼瞼下垂は、まず基礎疾患の治療が優先されますが、後遺症として眼瞼下垂の症状だけが残る場合もあるので、必ず専門医による早期治療を受けるようにしましょう。
●眼瞼下垂がストレスによって発生した場合の治療法
ストレスが原因で起こる眼瞼下垂は、主に自律神経の乱れや筋肉の疲労が関与しています。この場合、まずはストレスを軽減し、自律神経を整えることが治療の第一歩です。リラクゼーション法や十分な休息、適度な運動を取り入れることで、症状の改善が期待できます。ストレスが仕事由来の場合は、一時的な休職なども検討してみてください。
それでも改善が見られない場合は、他の病気が原因とも考えられますので、眼科や形成外科など専門医の診察が必要です。日常生活の見直しと専門医の治療を組み合わせて対処しましょう。眼瞼下垂の治療法としては、手術が一般的です。
【眼瞼下垂の手術法】
眼瞼下垂の治療には服薬や注射など内科的治療の効果は薄いため、基本的には手術といった外科的治療法を選択することになります。
眼瞼下垂の手術法には確立されたものがいくつもありますが、当院では「まぶたが開けにくいために日常生活に支障があること」「まぶたが下がって視野が狭くなっていること」という保険適用となる条件を満たした手術のみに対応しておりますので、美容目的及び視野に影響のない軽度の眼瞼下垂の手術は実施しておりません。
以下では、眼瞼下垂の代表的な手術法についてご説明します。
挙筋前転術(きょきんぜんてんじゅつ)
挙筋前転術は、瞼を引き上げる筋肉(眼瞼挙筋)から伸びている腱膜を瞼板に固定するものです。上瞼の二重ラインの上を切開し、緩んだ挙筋腱膜を引き出し、適切な位置で瞼板に縫合します。この結果、眼瞼筋肉と瞼板が密着するようになり、楽に目を開けられるようになります。
※筋肉性眼瞼下垂の手術には対応致しかねますので、診断結果に応じて必要があれば、近隣の大学病院をはじめ他院を紹介します。予めご承知おきください。
前頭筋吊り上げ術(ぜんとうきんつりあげじゅつ)
眼瞼挙筋がほとんど機能していないような重度の眼瞼下垂に適用される手術法で、額の筋肉(前頭筋)と瞼を患者自身の腹部などの筋膜やゴアテックスのようなナイロン糸で繋ぎ合わせることで、額の筋肉(前頭筋)の動きを利用して瞼を引き上げることができるようになります。
※筋肉性眼瞼下垂の手術には対応致しかねますので、診断結果に応じて必要があれば、近隣の大学病院をはじめ他院を紹介します。予めご承知おきください。
余剰皮膚切除術(びもうかよじょうひふせつじょじゅつ)
余剰皮膚切除術とは、緩んで垂れ下がっている余分な瞼の皮膚を切除することで、目を開きやすくする手術法です。二重のライン(重瞼線)に沿って切開する方法と、眉毛の下のラインに沿って切開する方法とがありますが、座った姿勢もしくは立った姿勢で、余分な皮膚の取り除く量を決めて切除します。その際は同時に眼輪筋も切除することもあり、最後に細い糸で縫合します。
●まとめ
眼瞼下垂は、加齢や生活習慣を原因とするものが大部分を占めますが、なかにはストレスが原因で発症する場合もありますので、予防のためにも日頃からリラックス、リフレッシュを心掛け、ストレスを発散させていく必要があります。
ただし、瞼が垂れ下がる症状は必ずしも眼瞼下垂に限ったものではなく、なかには重篤な病気と関連する場合もありますので、必要に応じて専門医に診断してもらうことが重要です。
眼瞼下垂になると肩こりが生じるのはなぜ?肩こりが起こる仕組みや眼瞼下垂の手術によって改善するのかについて解説!
眼瞼下垂とは、その名の通り瞼が垂れ下がってきて視界を妨げている状態を指します。「瞼が重く、瞼を上下するのが難しく感じる」「眼精疲労」「目の奥の不快感」「額や眉間のシワが目立つ」などの症状が現れますが、意外にも「肩こり」の症状が現れることがあります。
一体なぜ眼瞼下垂になると肩こりが生じるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
●眼瞼下垂とは
眼瞼下垂とは、瞼を引き上げる役割を持つ挙筋腱膜やミュラー筋が緩むことで、瞼が下がる状態を指します。この状態は、長期間使用されたゴム紐が伸びてしまう現象に似ています。通常の瞼はしっかりと開いており、瞳が完全に露出するため、広範囲を見渡すことができます。
眼瞼下垂の初期段階では、瞼がわずかに下がり、二重の幅が拡大するのが特徴です。進行すると、瞼が瞳にかかり始め、さらに二重の幅が拡大します。この頃になると、視界の一部に瞼が入り込むため、視野が狭くなります。その結果、下がった瞼を持ち上げようと額の筋肉を過剰に使い、額にシワができたり眉毛が上がることが増えたりします。症状がさらに進行すると、瞼が瞳を半分以上覆うようになり、視界に大きな影響を及ぼします。
黒目の中心から上瞼までの距離を基準にすると、正常な状態ではおおよそ4mmですが、眼瞼下垂の初期段階ではこの距離が2~4mmの範囲に縮まり、中期ではさらに短くなり、2mm以下になります。
【眼瞼下垂の症状】
眼瞼下垂を発症すると、主に以下のような症状が見られることがあります。
もし思い当たることがございましたら、一度当院までご相談ください。
瞼・視野に関する症状
- 瞼を持ち上げるのが難しい
- 瞼が重く圧迫されるように感じる
- 目を開ける際に力が必要
- 物がはっきり見えづらい
- 視野が制限されるように感じる など
外見上の変化
- 眠たそうな目元や表情に見られる
- 額に常にシワが寄っている
- 一重だった目が二重に変わった
- 二重の幅が以前より広がっている
- 上瞼にくぼみができている
- 顎を上げる姿勢が習慣化している など
随伴症状
瞼が十分に開かないことで、それを補おうと額の筋肉である前頭筋により瞼を上げる癖がつき、次のような二次的な症状(随伴症状)が生じることがあります。
- 頭が痛む
- 肩や首のこり
- 瞼や顔の筋肉が痙攣する
- めまいやふらつき
- 光に対して過敏になり、まぶしく感じる
- 睡眠の質が悪くなる
- 慢性的な疲労感
- 手足や身体が冷える
- 便秘や下痢が続く など
●眼瞼下垂で肩こりが起こる原因
眼瞼下垂を発症すると、瞼を持ち上げる役割を担う上眼瞼挙筋と、瞼を支える瞼板との結びつきが緩み、瞼を上げる力が低下します。
その結果、目を開くことが難しくなり、それを補おうと額の前頭筋を過剰に使って瞼を持ち上げようとする癖がつきます。
また、視野が狭くなり物が見えづらくなるため、頭を後ろに傾けたり顎を突き出したりして視界を確保しようとするようになります。こうした動作により、首や肩、背中に負担がかかると同時に、目の周りや額の筋肉が緊張した状態が常態化するため、慢性的な首や肩のこり、頭痛が生じることがあります。
●眼瞼下垂が首のこりの原因になることも
眼瞼下垂によって視野が狭窄すると、それを補おうと頭を後ろに傾け、首を前に突き出すような姿勢を取ることがあります。この不自然な姿勢を長時間続けることで、首の筋肉に過剰な負担がかかり、ストレートネックを引き起こします。
ストレートネックとは、本来は緩やかな前弯を描いているはずの頚椎(首の骨)が、パソコンやスマートフォンなど長時間のVDT作業などによって、首を前に突き出した状態のまま直線的に変形してしまう状態を指します。
この状態になると、首や肩の筋肉が強く緊張し、首のこりや不快感、痛みが現れるようになります。また、頭部を支える負担が増えることで、首の筋肉が張りやすくなり、さらにこりが悪化します。これに伴い血流が滞ることで、様々な不調を引き起こす可能性があります。
●眼瞼下垂を放置した場合
眼瞼下垂は自覚しづらい症状であるため、初期段階では気づかずに放置されてしまうことが少なくありません。しかし、眼瞼下垂を放置していると、症状が少しずつ進行し、瞼が開きにくくなるため、視界が狭まったり、見えづらくなったりする問題が深刻化します。加えて、首や肩のこり、頭痛、めまいといった随伴症状も悪化する恐れがあります。
●眼瞼下垂のセルフチェック
眼瞼下垂の有無は、ご自宅で容易にセルフチェックできます。
もしセルフチェックの結果で「眼瞼下垂の可能性がある」と感じた場合は、一度当院までご相談ください。
専門の診査・診断を通じて、正確な状態を確認することをお勧めします。
【セルフチェックの方法】
STEP.1
鏡の前で目を閉じて、眉毛の下に定規をぶら下げるように垂直に当てて固定します。
STEP.2
定規を指で押さえた状態で、そっと目を開けます。
STEP.3
鏡に映ったご自身の瞳をスマートフォンなどで撮影しましょう。
STEP.4
撮影した画像を確認し、瞳(黒目)の中心から上瞼までの距離を測定します。
この距離が3.5mm以下の場合は、眼瞼下垂の可能性があります。
●眼瞼下垂の手術を受けることで肩こりは改善する?
眼瞼下垂は、瞼を持ち上げる上眼瞼挙筋と瞼板の結びつきが少しずつ緩むことで、瞼を開ける力が低下した状態です。
この影響で視野が狭窄し、それを補おうと額の筋肉である前頭筋に力を入れて眉を上げようとする癖がつくため、首や肩に負担がかかり、首や肩のこり、頭痛といった症状が現れることがあります。
眼瞼下垂の手術では、緩んだ上眼瞼挙筋を瞼板の近くに縫い直すことで、上眼瞼挙筋の働きを回復させ、瞼を開きやすくします。この手術により、額の筋肉の緊張が軽減されるため、首や肩のこり、頭痛が解消します。
※当院では筋肉性の眼瞼下垂への手術は行っておりません。診断の結果、難しい症例の治療が必要な方は近隣の大学病院を紹介いたします。
【眼瞼下垂の手術を受けても肩こりが改善しないこともあります】
眼瞼下垂は慢性的な首や肩のこり、頭痛、歯ぎしりの原因となることから、手術によってこれらの症状が改善される可能性があります。しかし、眼瞼下垂の手術後でも、目を開ける際に額に力を入れる癖が残っている場合、首や肩のこり、頭痛が長引くことがあります。これらの症状が必ずしも眼瞼下垂に起因しているわけではありませんが、手術によって改善される可能性は高いと考えられます。
●眼瞼下垂の治療法
眼瞼下垂は、内服薬や注射では効果が得られにくいため、基本的には手術が行われます。眼瞼下垂は外見上の変化だけでなく、視機能に大きな影響を与えます。そのため、眼瞼下垂の手術方法は、施設や施術者によって異なり、様々なアプローチが考案されています。当院では、「機能的に問題のある眼瞼下垂(=視機能に支障をきたし、生活に影響を与えている眼瞼下垂)」に対する手術を実施しており、保険が適用されます。
以下では、眼瞼下垂の代表的な手術法についてご説明します。
【挙筋前転術(きょきんぜんてんじゅつ)】
この手術は、緩んだ挙筋腱膜を瞼板に再固定する手術です。上瞼の二重のラインを切開後、緩んでいる挙筋腱膜や筋肉を切り離し、前方に引き寄せた後、糸で瞼板にしっかりと固定します。これにより、挙筋腱膜のたるみが解消され、上眼瞼挙筋の力がしっかりと瞼板に伝わるようになり、瞼を開きやすくなります。
※当院では筋肉性の眼瞼下垂への手術は実施しておりません。診断の結果、より高度な治療が必要な場合は、近隣の大学病院にご案内します。
【前頭筋吊り上げ術(ぜんとうきんつりあげじゅつ)】
上眼瞼挙筋の機能が著しく低下しており、挙筋前転術では効果が見込めない重症例が対象となります。糸や太もも外側の筋膜などを利用し、額の筋肉と瞼板を連結します。眉毛を上げる動作により、瞼を楽に開けられるようになります。
※当院では筋肉性の眼瞼下垂への手術は実施しておりません。診断の結果、より高度な治療が必要な場合は、近隣の大学病院にご案内します。
【余剰皮膚切除術(びもうかよじょうひふせつじょじゅつ)】
弛んで垂れ下がった上瞼の余剰皮膚を切除する方法です。上瞼もしくは眉毛の下のどちらかの皮膚を切除します。立っている状態、もしくは座っている状態で、余分な皮膚を取り除く量を決定し、切除を行います。また、目の周囲にある眼輪筋を切除する場合もあります。最後に細い糸で丁寧に縫合を行い、きれいに閉じます。余分な皮膚が取り除かれることで、瞼が押し下げられることなく、瞼を開けやすくなります。
●よくある質問
Q.眼瞼下垂を発症すると肩がこるのはなぜですか?
眼瞼下垂を発症すると、瞼を開ける力が低下し、それを補おうと額の筋肉である前頭筋により眉を上げるようになります。この状態が続くと、首や肩の筋肉に過度の緊張が生じ、結果として首や肩のこり、さらには頭痛が引き起こされることになります。
Q.眼瞼下垂を発症するとなぜ頭痛が起きるのでしょうか?
眼瞼下垂では瞼が下がることで視野が狭窄しますが、視野を確保するために額や眉に力を入れて瞼を開こうとします。そのため、額の筋肉である前頭筋が強く緊張し、疲れやすくなります。結果として、目の疲労や頭痛が発生することがあります。
Q.眉眼瞼下垂は目の疲れを引き起こすことがありますか?
眼瞼下垂では瞼が下がることで視野が狭窄します。そのため、瞼を開こうと無意識に額や眉の筋肉に力が入ってしまいます。この筋肉の緊張が、目の疲れや眼精疲労を招く原因となります。
眼瞼下垂と一重はどう違う?それぞれの原因や治療法を解説!
外見上の違いが分かりにくい一重瞼と眼瞼下垂ですが、症状や原因には大きな違いがあります。
一重瞼は、生まれつきの瞼の形状によるもので、見た目や美容的な特徴の1つとされています。一方、眼瞼下垂は、瞼を持ち上げる筋肉の機能が弱まることで生じ、視界が狭くなることがあります。
本ページでは、一重瞼と眼瞼下垂の違いを詳しく解説し、それぞれに適した治療法をご紹介します。
当院では、眼瞼下垂の治療だけでなく、一重瞼に対する美容施術も行っております。視界の改善を希望される方はもちろん、目元の印象を変えたい方も、お気軽にご相談ください。
●眼瞼下垂と一重はどう違うのか?
見た目が似ている一重瞼と眼瞼下垂ですが、それぞれの特徴は大きく異なります。
一重瞼は、生まれつきの瞼の形状によるもので、美容的な特徴の1つとされています。
一方、眼瞼下垂は、瞼を持ち上げる筋肉の機能が弱まることで生じる医学的な症状であり、視界が狭くなることがあります。
以下では、それぞれの特徴や違いについて詳しく解説します。
【一重瞼について】
一重瞼とは、上瞼に二重のライン(折り目)ができず、皮膚が1枚のように見える状態を指します。瞼を持ち上げる眼瞼挙筋(がんけんきょきん)が、上瞼の瞼板(けんばん)にのみ付着しているため、皮膚に二重のラインができません。その結果、瞼全体がフラットで折り目がなく、スッキリとした印象を与えるのが特徴です。
そのため、二重瞼に比べると目が小さく見えたり、華やかさが控えめに感じられたりすることを気にする方もいますが、一方で、上品さやクールな雰囲気を魅力と考える方もいらっしゃいます。
一重瞼により健康被害が起こることはありませんが、目元の印象を変えたいと考える方にとっては、二重形成術などの美容施術が選択肢の1つとなります。
【眼瞼下垂について】
眼瞼下垂とは、上瞼を持ち上げる筋肉が衰え、その機能が十分に働かなくなることで、瞼が垂れ下がり、視界が狭窄する状態を指します。この症状は、ケガによる組織の損傷、老化による組織の衰え、生まれつきの瞼の形状、さらに長期間のハードコンタクトレンズの使用など、様々な要因によって発生します。
眼瞼下垂の主な症状として、視界が制限されることで日常生活に制限があるだけではなく、目の疲れが慢性化し、眼精疲労を感じやすくなります。また、それを補おうとおでこや眉の筋肉を使って瞼を持ち上げようとするため、首や肩のこり、頭痛の原因となります。
眼瞼下垂を放置すると、日常生活への影響が大きくなるため、適切な医療的対処が必要です。視界が遮られたり、生活に支障を感じたりする場合には、手術を含む治療を検討することが推奨されます。
●以下のような症状でお悩みではありませんか?
- 目をしっかり開くのが難しい
- 左右の目の開きに差がある
- 目を大きく開いても視界が制限される
- 瞼が重く、違和感がある
- 上の方を見ようとしても視界が遮られる
- 運転中に信号が見えにくいことがある
- 周囲から「眠たそうに見える」と言われることが多い
- おでこのシワが以前より目立つようになった
- 瞼の皮膚が緩んでいる
- 特に原因が思い当たらないのに、首や肩のこりや頭痛が続く
- 長年(10年以上)ハードコンタクトレンズを使用している など
これらの症状に当てはまる場合は、眼瞼下垂の疑いがあります。
少しでも気になる方は、お早めに当院までご相談ください。
●眼瞼下垂のセルフチェック
眼瞼下垂の可能性があるかどうか、ご自宅で簡単にセルフチェックができます。
セルフチェックの結果、「もしかして…」と感じた場合は、早めに当院へご相談頂き、専門的な診察・診断を受けることをお勧めします。
【セルフチェックの方法】
STEP.1
鏡の前で目を閉じて、眉毛の下に定規をぶら下げるように垂直に当てて固定します。
STEP.2
定規を指で押さえた状態で、そっと目を開けます。
STEP.3
鏡に映ったご自身の瞳をスマートフォンなどで撮影しましょう。
STEP.4
撮影した画像を確認し、瞳(黒目)の中心から上瞼までの距離を測定します。
この距離が3.5mm以下の場合は、眼瞼下垂の可能性があります。
●眼瞼下垂の原因
【加齢】
加齢に伴い、瞼を支える筋肉や腱膜が衰え、瞼が緩みます。この症状は60代以上で見られることが多いですが、40代頃から認められることもあります。
【外傷】
瞼や目の周辺に強い衝撃を受けることで、眼瞼下垂を招きます。スポーツや交通事故での強い衝撃や負傷など身体へのダメージがその一例として挙げられます。
【先天性】
先天的な要因で眼瞼挙筋(がんけんきょきん:上瞼を持ち上げる役割を担う筋肉)が十分に機能しない場合、幼少期のうちから眼瞼下垂が現れることがあります。この場合、両目に症状が出ることもあります。
【神経疾患】
神経疾患の一種である重症筋無力症などが、眼瞼下垂の原因となります。
重症筋無力症は、神経と筋肉の連携に障害をもたらし、瞼を持ち上げる筋肉の機能が低下することで症状が現れます。
【瞼に負担をかける行為】
日々の生活の中で、瞼に強い負担をかける習慣が続くと、眼瞼下垂を発症する可能性が高くなります。長期間のコンタクトレンズの使用(特にハードコンタクトレンズ)、濃いアイメイク、アイプチやアイテープの使用、まつ毛エクステの装着などは瞼に継続的な負担をかける要因となります。
また、アレルギー症状や肌のかゆみを伴う疾患がある方で、頻繁に瞼を掻く・擦る習慣がある方も要注意です。
このような継続的な刺激によって、瞼の負担が増し、挙筋腱膜が緩みやズレが生じ、眼瞼下垂に繋がる可能性があります。
●生活習慣も発症要因となります
生活習慣病(糖尿病や脂質異常症、高血圧など)を患っている方は、眼瞼下垂を発症しやすい傾向があります。
眼瞼下垂と生活習慣病の因果関係はまだ十分には解明されていませんが、生活習慣を改善することで、眼瞼下垂の予防効果も期待できると言われています。
【高血圧】
高血圧とは、血圧が長期間高い状態が続くことを指します。自覚症状がほとんどなく、気づかないまま進行することが多いですが、放置すると心疾患や動脈硬化などの重大な病気に繋がる恐れがあります。原因としては、遺伝的要因のほか、塩分の過剰摂取、飲酒、喫煙、肥満、ストレスなどの生活習慣が関係しています。
【糖尿病】
糖尿病とは、血糖値が正常範囲を超えて慢性的に高い状態が続く病気です。主な原因として、過食や食生活の乱れ、運動不足、肥満などが挙げられます。これにより、インスリンの分泌量の低下や機能低下を招くことで、血中のブドウ糖(血糖)が増加します。
一度発症すると完全に治療することは困難で、様々な合併症に繋がる可能性があります。発症を防ぐには、食事・運動・薬物療法を適切に行い、血糖値を管理することが重要です。
【脂質異常症】
糖質異常症とは、血中に含まれる脂質(中性脂肪やコレステロールなど)が、正常範囲を超えて慢性的に高い状態が続く病気です。
この状態を放置すると、動脈硬化を招き、心筋梗塞や脳梗塞の発症する可能性を高めます。主な原因として、過剰な飲食や肥満、喫煙、運動不足、ストレスなどが挙げられます。特に、日頃から高カロリーな食事を続けている方は注意が必要です。運動療法や食事療法を実践し、生活習慣を見直すことが治療の基本となります。
●眼瞼下垂と一重の治療方法の違い
一見すると、眼瞼下垂と一重瞼は似ているように見えますが、治療方法には違いがあります。
ここでは、それぞれの治療方法について詳しく説明します。
【一重の治療方法】
一重瞼の治療は、主に美容を目的として実施され、患者様の希望に合わせて施術方法が決定されます。
埋没法
埋没法は、特殊な糸で瞼を固定し、自然な二重のラインを形成する施術です。
この施術は、比較的簡単でダウンタイムが短いため、日常生活への影響を最小限に抑えられます。特に、初めて二重形成を行う方や若い世代に選ばれることが多く、施術後の回復期間は数日と短く、自然な見た目に仕上がります。
切開法
切開法は、瞼を切開し、必要に応じて皮膚や筋肉の調整を行い、二重のラインを形成する手術です。長期間にわたり安定した二重を維持できるため、持続性を重視する方に適しています。ただし、埋没法に比べて術後のダウンタイムを長く取る必要があり、術後のケアを慎重に行う必要がある点には注意が必要です。
【眼瞼下垂の治療方法】
眼瞼下垂の治療では、注射による薬剤投与や内服薬では治療することは難しく、基本的には手術による治療が必要となります。目は見た目の印象を大きく左右するため、手術方法は医療機関や医師によって様々な術式が採用されています。
当院では、単なる美容目的ではなく、視界が遮られることで日常生活に支障をきたすような「機能的に問題のある眼瞼下垂」の手術を、保険適用で実施しています。
以下が主な術式です。
挙筋前転術(きょきんぜんてんじゅつ)
緩んだ挙筋腱膜を瞼板に再固定する手術です。上瞼を切開し、緩んだ腱膜や筋肉を前方へ引き寄せ、糸で瞼板にしっかりと固定します。この処置により、緩んだ腱膜が修復され、上眼瞼挙筋肉の力が瞼板に適切に伝わることで、瞼の開閉が改善されます。
※筋肉性の眼瞼下垂に対する手術は、当院では対応しておりません。診断の結果、より専門的な治療が必要と判断された場合は、近隣の大学病院をご紹介いたします。
前頭筋吊り上げ術(ぜんとうきんつりあげじゅつ)
糸や太ももから採取した筋膜を用いて、おでこと瞼板の筋肉を結びつける手術です。これにより、眉を持ち上げる動作におでこの筋肉を活用できるようになり、瞼の開閉が改善されます。挙筋前転術では十分な改善が期待できない重度の眼瞼下垂(上眼瞼挙筋の機能が著しく低下している状態)に対して主に適用される治療法です。
※筋肉性の眼瞼下垂に対する手術は、当院では対応しておりません。診断の結果、より専門的な治療が必要と判断された場合は、近隣の大学病院をご紹介いたします。
余剰皮膚切除術(よじょうひふせつじょじゅつ)
上瞼の余剰皮膚を切除し、緩みを改善する手術です。皮膚の切除方法として、上瞼の皮膚を切除する場合と、眉の下で皮膚を切除する方法があります。手術前に、体位あるいは座位の状態で切除する皮膚の量を正確に測定し、適切な切除範囲を決定します。必要に応じて眼輪筋の一部を取り除く処置も行います。余剰皮膚あるいは眼輪筋を切除した後、細い糸を用いて丁寧に縫合し、自然で美しい仕上がりとなるように整えます。上瞼を圧迫していた余分な皮膚が取り除かれることで、目の開閉が改善されます。
●まとめ
外見上見分けのつきにくい一重瞼と眼瞼下垂ですが、症状や原因は大きく違います。
一重瞼は、生まれつきの瞼の形状によるもので、主に見た目や美容目的で治療が行われます。治療方法には、埋没法や切開法があり、希望に応じて目元の印象を整えることが可能です。
一方、眼瞼下垂は、瞼を持ち上げる筋肉の機能が低下することで発生し、視界を遮るなど日常生活に影響を及ぼします。眼瞼下垂の手術では、「機能的に問題のある眼瞼下垂」の改善を目的としており、挙筋前転術、前頭筋吊り上げ術、余剰皮膚切除術などが適用されます。
当院では、一重瞼に対する埋没法や、眼瞼下垂に対する余剰皮膚切除術を提供しています。一重瞼や眼瞼下垂のお悩みをお持ちの方は、当院までお気軽にご相談ください。
眼瞼下垂の手術と二重手術の違いを目的や施術方法、料金など様々な観点から解説!
二重手術は、瞼に二重のラインを作り、目元の印象を整える施術です。一方、眼瞼下垂手術は、視界を妨げる瞼の緩みを改善し、瞼を持ち上げることで機能を回復させることを目的としています。どちらも瞼に対する処置ですが、その目的や方法には大きな違いがあります。
本ページでは、混同されやすい二重手術と眼瞼下垂手術の違いについて詳しく解説し、よくある疑問にお答えします。是非参考にしてください。
●眼瞼下垂とは
眼瞼下垂は、瞼の機能が正常に働かなくなる疾患の1つで、比較的多くの人に見られる疾患と考えられています。目を開こうとしても上瞼がスムーズに持ち上がらず、黒目の中心にある瞳孔が部分的に覆われてしまう状態を指します。この状態になると、「瞼が重く感じて目を開けていることが負担に感じる」、「上方の視界が瞼によって妨げられ、見づらさを感じる」といった症状が現れることがあります。
その結果、視界を十分に確保しようと常に顔を上げることで首や肩のこり、頭痛が生じやすくなります。また、目にかかる負担が大きくなることで自律神経のバランスが乱れ、日光に強い眩しさを感じ、外出時にサングラスが欠かせなくなるケースもあります。さらに、気分が落ち込みやすくなるなどの随伴症状が現れることも知られています。
【眼瞼下垂の症状】
眼瞼下垂の症状は、多くの場合、次のような形で現れます。
特に50代以降になると症状がはっきりと現れることが多いため、ご自身の状態を確認してみましょう。
- 瞼に違和感があり、重だるい
- 上瞼が黒目の一部を覆っている
- 目をしっかり開くのが難しい
- 視野が狭窄し、ものが見えにくいと感じる
- 首や肩のコリ、頭痛、目の疲れが続いている
さらに、見た目の印象にも次のような変化が生じることがあります。
- 目元が下がって険しい表情に見られることがある
- 写真に映ると、周囲から「眠たそうに見える」と指摘される
- 眉間にシワが目立つようになった
- 気づかないうちに顎や眉を上げながらものを見てしまう
- 瞼が下がり、実年齢より老けた印象を与える
眼瞼下垂を放置すると、視界が遮られるだけでなく、慢性的な首や肩のこり、頭痛、目の疲れを招き、日常生活の質が低下する可能性があります。
該当する症状がある場合は、早めの受診をお勧めします。
●二重手術と眼瞼下垂手術はどう違うのか?
【施術方法の違い】
二重手術
二重手術とは、外科的アプローチによって二重のラインを形成する施術方法です。主に「埋没法」と「切開法」の2つの方法が一般的に行われています。
埋没法は、瞼の内側を医療用の糸を用いて固定することで、二重のラインを形成する施術方法です。切開を最小限に抑えられるため、術後の腫れや内出血も少なく、身体への負担も軽減されます。しかし、固定した糸が緩んだり切れたりすると二重のラインが消失することがあり、永続的な効果ではない点には注意が必要です。
切開法は、瞼をメスで切開し、理想とする形で二重ラインを形成する施術方法です。持続性が高く、デザインを細かく調整できるのが特徴ですが、切開を伴うため身体への負担が大きく、仕上がりが落ち着くまでに時間を要することがあります。
眼瞼下垂の施術
眼瞼下垂は瞼と筋肉の連携が衰えたことで、瞼の機能が正常に働かなくなる症状です。そのため、眼瞼下垂の手術では、瞼を持ち上げる機能を回復させるために、瞼のラインに沿ってメスで切開し、弛み伸びた眼瞼挙筋腱膜を短く再形成し、瞼に固定します。
基本的には切開を伴う手術であり、保険適用の対象となります。ただし、医療機関によっては埋没法のように医療用糸と針を使用し、瞼と眼瞼挙筋腱膜を固定する施術を提供している場合もあります。この場合は自由診療扱いとなるため、保険適用の手術と比べて医療費が高額になる点を理解しておく必要があります。
まとめると、二重手術は「目元を美しく整えるための施術」であり、機能面の回復を目的としたものではありません。一方、眼瞼下垂手術は「瞼の機能を改善させるための手術」であり、目の開きや視界を正常にし、日常生活の質を向上させることを目的としています。
※当院での眼瞼下垂手術に対する保険適用の有無については診断後の判断となります(症状のない方は自費診療)。難しい症例の治療が必要な方は近隣の大学病院を紹介いたします。
【料金の違い】
二重手術の料金
施術内容や医療機関の方針によりますが、多くの場合、切開法よりも埋没法の方が比較的低価格で提供されています。
埋没法の費用は、おおよそ5〜20万円が目安とされています。皮膚を固定するポイントの数(1点留め・2点留めなど)が増えるほど、糸の固定が安定し、二重のラインが長持ちする可能性がありますが、その分費用も高くなる傾向があります。
一方、切開法の費用はおおよそ10〜60万円が目安とされており、瞼の切開範囲が広い場合や脂肪除去を伴う施術では、より高度な技術が必要となるため、費用が高くなることがあります。
眼瞼下垂の料金
眼瞼下垂の手術費用は、保険が適用される場合、1割負担でおおよそ1.5〜3万円、3割負担でおおよそ4.5〜8万円が目安とされています。
一方、上述のように切開を伴わない埋没法を用いた眼瞼下垂手術は保険適用外となり、費用はおおよそ15〜30万円かかります。
さらに、美容的な観点から仕上がりの見た目を重視して手術を行う場合は、自由診療となり、施術内容によっては40万円以上の費用がかかるケースもあります。
※当院での保険適用の有無については診断後の判断となります(症状のない方は自費診療)。難しい症例の治療が必要な方は近隣の大学病院を紹介いたします。
【健康保険適用の適用有無について】
見た目の美しさを向上させることが目的で行う二重手術は、治療ではないため健康保険の対象にはなりません。
一方、眼瞼下垂では、下がった瞼が目にかかり、十分に目が開かず、特に上方の視界が遮られるのが特徴です。その結果、無理に視界を確保しようと目に力を入れ続けることで、頭痛や肩こり、目の疲れなど不快な症状を招きます。
また、瞼が十分に開かないことで、周囲から「目つきが悪い」「眠たそう」といった印象を与えてしまうなど、見た目に関する悩みが生じることがあります。
そのため、症状が重い眼瞼下垂の場合には保険適用の対象となります。
眼瞼下垂による瞼の緩みは、生まれつきの先天性のものと、生活習慣などによる後天性のものがあります。後天性の眼瞼下垂は、目の酷使や目を強く擦る習慣、長期間のコンタクトレンズの使用、加齢などが原因となることが多いです。
近年では、スマートフォンやパソコンなど長時間のVDT作業が影響し、若年層においても後天性の眼瞼下垂を発症するケースが増えています。瞼に重さを感じたり目をしっかり開くのが難しい、頭痛や肩こりといった症状が続く場合には、早めに医療機関を受診することを推奨します。
●二重手術と眼瞼下垂手術は同時に受けられる?
二重手術と眼瞼下垂手術は同時に受けることができます。医療機関によっては、両方を組み合わせた施術プランを用意している場合もあります。
ただし、二重手術を組み合わせる場合、多くのケースで自由診療となり、保険適用の対象となりません。そのため、保険適用となる眼瞼下垂手術のみ行う場合に比べ、費用が高額になる点は理解しておく必要があります。
●眼瞼下垂手術を検討している方がチェックすべきポイント
眼瞼下垂の治療は、多くの医療機関で提供されています。
しかし、適切な医療機関を選ばなければ、仕上がりに満足できなかったり、期待した効果が得られなかったりする可能性があります。
こうしたトラブルを回避するためにも、以下のポイントを事前に確認しましょう。
【担当した症例数の多い経験豊富な医師・医療機関を選ぶ】
眼瞼下垂の治療を安心して受けるためには、経験が豊富で症例数の多い医師や医療機関を選ぶことが重要です。
多くの症例を経験している医師は、高い技術を持っていることが多く、患者様1人ひとりの症状に適した術式や二重の形を提供できる可能性が高まります。
しかし、費用の安さを優先し、実績や症例数を十分に確認せずに医療機関を選んでしまう方も多いです。その結果、技術不足の医師による施術で満足のいかない仕上がりとなってしまうケースも報告されています。このようなトラブルを回避するためにも、医師・医療機関の選択は慎重に進めましょう。
【カウンセリングを丁寧に行う医療機関を選ぶ】
審美性を追求する眼瞼下垂の治療は、自由診療となりますが、理想の仕上がりや二重の形を細かく追求することができます。そのため、施術前のカウンセリングの段階で、自分の希望する仕上がりをしっかりと伝えることが重要です。
もしカウンセリングで「十分な説明がない」「要望をきちんと聞いてもらえない」「対応に不信感を抱いた」「納得できない」などと感じた場合には、トラブルを回避するためにも他の医療機関での相談を検討することをお勧めします。
【理想の二重にならない可能性がある点は理解しておく】
保険適用となる「機能的に問題のある眼瞼下垂」の治療は、あくまで視界の改善や瞼の機能回復を目的としているため、審美性を追求する二重手術と異なり、仕上がりが必ずしも理想のデザインとならない可能性がある点には注意が必要です。
●二重手術と眼瞼下垂手術の違いについてよくある質問
Q.眼瞼下垂手術(切開法)について教えてください。
眼瞼下垂手術(切開法)とは、瞼の皮膚を切開し、瞼を持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋)の緩みを調整して瞼板に再固定する治療法です。これにより、瞼がしっかりと開くようになり、視野の改善、眼精疲労や肩こり、頭痛などの症状の緩和が期待できます。
Q.二重手術について教えてください。
二重手術とは、美容目的で瞼に二重のラインを形成する施術です。切開によって瞼の皮膚を調整し、必要に応じて余分な脂肪を除去することで、自然で長期間持続する二重のラインを形成します。
Q.眼瞼下垂手術と二重手術は何が違うのですか?
眼瞼下垂手術は、瞼の開きを改善し、視野を広げることを目的とする治療法です。一方、二重手術は目元の印象を整え、理想の二重を追求する美容目的の施術です。
Q.どのような人が眼瞼下垂手術を受けるべきですか?
眼瞼下垂手術(切開法)は、瞼を持ち上げるのが困難な方、瞼が下がることで視野が狭窄した方、それに伴い眉やおでこを持ち上げて目を開ける癖がある方に推奨されます。視界の改善や瞼の機能回復を目的としています。
Q.どのような人が二重手術を受けるべきですか?
二重手術は、目元の印象を整え、理想の二重を追求する美容目的の施術です。瞼の脂肪を調整し、目元をスッキリとさせたい方、二重幅を調整したい方など理想とする二重を追求できます。ただし、二重手術はあくまで美容目的であるため、施術によって目の開きが良くなったように感じたとしても、眼瞼下垂の治療ではない点は注意が必要です。
Q.眼瞼下垂を治す目的であれば、眼瞼下垂手術(切開法)・二重手術のどちらでも保険が適用されますか?
眼瞼下垂手術(切開法)は、医師の診断により機能的改善が必要な眼瞼下垂と判断された場合に限り、保険が適用となります。一方、二重手術はあくまで美容目的であるため、自由診療扱いとなり、保険は適用されません。
※当院での眼瞼下垂手術に対する保険適用の有無については診断後の判断となります(症状のない方は自費診療)。難しい症例の治療が必要な方は近隣の大学病院を紹介いたします。
眼瞼下垂の切開法による手術とは?手術の内容やメリット・デメリットを解説!
●眼瞼下垂とは
眼瞼下垂とは上瞼の機能異常によって瞼が下がる疾患です。瞼をしっかり開くことができず、黒目中央部の瞳孔の一部が隠れてしまいます。発生頻度が高いため注意が必要です。
「上瞼が垂れ下がって物が見えづらい」「瞼が重く感じて目を開けるのが面倒くさい」「頭上の物が見えづらく、頭に障害物がぶつかることが多くなる」など、日常生活に支障が出ます。また、顔を上げてものを見る癖がついてしまうため、頭痛や肩こりを繰り返すようになったり、自律神経のバランスが崩れて気分が落ち込んだりすることもあります。
【眼瞼下垂の症状】
眼瞼下垂では、主に次のような症状が起こります。
特に50代以降の方は症状がはっきりと現れるため、該当する症状がないか確認してみましょう。
- 瞼が重い
- 力を入れないと目を開けられない
- 上瞼が黒目の縁にかかる
- 視野が狭窄して物が見えづらい
- 眼精疲労や頭痛、肩こりを繰り返す
また、外見上の変化も現れます。
- 「睨んでいるように見える」と言われる
- 「いつも眠たそうに見える」と言われる
- 瞼が垂れ下がり、老けた印象を持たれる
- 何か物を見るときに眉毛や顎を上げる癖がついた
- 眉間の横ジワがはっきりしてきた
眼瞼下垂は進行性の疾患のため、放置していると視野狭窄などに加え、眼精疲労や頭痛、肩こりなどの症状も伴うようになります。
該当する症状があれば、一度当院までご相談ください。
【病状の重症度】
眼瞼下垂の重症度は、問診・視診・触診・眼瞼動作テストから、おおよそ判断できます。
- 軽症:目を開けようと意識すると、瞼が黒目にかかるものの瞳孔にはかからない
- 中等度:目を開けようと意識しても、瞼が瞳孔に一部に覆いかぶさる
- 重症:目を開けようと意識しても、瞼により瞳孔の半分以上が隠れる
こうした症状は別の疾患で起こることもあります。別の疾患の可能性がある場合、眼科や神経内科にて専門的な診察・検査を受けることが必要です。
●眼瞼挙筋前転術切開法について
瞼が垂れ下がり目を開けづらい、視野が極端に狭まった、頭痛や肩こりを繰り返すなど、眼瞼下垂の重症例に対しては、切開を伴う眼瞼挙筋前転術が推奨されます。
眼瞼下垂は瞼・視野に関する症状に加え、「睨んでいるように見える」「眠そうに見える」などの外見上の変化も現れます。
また、目が開きにくいために額や眉を挙げて目を開く癖がつくため、シワができることもあります。
眼瞼挙筋前転術は、上瞼の二重のラインを切開し、緩んでいる挙筋腱膜と瞼板を切り離し、そこから挙筋腱膜を引き出して、腱膜の張りを回復させるように瞼板に糸により再固定します。たるみが取れ、筋肉の力が瞼板に伝わりやすくなるため、瞼を開きやすくなります。
抜糸のために再度来院が必要ですが、治療効果は半永久的に続きます。
※当院では筋肉性の眼瞼下垂への手術は行っておりません。診断の結果、難しい症例の治療が必要な方は近隣の大学病院を紹介いたします。
【眼瞼挙筋前転術切開法のメリット】
切開によりたるみが取れ、筋肉の力が瞼板に伝わりやすくなるため、瞼を開きやすくなります。
【眼瞼挙筋前転術切開法のデメリット】
切開を行うためダウンタイムの期間が長く、違和感のない仕上がりになるまでには時間がかかります。
また、一度行うと元に戻すことはできないため、信頼をおける医師に相談しましょう。
●眼瞼下垂手術をお勧めする方
- 力を入れても目を開けない方
- 瞼が垂れ下がり、視野が狭まっている方
- 「睨んでいる」「いつも眠たそう」と指摘された方
- 物を見るときに眉毛や顎を上げる癖がつき、頭痛や肩こりに悩まされている方
- 瞼が厚く、二重埋没法が適応外と診断された方
●眼瞼下垂症の手術には原則保険が適用されます
眼瞼下垂の手術は、瞼の機能障害の改善が目的となります。
疾患に対する治療となるため、眼瞼下垂の診断を受けた場合は、原則手術には保険が適用されます。
瞼は印象を大きく左右するため、より美しい瞼にしたいと希望される方もいらっしゃいますが、その場合は自費診療の扱いとなります。
一例ですが、歯科治療において審美性を重視するため、保険適用外の素材を選択するように、瞼の治療においても審美性を求める方もいらっしゃいます。
●眼瞼下垂の手術に保険が適用されないケース
結論からお伝えしますと、保険の適用有無によって手術の質に大差はありません。
なお、当院では次のようなケースでは、自費診療をご案内しています。
【眼瞼下垂の診断を受けていない場合】
眼瞼下垂と診断されなかった場合、手術に保険は適用されません。
なお、目の開き具合に悩んでおり、より美しい瞼にしたいという方には、自費診療をご案内しています。
【美容が主目的の場合】
「目を開いた時の二重幅(見かけ上の二重幅)を広くしたい」という要望などが当てはまります。見かけ上の二重幅を決定する要素は様々あり、複数の要素が重なることで決まるため、保険診療での手術では完璧なコントロールは困難です。
保険診療の手術は、機能障害の改善が最も大きな目的となり、審美的な要望に対して完全にお応えすることはできません。
当然、ご要望が簡単な内容のものであればお応えできますが、難しい要望であれば手術の失敗リスクを高めてしまいかせません。
「二重幅を広げたい」というご要望に応えて手術を行った場合、ハム目や開瞼不良に繋がる可能性があります。
以上のように、保険診療の眼瞼下垂の手術は、機能改善と視野の回復が一番の目的となるため、見た目のご要望には全てお応えできないこともあります。
※当院での保険適用の有無については診断後の判断となります(症状のない方は自費診療)。難しい症例の治療が必要な方は近隣の大学病院を紹介いたします。
●治療による合併症
【腫れ・内出血】
ほとんどの場合、術後に腫れや内出血が発生します。症状の程度は人によって違いがありますが、前方が見えにくくなるほど強く腫れることもあります。症状は1週間ほどで治まっていきますが、完全に元の状態に戻るまでには3週間ほどかかることが多いです。なお、人によっては治るまでに数ヶ月以上かかることもあります。症状を早く解消するために漢方薬を使うこともあります。
【左右差】
手術は人の手で行うものなので少なからず左右差が生じますが、その程度は医師の技術が大きく関係します。なるべく左右差が発生しないように術中は都度チェックしますが、左右差が大きい場合は医師が診断を行い、修正するために再手術を実施することがあります。
【整容的なトラブル】
想定していなかった部分が癒着し、二重のラインが崩れてしまうことがあります。この場合、医師が診断を行い、修正するために再手術を実施することがあります。
【低矯正】
低矯正とは瞼がしっかり開かない状態を指し、挙筋の状態が悪いことや術後に腱膜の固定が緩んだことなどで起こります。再手術を実施することがあります。
【過矯正・閉瞼不全】
過矯正とは低矯正とは反対で、瞼が開きすぎる状態を指します。術中に都度チェックしていますが、調整ミスなどによって起こることがあります。瞼の開きが大きく、角膜に障害が起きる可能性がある場合、すぐに矯正手術を行うことがあります。
【ドライアイ】
手術後は、手術前に比べて眼球の露出範囲が拡がるため、ドライアイが起こることがあります。特に、手術前からドライアイがある方は症状が強くなる可能性があります。
【ドライアイ】
手術後は、手術前に比べて眼球の露出範囲が拡がるため、ドライアイが起こることがあります。特に、手術前からドライアイがある方は症状が強くなる可能性があります。
●手術までの流れ
【初診】
まずは問診にて症状の状態や既往歴などを詳しくお聞きします。その後、必要な検査を行い眼瞼下垂の原因を特定し、適切な治療法を決定します。この際に手術の予約を取って頂きますが、基本的には2~3週間ほど先の日程となります。入院が必要となる場合、入院中の注意点などについてのご説明も行います。
【手術】
手術が挙筋前転術によって行われる場合、両目で1~2時間ほどかかります。
手術が終わった後は、瞼の上にガーゼを貼ります。
【術後当日】
腫れや出血など、術後の合併症を防ぐために瞼を清潔な状態に保ちましょう。
また、出血を防ぐには安静に過ごすことも大切です。体温が上がると出血リスクが高まるため、当日は入浴だけでなく、シャワー浴もお控えください。
【抜糸まで】
抜糸を行うまでは創傷部に軟膏を塗布します。術後1~2日ほどで傷は治っていくので、このタイミングでガーゼを外します。
以降は洗顔・シャワー浴が可能となります。
【抜糸、抜糸後】
抜糸を行うため、手術から1週間後に当院にお越し頂きます。抜糸後はメイクもできるようになります。
術後から半年経過するまでは後戻りのリスクがあるため、数ヶ月ごとにお越し頂き、経過観察を受けることをお勧めします。
●よくあるご質問
Q.手術中は痛みを感じますか?
手術には局所麻酔を投与しています。麻酔針を刺す際にチクッとした痛みが生じることもありますが、手術中は麻酔が効いて痛みをほぼ感じません。
手術から1時間ほど経過すると麻酔の効果が切れるので、痛み止めを処方しています。
Q.手術が終わって帰宅してから注意することはありますか?
手術後は少し院内で休憩して頂き、体調が回復すれば帰宅頂けます。帰ってからは瞼に負担をかけないように、できるだけ安静を保ちましょう。
手術後は上瞼をガーゼで覆っているので、隠したい場合はサングラスや帽子を着用しましょう。
Q.術後も通院が必要ですか?
手術の翌日に医師が状態を確認し、1週間後にも抜糸のためにお越し頂きます。
その後は各患者様の状態に応じて経過観察を実施します。定期的に状態を確認し、必要に応じてケアを行います。
Q.手術が終わって、いつから運動を再開できますか?
術後から48時間は強い腫れが起きます。運動を行うと腫れが強くなるため控えましょう。
48時間以上経過すれば、軽い運動(ウォーキングなど)が可能となり、激しい運動は手術から1週間後の抜糸を終えてから可能となります。筋トレについては完全に傷が引く3週間以降としましょう。
Q.眼瞼下垂は再発リスクがありますか?
再発リスクはありますが、非常に頻度は少ないです。なお、加齢に伴って瞼の皮膚はたるむため、挙筋機能に異常がなくとも皮膚のたるみによって、瞼が下がることがあります。このケースでは、たるんだ皮膚を取り除くことで改善できます。
眼瞼下垂で頭痛が起こる原因は?眼瞼下垂の手術により頭痛が改善するのかも解説!
本ページを見ている方は、眼瞼下垂の方で頭痛症状に悩まれている方でしょう。
「眼瞼下垂を発症すると頭痛が起こる理由が気になる」「眼瞼下垂の手術を受ければ頭痛が改善するかどうか知りたい」という方が多数いらっしゃると思います。
頭痛は日常生活に影響が及び、重症の場合は吐き気も起こるため、根本から頭痛を解消することが大切です。
そのため、このページでは次の内容について説明いたします。
- 眼瞼下垂によって頭が痛くなる理由
- 眼瞼下垂のセルフチェックの方法
- 眼瞼下垂の手術によって頭痛は改善するのか
●眼瞼下垂とは
眼瞼下垂とは、瞼を上げるミュラー筋や挙筋腱膜といった筋肉が少しずつ弛緩し、瞼が下がる疾患です。これらの筋肉は、ゴム紐のように使用するにつれて弛んでいきます。
眼瞼下垂が起こっていなければ、瞼をきちんと開けることが可能であり、瞳孔が全てあらわになるため、広範囲を見渡すことができます。
発症初期の眼瞼下垂では、瞼が下がることで二重幅が拡大します。中期になると、瞼が黒目にかかり、さらに二重幅が拡大します。そして、額に力を入れて下がった瞼をきちんと上げようとするため、額にシワが寄ります。また、額の筋肉が引っ張られることで、眉毛が上がります。後期では、瞼が黒目の半分以上にかかるようになります。
眼瞼下垂の重症度を評価するには、黒目の中心から上瞼縁の距離を確認します。
正常な場合は約4mmとなりますが、2〜4mmの場合は眼瞼下垂初期、2mm以下の場合は中期となります。
【眼瞼下垂の症状】
眼瞼下垂のよくある症状は次の通りです。
気になる方は、一度当院までご相談ください。
瞼・視野に関する症状
- 対象物が見えづらい
- 視野が狭くなった
- 目をしっかりと開けない
- 目の奥に痛みがある
- 瞼を開けづらい
- 瞼が重くなった など
外見上の変化
- 「いつも眠そうに見える」と言われる
- 元々一重だったのが二重になった
- 二重の幅が広がった
- 瞼の上が窪んで老けているように見られる
- 常に顎を上げている
- 常におでこにシワがよっている など
随伴症状
瞼が下がって目を十分に開けなくなるため、それを補おうと額の筋肉である前頭筋により瞼を上げる癖がつき、さらに自律神経の失調を招きます。
そのため、視野狭窄や外見上の変化に加え、以下のような症状を伴うことがあります。
- 頭痛
- めまい
- 肩こり
- ふらつき
- 顔・瞼の筋肉痙攣
- 疲労
- 睡眠障害
- 冷え
- 下痢・便秘
- 光が眩しい など
●眼瞼下垂により頭痛が発生する原因
眼瞼下垂による頭痛は、「代償作用」が原因となって発生します。
例えば、眼瞼下垂になると私たちはほぼ無意識の状態で瞼を眉毛ごと上げたり、眼瞼挙筋を激しく動かしたり、顎を上げて視界を変えようとすることによって、視野を広くしようとします。
私たちはこのような代償作用を無意識のうちにしています。これにより目に疲労が溜まったり、不自然な姿勢になったりすることで、頭痛が発生します。
ほとんどの方は、加齢によって自然に瞼が下がるため、眼瞼下垂を発症していることを自覚するのは難しいです。症状は少しずつ悪化するため、気づいた頃には重症化していることも少なくありません。
実際に、眼瞼下垂の手術をした患者様に確認したところ、手術までは慢性的な肩こりや頭痛などが起こっている方が多くいらっしゃいました。
そこで、眼瞼下垂によって頭痛が起こる原因となる次の2つについて詳しく説明いたします。
- 目の疲労
- 姿勢の乱れ
【目の疲労】
眼瞼下垂が起こると、視野を広くするために瞼を大きく開こうとするため、頭痛が発生しやすくなります。
眉毛を持ち上げるために前頭筋という額の筋肉が大きく緊張することで、目に疲れが溜まります。
【姿勢の乱れ】
眼瞼下垂が起こると、しっかり見えるようにするため意識せずに頭や首を前に出すなど、姿勢が乱れることがあります。
こうした姿勢を長く続けると、肩や首に負荷がかかり、頭痛を引き起こす場合があります。
また、肩こりや頭痛は、眼瞼下垂によって瞼が重くなった代わりに顎を上げて見ようとしている方に生じます。
首の後ろから背中の上部にかけての筋肉である僧帽筋がいつも緊張状態にあることが原因となります。
●眼瞼下垂のセルフチェック
眼瞼下垂の発症有無は、ご自宅にて容易に確認できます。
セルフチェックにより眼瞼下垂の可能性が考えられる場合、適切な検査・診断を受けるために一度当院へご相談ください。
セルフチェックの方法
STEP.1
鏡の前で目を閉じて、定規を眉毛から下の位置で押さえてください。
STEP.2
定規を指で押さえた状態で、少しずつ目を開けます。
STEP.3
鏡に映ったご自身の瞳をスマートフォンなどで撮影しましょう。
STEP.4
撮影した画像を確認し、黒目(瞳)の中心から上瞼縁までの距離をチェックしましょう。
3.5mm以下となっている場合は眼瞼下垂の可能性があります。
●頭痛の重症度を評価する方法
頭痛の重症度を評価する指標として「HIT-6スコア」というものがあります。
HIT-6とは、 「Headache Impact Test」の略称であり、「1.疼痛」「2.日常役割機能」「3.社会的役割機能」「4.活力/披露」「5.認知機能」「6.精神的苦痛」の6つの質問を行い、各項目の点数を合計して、頭痛の重症度を評価します。
- いつもある➡ 13点
- しばしばある➡ 11点
- 時々ある➡ 10点
- 稀である➡ 8点
- 全くない➡6点
【テスト項目】
- 激しい頭痛はどれくらいの回数で起こりますか?
- 頭痛が原因で日常生活に悪影響が及ぶことはありますか?(例えば、学業、仕事、家事、人間関係など)
- 頭痛が起こっている時、横になって安静にしたくなることはありますか?
- この1ヶ月間で、頭痛によって疲れてしまい、日常生活や仕事ができないことはありましたか?
- この1ヶ月間で、頭痛によってイライラしたり、うんざりしたりすることはありましたか?
- この1ヶ月間で、頭痛によって日常生活や仕事に集中できないことがありましたか?
【頭痛の重症度】
- 60~78点 影響が非常に大きい
- 56~59点 影響が相当大きい
- 50~55点 影響は中程度である
- 36~49点 影響がほぼない、もしくは皆無である
●眼瞼下垂の手術を受けることで頭痛は改善する?
結論としては、眼瞼下垂の手術を受けることで頭痛が治ったという報告があります。
2017年のBahceci Simsek Iの論文によると、術前の頭痛は日常生活に甚大な影響が及んでいるレベル(HIT6スコア:60.0点)でしたが、眼瞼下垂の手術を受けたことで日常生活にほぼ影響がない、あるいは皆無なレベル(HIT6スコア:42.3点)まで良くなったとされています。
また、術前に瞼が下がっている方の方が、術後に頭痛が治る傾向にあるとも報告されています。
まとめると、重度の眼瞼下垂の方の方が、手術を受けることで術前の頭痛が良くなる傾向にあると考えられます。
手術方法により頭痛の改善度合いは異なる?
眼瞼挙筋の手術は様々あり、術式により改善度合いは違うと言われています。
例えば、ミュラー筋タッキング法(ミュラー筋をたぐりよせて瞼板に再固定する手術)よりも、挙筋前転術(挙筋腱膜を縫合して瞼板に再固定する手術)の方が頭痛の改善度合いが大きいという報告があります。
ミュラー筋タッキング法は、短時間で手術できるため最近のトレンドとなっていますが、頭痛の改善度合いが少し小さいと言われています。
●眼瞼下垂が原因の頭痛にお悩みの方は当院までご相談ください
頭痛の原因が眼瞼下垂の場合、頭痛を解消するために眼瞼下垂の治療が必要です。
眼瞼下垂の手術は目元の印象に与える影響が非常に大きいため、豊富な実績と高い技術力を持つ医師に相談することが非常に重要です。
なお、様々な医療機関や美容クリニックで眼瞼下垂の手術を行っていますが、医師の技量や手術内容はかなり違います。その違いを患者様が見極めて相談先を決めるのは非常に大変なことですし、専門的な内容まで把握した上で決めることは困難です。
当院では、眼瞼下垂治療で数多くの対応経験を持つ院長が在籍しており、これまでの経験とノウハウを活かして正確な診断を行います。
患者様に安心安全な治療を提供できるよう、医師と看護師が懇切丁寧に支援いたしますので、眼瞼下垂の疑いがある方は一度当院までご相談ください。
●よくある質問
Q.重度の偏頭痛により病院で検査を受けたことがありますが、異常は見つからずお薬の処方を受けただけです。眼瞼下垂の可能性はありますか?
眼瞼下垂の可能性が考えられます。以下のように眼瞼下垂症のセルフチェックをしてみることをお勧めします。
【セルフチェックの方法】
STEP.1
鏡の前で目を閉じて、定規を眉毛から下の位置で押さえてください。
STEP.2
定規を指で押さえた状態で、少しずつ目を開けます。
STEP.3
鏡に映ったご自身の瞳をスマートフォンなどで撮影しましょう。
Step.4
撮影した画像を確認し、黒目(瞳)の中心から上瞼縁までの距離をチェックしましょう。
3.5mm以下となっている場合は眼瞼下垂の可能性があります。
Q.眼瞼下垂の手術を受けると、頭痛や肩こり、瞼のたるみ・重みが改善しますか?
眼瞼下垂の手術の主な目的は、狭くなった視野を広げることです。
保険診療の手術では、瞼のたる・重みの改善は主な目的ではありませんが、二次的な効果として改善することはあります。
視野が狭くなることで発生する恐れがある随伴症状(頭痛、肩こり、瞼の重み、眼精疲労など)、眼瞼下垂による見た目の症状(瞼のたるみ)などは、実際に手術を行わないとどの程度良くなるか判断が難しいため、予めご了承ください。
眼瞼下垂によって起こっている可能性がある付随症状は、その他の原因によって起こっている場合もあるため、眼瞼下垂を治療すれば全て改善するというわけではありません。
Q.手術で痛みは起こりますか?
局所麻酔をしますので、痛みが起こることは稀です。なお、麻酔の注射の際に軽い痛みが生じる場合があります。
術後は1時間程度で麻酔の効き目が切れるため、鎮痛剤を内服して頂きます。
Q.手術のために仕事を休まなければならないですか?
軽作業やデスクワークであれば、基本的に翌日から再開可能です。
重労働は数日間休むことをお勧めします。
20代でも眼瞼下垂になることはある?若い方が眼瞼下垂になる原因や治療法を解説!
眼瞼下垂は若いうちは発症しないと考えている方が少なくないと思います。
先天性の眼瞼下垂もありますが、実は昨今では20代や30代の若さで眼瞼下垂を発症している方も増えてきています。
眼瞼下垂を発症すると、見えづらさを感じるほか、目つきが悪くなったり、眠そうに見えたりするなど、見た目にも悪影響があります。
本ページでは、若い方がなぜ眼瞼下垂になるのかについて丁寧に説明いたします。
また、眼瞼下垂の治療法やセルフチェック方法についても説明いたしますので、眼瞼下垂の疑いがある方はご参照ください。
●20代でも眼瞼下垂を発症する?
眼瞼下垂は、瞼の筋肉や皮膚が弛緩する、あるいは目の周辺が窪むことで生じる疾患です。
先天性の眼瞼下垂もありますが、20代や30代の若い方でも生活習慣の乱れなどによって後天的に眼瞼下垂を発症することがあります。
眼瞼下垂が重症化している場合は、日常生活に影響を及ぼすため早期治療が求められます。
【20代で眼瞼下垂の手術を受ける方は多い】
当院で眼瞼下垂手術(保険診療)を受けた患者様の年代を調べたところ、20代が最も多く、次いで50代が多い結果となりました。
また、10~30代の方は全体の約50%となりました。
※上記の数字に自費診療の患者様は入っておりません。
※上記の数字は全て眼瞼下垂症の確定診断を受けた方に限定しており、美容目的の方や診断基準に該当しない方は入っておりません。
●20代で眼瞼下垂を発症する原因
眼瞼下垂とは、目を開ける腱膜や筋肉が低下することで、目を十分に開けられなくなる疾患です。
生まれつきのものもありますが、若い方でも生活習慣の乱れなどによって後天的に眼瞼下垂を発症することがあります。
以下では、20代や30代の方がなぜ眼瞼下垂になるのかについて詳しく説明いたします。
【過剰な目元のメイク】
まつげエクステやアイプチなど、瞼に負荷がかかるメイクをいつもしている方は、眼瞼下垂を発症しやすいです。
瞼の皮膚はとても繊細で薄いため、日頃から大きな負担がかかり続けると、若い方でも眼瞼下垂になります。また、メイクを強くこすって落とす癖がある方は、要注意です。
アイメイクを毎日行う方も少なくないと思いますが、なるべく優しくメイクするようにしてください。
【コンタクトレンズの長期間の装用・不適切な使用】
コンタクトレンズを普段装用されている方は、眼瞼下垂を発症しやすい状態です。
特に、ハードコンタクトレンズのレンズは分厚いため、目を開ける筋膜がまばたきの摩擦で薄く延ばされたり、収縮力が低下したりしてしまい、眼瞼下垂が起こりやすくなると考えられています。一方で、ソフトコンタクトレンズは薄いため、適切な使用方法を守ればさほど心配はいりません。
なお、コンタクトレンズの装着・取り外しは、皆様が考えている以上にまぶたに負担をかけます。コンタクトレンズの装着・取り外しを雑にしている方、使用期限を過ぎたものを使っている方は取り扱い事項を守って使用しましょう。
【アレルギー(花粉症など)】
目をこする癖がある場合も、瞼に大きな負担がかかるため、眼瞼下垂を引き起こす可能性があります。
花粉症などのアレルギーによって目にかゆみを覚える方は、何度も擦っていると瞼への負荷が溜まっていくため気を付けましょう。
【パソコン・スマートフォンの長時間使用】
若い方が眼瞼下垂を発症する最大の原因として、スマートフォンを長時間使用による目の大きな負担が挙げられます。
文字や画面が小さなスマートフォンを長時間使うことで、目の周りの神経や筋肉を酷使してしまい、ダメージが及ぶ可能性があります。
また、ゲーム機器やスマートフォン・タブレットなどから出るブルーライトによって、ドライアイになることもあります。ドライアイによって瞼と眼球の間で摩擦が起こり、瞼の皮膚や眼瞼挙筋がダメージを受けます。
このように負荷が溜まっていくと、若い方でも眼瞼下垂になることがあります。
●以下のような症状は起こっていませんか?
生まれつき目が小さい方や、目の周辺がたるんでいる方は、眼瞼下垂を自覚できずに放っておいてしまうことがあります。
眼瞼下垂の発症有無を調べるために、以下のような症状が起こっていないかチェックしましょう。
- 目の周りが凹んでいる
- 二重の幅が変わった
- 日頃から瞼が重い
- 瞳の下の白目が際立っている
- いつも眉毛が上がり気味である
- 夕方が近づくと瞼が重いと感じる
- 見えづらいので、物を見る際に顔を前に突き出したような体勢になっている
- 肩こりや頭痛に悩んでいる など
●眼瞼下垂のセルフチェック
眼瞼下垂の発症有無は、ご自宅にて容易に確認できます。
セルフチェックにより眼瞼下垂の可能性が考えられる場合、適切な検査・診断を受けるために一度当院へご相談ください。
セルフチェックの方法
STEP.1
鏡の前で目を閉じて、定規を眉毛から下の位置で押さえてください。
STEP.2
定規を指で押さえた状態で、少しずつ目を開けます。
STEP.3
鏡に映ったご自身の瞳をスマートフォンなどで撮影しましょう。
STEP.4
撮影した画像を確認し、黒目(瞳)の中心から上瞼縁までの距離をチェックしましょう。
3.5mm以下となっている場合は眼瞼下垂の可能性があります。
●眼瞼下垂の治療法
眼瞼下垂になっている場合、早めに当院までご相談ください。
現在は軽症でも、加齢に伴って眼瞼下垂の症状は悪化していきます。
日常生活に悪影響が及んでから治療を始める場合、負担が大きい治療となる場合もあるため、なるべく早めに治療を受けることをお勧めします。
以下では、眼瞼下垂の治療法について分かりやすく説明いたします。
挙筋前転術
挙筋前転術とは、挙筋腱膜を縫合して瞼板に再固定する治療法です。
上瞼の二重のラインを切開するため、手術前は二重ではなかった方も二重に変わります。
また、手術前にあった瞼の皮膚のたるみや脂肪を取り除くこともできます。
なお、切開によって傷ができるほか、切開しない手術よりもダウンタイムが伸びるというデメリットがあります。
※当院では筋肉性の眼瞼下垂への手術は行っておりません。診断の結果、難しい症例の治療が必要な方は近隣の大学病院を紹介いたします。
前頭筋吊り上げ術(ぜんとうきんつりあげじゅつ)
上眼瞼挙筋の挙上機能が大幅に低下しており、挙筋前転術では治療効果が期待できない重症例が対象となります。
太もも外側の筋膜や糸などを用いて、眉毛を上げる筋肉(前頭筋)と瞼板を連結する手術です。眉毛を上げる動作により、目を開けやすくなります。
※当院では筋肉性の眼瞼下垂への手術は行っておりません。診断の結果、難しい症例の治療が必要な方は近隣の大学病院を紹介いたします。
眉下切開法(眉下リフト)
眉下切開法とは、眉下の余ってたるんだ上眼瞼皮膚を切除することで、眼瞼下垂を解消する治療法です。
瞼を直接切開しないため、挙筋前転術よりも見た目の印象に影響がなく、ナチュラルな仕上がりとなります。また、眉毛の下に隠れるように切開するため、傷跡が気になることが少なく、ダウンタイムも短いというメリットがあります。
●眼瞼下垂の手が保険適用となる条件
眼瞼下垂の手術全てに保険が適用されるわけでなく、以下のように条件があります。
- 眼瞼下垂の診断を受けている。
- 美容目的の手術ではなく、疾患や怪我の治療が目的である。
- 治療法が、国が承認した治療法であり、厚生労働省より承認されている医薬品が使用されている。
保険適用の有無については診断後の判断となります(症状のない方は自費診療)。
難しい症例の治療が必要な方は近隣の大学病院を紹介いたします。
●よくある質問
Q.10代や20代でも眼瞼下垂を発症しますか?
10~30代の若い方でもスマートフォンやパソコンの長時間使用によって眼瞼下垂が起こることがあり、瞼が重い、目がすぐに疲れる、目の奥に痛みがある、激しい頭痛が起こっている、重度の首や肩の凝りがある、やる気が出ない、集中力が下がっているなどの異常に悩んでいる方がいらっしゃいます。
原因は生まれつきの場合もあれば、後天的に起こることもあります。
眼瞼下垂の疑いがあれば、以下のセルフチェックを試してみましょう。
【セルフチェックの方法】
STEP.1
鏡の前で目を閉じて、定規を眉毛から下の位置で押さえてください。
STEP.2
定規を指で押さえた状態で、少しずつ目を開けます。
STEP.3
鏡に映ったご自身の瞳をスマートフォンなどで撮影しましょう。
STEP.4
撮影した画像を確認し、黒目(瞳)の中心から上瞼縁までの距離をチェックしましょう。
3.5mm以下となっている場合は眼瞼下垂の可能性があります。
Q.10代や20代特有の眼瞼下垂の症状はありますか?
10代や20代に特有の症状はありません。
よくある症状としては、瞼がしっかり開かない、目がすぐに疲れる、瞼が開きづらいため集中が散漫になってしまう、重度の頭痛、肩こり、眠気などが挙げられます。
眼瞼下垂は自然治癒しません。現在は軽症でも、加齢に伴って眼瞼下垂の症状は悪化します。日常生活に悪影響が及んでから治療を始める場合、負担が大きい治療となる場合もあるため、当院では早期治療を推奨しております。
Q.二重瞼埋没法を何回受けてもキレイな二重にならない場合、眼瞼下垂の可能性がありますか?
はい、眼瞼下垂かもしれませんので、一度当院までご相談ください。
Q.若い人でも眼瞼下垂になるのはなぜですか?
10~30代の若い方でも、スマートフォンやパソコンの長時間の使用、まつげエクステやアイプチなどによる過度なアイメイク、不適切な方法でのコンタクトレンズの使用などによって、瞼に大きな負荷がかかることで、目の周辺の筋力が低下して眼瞼下垂になる場合があります。
Q.パソコンやスマートフォンの長時間の使用が原因で、眼瞼下垂を発症することはありますか?
パソコンやスマートフォンを長時間使用すると、瞼の筋肉に大きな負荷がかかります。
目を使い過ぎることで瞼の筋肉が疲れてしまい、後天性の眼瞼下垂になる可能性があります。
●眼瞼下垂の可能性がある場合は当院までご相談ください
眼瞼下垂を放置すると次第に症状が進行し、視界が狭くなり日常生活に支障が出るようになります。一方で、悪化する前に受診すれば、負担が少ない治療で早期の完治が期待できます。
そのため、病院を受診するのを後回しにしたり、自分だけで悩んだりせずに、前述のセルフチェックを行って眼瞼下垂の可能性があれば、一度当院までご相談ください。
眉下切開と眼瞼下垂手術はどう違う?特徴・適応・リスクなど様々な点から比較
眼瞼下垂症とは、上瞼が垂れ下がって目が開きにくくなる病気で、根本治療のためには手術が必要です。手術療法には大きく「眼瞼下垂手術」と「眉下切開法」とがあります。
「眼瞼挙筋(がんけんきょきん)」と呼ばれる目の開閉を司る筋肉が弱って目が開きにくい場合は「眼瞼下垂手術」が、目の開き方自体は悪くないけれども、瞼の皮膚に余剰があって厚く重たくなり、たるみが生じているような場合には「眉下切開法」が適しています。
眼瞼下垂手術はさらに、眼瞼挙筋がまだ機能している場合に行う「眼瞼挙筋腱膜前転術」「眼瞼挙筋短縮術」と、眼瞼挙筋が全く動かなくなっている場合に行う「前頭筋吊り上げ術」とに分けられます。
眼瞼下垂手術は瞼の皮膚を切開するため目の近くでメスを振るうことになるので、患者様が怖いと感じられることがあります。また、術後に瞼の皮膚が薄くなったり目の開き方が変わったりするため、見た目の印象が変わる可能性もあります。そのため、多くの患者様が「眉下切開法」の方を選ばれる傾向にあります。
しかし、果たして自分の症状の場合はどちらの手術治療法が適しているのか、一般の方では判断に迷い、悩ましいところです。
そこで、ここでは患者様が手術療法を検討される際の参考にして頂くため、眉下切開と眼瞼下垂手術それぞれの特徴、適用症例やリスク・副作用などについて詳しく解説していきます。
※当院では筋肉性の眼瞼下垂への手術は行っておりません。診断の結果、難しい症例の治療が必要な方は近隣の大学病院を紹介いたします。
●眉下切開について
眉下切開は、上瞼の皮膚が厚く重たい方や、上瞼の皮膚にたるみが生じている方に適用される手術で、その特徴や適応症例は以下の通りです。
【眉下切開の特徴】
眉下切開は、上瞼の皮膚を眉毛のすぐ下側から切開し、余分な皮膚を取り除くことで、上瞼のたるみを改善する治療法です。
皮膚だけでなく、内部の余分な筋肉や脂肪も同時に処理することがあります。日帰り手術が可能で、切開で生じた傷は眉毛の中や下に隠れるよう縫合を行うので、術後の傷口はあまり目立たちません。
眉毛の位置や目の形は変わらず、全体として違和感のない仕上がりとなります。たるみによって狭くなっていた二重幅が、自然な感じで広くなる効果もあります。
【眉下切開の適応症例】
眉下切開は、加齢による上瞼の重み・たるみ、視界不良などにお悩みの方にお勧めです。
【眉下切開のリスク・副作用】
内出血、痛み、むくみ、傷跡、皮膚の盛り上がり、左右差、シワの出現など
●眼瞼下垂手術について
【眼瞼下垂手術の特徴】
眼瞼下垂手術は、先天的、あるいは加齢などの原因で後天的に上瞼が垂れ下がり、視野が遮られる状態を改善する手術です。瞼を開く筋肉である眼瞼挙筋を縫い縮めるなどして調整することで、目の開きを良くすることが可能となります。
眠そうに見える目が開いて、縦方向に大きくすることができるため、美容目的の効果もあります。
【眼瞼下垂手術の適応症例】
眼瞼下垂手術は、上瞼のたるみや上まつ毛の生え際の垂れ下がりで視野が狭い方、目の開きを改善したい方、肩こり・眼精疲労・頭痛に悩まされている方などにお勧めです。
【眼瞼下垂施術のリスク・副作用】
内出血、痛み、むくみ、傷跡、兎眼、左右差、ドライアイなど
●眉下切開と眼瞼下垂手術の相違点
眉下切開と眼瞼下垂手術それぞれの切開位置と方法、改善できる症状、ダウンタイムの違いについて、詳しく解説していきます。
【切開位置と方法】
眉下切開
眉毛のすぐ下側を切開して上瞼の余分な皮膚を取り除くことで、瞼のたるみを取り、目の開きを良くします。
切開で生じた傷は眉毛の中や下に隠れるよう縫合を行うので、術後の傷口はあまり目立たちません。眉毛の位置や目の形は変わらないので、全体として違和感のない仕上がりとなります。
眼瞼下垂手術
眼瞼下垂の手術では、二重瞼のライン付近を切開すると同時に眼瞼挙筋を縫い縮めるなどして調整するので、目の開きを良くすることができます。
手術直後は腫れや赤みが生じ、切開した部分の傷が目立つ場合がありますが、最終的には自然な形に仕上がります。
※当院では筋肉性の眼瞼下垂への手術は行っておりません。診断の結果、難しい症例の治療が必要な方は近隣の大学病院を紹介いたします。
【解消できる症状】
眉下切開
上瞼の重さが改善し、目元のたるみが解消します。
また、瞼の重みによって狭くなっていた二重の幅が広くなり、目と眉毛の距離も縮むため、若々しい目元になる効果もあります。
眼瞼下垂手術
症状の原因となる筋肉や腱膜の異常に対して直接的な修正を行い、その結果、上瞼の開きが良くなるだけでなく、視野が広がる、眼精疲労が改善するなど機能面での改善も期待できる手術です。
【ダウンタイム】
眉下切開
腫れは術後翌日がピークとなり1週間程度で落ち着き、抜糸が可能となります。内出血も1〜2週間程度で吸収されていきます。
眉毛のラインに沿って切開するため術後の傷跡は目立ちにくく、傷の部分を除いてメイクも翌日からできます。
眼瞼下垂手術
腫れや内出血は1〜2週間で落ち着きます。
完治には3〜6ヶ月程度かかりますが、傷跡はほとんど目立たなくなります。
●眉下切開と眼瞼下垂手術のメリット・デメリット
眉下切開と眼瞼下垂手術のメリットとデメリットは以下の通りです。
眉下切開
メリット
自然な見た目で上瞼や目元のたるみが解消され、狭くなっていた二重の幅が広くなります。手術後の傷跡も眉毛に隠れるため目立ちにくくなります。
ダウンタイムが少なく、目と眉毛の距離も縮むため、若々しい目元になる効果もあります。
デメリット
瞼のたるみ解消という美容目的で行う手術であるため健康保険が適用されないので、費用面については注意が必要です。
手術中の切開位置が少しでも眉毛からはみ出してしまうと、術後に傷口が目立つようになってしまうことがありますが、当院では技術力と実績を十分に備えた医師が治療に当たり、患者様に安心して頂ける手術を行っています。
眼瞼下垂手術
メリット
「瞼が開けにくいために日常生活に支障がある」「瞼が下がって視野が狭くなっている」など中等度・重度の眼瞼下垂がある場合、保険が適用されます。
手術により視野が広がる、眼精疲労が改善するなど、機能面での根本的な改善が期待できます。
デメリット
眼瞼下垂手術は、二重の幅が狭くなる、左右差が生じるなどの見た目や印象が変化する可能性があります。
瞼を切開するため術後に腫れや内出血が生じ、個人差はありますが、細かな腫れが引くまで3〜6ヶ月程度かかることがあります。
●眉下切開と眼瞼下垂手術のリスク・副作用・注意事項
眉下切開のリスク・副作用・注意事項
眉下切開の術後には、痛み、腫れ、むくみ、内出血などの副作用が1〜2週間続く場合があります。
傷口から感染症にかかったり傷跡が残ったりするリスクもありますので、ダウンタイム中の傷口のケアには十分に注意する必要があります。
眼瞼下垂手術のリスク・副作用・注意事項
眼瞼下垂手術の副作用には、腫れ、内出血、涙目、一時的な視界不良などがあります。
また手術後の感染症罹患、ドライアイ涙目などの発症、痙攣、さらには目の開きに左右差が生じる、二重幅が狭くなる、瞼を完全に閉じることができない(兎眼)など、見た目が不自然になるリスクもあります。
患者様におかれましては、医師と相談し、こうしたリスク・副作用について十分に理解した上で施術に臨むことが重要です。
●眉下切開手術と眼瞼下垂手術の保険適用について
厚生労働省が定める疾患に対し、保険医療機関が規定の診療をする際は健康保険の適用対象となり3割負担で済みますが、シワ取りや瞼のたるみ改善など審美目的の治療については自由診療となるため基本的に10割負担となります。
しかし、上瞼が持ち上がりにくい、余分な皮膚によって視野が狭くなっている、など日常生活に支障が出ている場合に眼瞼下垂手術を受ける場合には、保険診療が適用されます。
診療報酬点数表によると、眼瞼下垂症手術の診療報酬点数は下記の通りです。1点10円の計算となります。
眼瞼下垂症手術
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眼瞼挙筋前転法 7,200点
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筋膜移植法 18,530点
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その他のもの 6,070点
眉下切開法は「3 その他のもの」に該当しますので、3割負担の場合の手術費用は片眼につき18,200円(1割負担の場合、6,070円) です。
これ以外にも別途、術前検査費、短期滞在手術基本料、術後の診察代、薬剤の費用が合計で2〜3万円程度(3割負担の場合)必要となります。
※当院での保険適用の有無については診断後の判断となります(症状のない方は自費診療)。難しい症例の治療が必要な方は近隣の大学病院を紹介いたします。
●眉下切開と眼瞼下垂手術をどちらにすべきか判断するには医師に相談しましょう
眉下切開法と眼瞼下垂手術のどちらを受けるのが適切かを自己判断で決めることは難しいため、専門医に相談することをお勧めします。
自己判断が困難
患者様がご自分の上瞼の症状を鏡で見て、単なる目元のたるみなのか、眼瞼下垂なのかを判断することは、専門知識がない分、非常に困難なことです。
また、眼瞼下垂が軽度の場合や、長期間にわたって両眼同時に進行した場合などは、なかなか気づかない患者様が多いです。
専門的な意見を聞くために医師に相談しましょう
眼瞼下垂症の適切な治療方法を選択するに当たっては、専門医に相談することが一番です。
当院では、医師が患者様個々の症状を詳細に診断し、症状の程度や原因を正確に判断した上で、ライフスタイルも含めたご希望を丁寧なカウンセリングを通じて伺いながら、眉下切開法と眼瞼下垂手術の選択について専門的な見地からアドバイスいたします。お気軽にお問合せください。
●眉下切開法と眼瞼下垂手術の同時施術
眼瞼下垂症の改善に際して、必ずしも眼瞼下垂症手術と眉下切開法のどちらか一方を選択しなければならないということではなく、症状によっては両方を同時に受けることも可能です。
【眉下切開と眼瞼下垂症手術はどちらを優先すべき?】
眼瞼下垂手術と眉下切開法を行う順番は、患者様の症状やご希望などによって異なります。
眼瞼下垂が軽度で、瞼を開く力が弱いことが瞼の皮膚のたるみの原因である場合は、先に眉下切開法を行います。
眼瞼下垂と瞼のたるみの両方があるケースで、眼瞼挙筋の動きが明らかに弱い場合は、先に眼瞼下垂手術を行うのが一般的です。
●よくある質問
Q.眉下切開法の効果の持続期間はどのくらいですか?
たるみ改善のために眉下切開法を行った場合、日焼けや摩擦に注意することで、数年間はその効果が持続します。
加齢に伴って再度たるみが生じる可能性もありますので、効果が永続するというわけではありません。
Q.眉下切開をすることで眉毛の位置は変わりますか?
眉毛の位置が下がる可能性はありますが、たるみを取り過ぎないよう適切な技術で眉下切開法を行うことで、自然な見え方となります。
手術後の見え方については、事前のカウンセリングの際に医師とよくご相談ください。
Q.眉下切開法と眼瞼下垂施術の同時施術は可能ですか?
患者様の症状によっては、同時施術でより高い治療効果が得られることがありますので、適切な手術法を医師とよくご相談ください。
ただし、場合によっては腫れがひどくなったり、長引いたりする可能性もあります。